2017年6月14日
自然塗料塗装とウレタン塗装の特徴
初めて無垢材、集成材を購入する時は、どのような塗装が相応しいのか迷いませんか?
「無垢材」のイメージを「無塗装」のように思われている方も少なくはありません。実際に使用されている無垢材の多くは、塗装がされていないように見えても、なんらかの塗装をされているケースが多いです。
無垢材、集成材を塗装せずに使用すると汚れとソリの問題がつきまといメンテナンスが大変です。
塗装をすることで、汚れやソリに対しての予防(ソリ発生の軽減)となります。塗装しても使用環境によりソリを無くすことで出来ませんが、無塗装よりもはるかに効果的な予防策となります。
無塗装の状態では、木材の水分量の増減が著しく、ソリの要因となります。塗装を施すことで、木材内部の水分量の保持に繋がるといわれています。
先にも述べましたが、マルトクショップで取り扱っている塗装は大きく分類して2種です。
・自然塗料塗装(含浸型塗料):オイル塗料OSMOの「自然塗料クリアー」「自然塗料カラー(ミディアムブラウン)」「自然塗料カラー(ダークブラウン)」
・ウレタン塗装(造膜型塗料):「ウレタンクリアー(ツヤ全消し=ツヤ消し)」
マルトクショップの塗装の種類(室内用)タモ無垢材、タモ集成材での塗装見本
※写真説明で使用しています塗装見本は、材や状況、モニター等によって色や反射具合が異なります。あくまでも相対的な参考イメージとしてご覧下さい。
無垢桧ウレタンクリアー(ツヤ全消し)。無塗装のような風合いが美しい。
自然塗料の仕上がり
自然塗料塗装と無塗装比較:手前側は、自然塗料クリアー塗装分、奥は同材の無塗装分です。色が若干濃くなる。
【樹種】右手前より左後ろ順に:ホワイトオーク、ウォールナット、タモ、ホワイトパイン、ブラックチェリー、マホガニー、メープル、杉
自然塗料の塗装色:無垢材サンプルの塗装と無塗装の比較
無塗装と塗装の比較(自然塗料クリアー)
左は自然塗料(OSMO:クリアー)の塗装を施したもの。右は無塗装です。
ウレタン塗装について(クリアー、カラー)
マルトクショップのウレタン塗装と自然塗料の比較
ウレタン塗装 | 自然塗料塗装 | |
---|---|---|
塗装法 |
樹脂膜で木全体を吹付塗装 (材の水分量をほぼ一定に保持する) |
木に塗料を手塗りで浸透させる (木が呼吸するので、湿度変化する) |
撥水性 |
水を弾く(輪ジミ出来にくい) 水拭きだけで汚れがとれやすい。 |
染みが出来る可能性がある。 (汚れたらすぐに拭きとる事が必要) |
耐久性
|
劣化がゆるやか |
経年で色が褪せる |
光沢 |
光沢ナシ(ツヤ全消し) |
自然な風合い |
メンテナンス |
補修は専門家に委ねる |
家庭でもできる |
コスト |
自然塗料と変わらない |
ウレタン塗装と変わらない |
匂い | ほぼ無臭 |
木の香りと、自然塗料の香りがする。 (経年変化する。) |
使いやすさ
|
拭きとりが容易 |
汚れたらすぐに除去する |
表面硬度 |
固い |
木地のまま |
次号は「塗装の発注時の注意」です。あわせてご覧下さい。
▼マルトク的「塗装学」その3 塗装の注文ポイント▼
https://shop.woodworks-marutoku.com/mokumoku/2017/06/3.html
20180425一部改定
2017年6月12日
~無垢・集成材の寿命は手入れ次第~
木材は、使い始めた日から味わいが滲にじみ出る
木材は、究極のエコ素材です。太古から普遍的に使われており、年月を経ても朽ちずに生き続けています。
神社仏閣などの木造建造物などその多くが世紀を超えて現存していることからその耐久性は推し量ることが出来ます。
無垢・集成材は、少々劣化しても、手入れをすれば蘇り多少の歪みや反りが発生しても使い続けることができます。
状態によっては、治す事も可能です。
自然の木肌がそのまま活きる自然塗料塗装表面(ウォールナット)。硬く絞った布で拭いてきれいに保てます。
金属より木材の方が強い?
木材は、扱い方によっては耐用年数が伸びる反面、処理をした金属に比べ湿度や日照(ヤケ)など自然環境の影響を受けやすいのも事実です。使用に伴う汚れ、擦れ、削れ、へこみなどが発生しやすい繊細な素材でもあります。しかし、メンテナンスをすれば、末長く気持ちよく無垢・集成材を使用していただけます。今回から3回に渡って、マルトク的塗装学の「メンテナンス」についてお伝えします。
木材は生きています
木材は、染みや汚れといった人為的な劣化だけでなく、腐朽菌や害虫、カビにも用心が必要です。その為には塗装がなによりの予防になります。おそらくマルトクのお客様の多くの方は、自然塗料もしくはウレタン塗装を施されている方が多いと思いますが、塗装せずにご使用なら、使用中でも材表面の処理(ペーパーによる研磨等)を施して塗装できるのでご安心下さい。
無垢・集成材は、染み、ヤケ、変色、傷などで状態が悪くなれば、表面を磨くと新しい木肌が出てきます。(サンドペーパーで磨く)
メンテナンス次第で末永く使用できる天然木材
使用し始めたその日から劣化が始まるプリント合板や化粧合板と比べ、使い込めば使い込むほど味わいが深まるのが無垢・集成材の魅力です。
手間がかかる事は、裏返せば愛着がわくものです。程よく手入れされた材の味わいは暮らし質を高めてくれます。無垢。集成材など天然木材の魅力をメンテナンスで、末長くお楽しみ下さい。
木材は、経年変化(劣化)で色が変わる
樹種により多少の差はありますが、経年による色の変化が発生します。色が濃くなる樹種や、逆に色が薄くなる樹種もあります。
人も紫外線で日焼けするように、木材も日焼けしやすい樹種や、逆に経年変化で色が薄くなる樹種などあります。
こういった変化も、自然素材ならではの深みです。経年変化をぜひお楽しみ下さい。
経年変化しやすい樹種:メープル、クリ、オーク、チェリー、パイン、ウォールナット、アッシュ、チーク等
塗装の種類に関係なく、水拭きが基本です
日常の手入れは、水で固く絞った布地で拭くだけです。
汚れが目立ったら、希釈した中性洗剤で固く絞った布地を用いて汚れを落とします。しつこい汚れに対しては、ぬるま湯を用いましょう。中性洗剤で払拭した場合は、必ず柔らかい布で洗剤成分を拭き取っとおきます。
日常は、水で固く絞った雑巾で拭くだけできれいに保てます。(自然塗料塗装のウォルナット材)
食品・調味料、飲料、画材などの汚れは、すぐに拭きとれば、汚れがきれいに除く事ができます。汚れたまま放置すると染みになりますので、汚れたら早めの処理が大切です。
木材は、湿度にとても影響を受けますので換気のよくない場所や、湿気のある場所でご使用なら換気しましょう。換気しにくい場合は、扇風機等で緩い風を当てて換気をしましょう。
自然塗料塗装材は、塗装表面が汚れたらクリーナーを用いたメンテナンスが有益です。水拭きだけで落ちなかった汚れには専用クリーナーで払拭しておくと安心です。
メンテナンス用クリーナー剤は、塗料メーカーから販売されています。OSMOカラーの「オスモワックスアンドクリーナー」や、WATCOの「ワトコワックス」など市販されています。
一般的な「住まい洗剤」などは自然塗装の木材には不適切です。使用しないでください。
各塗料メーカーから販売されている専用のクリーナーで補修ができます。マルトクショップでは、OSMOカラーを使用していますので「osmo color ワックスクリーナー 」が最適です。
汚れが目立ってきたらワックスを使用して下さい。
水拭きで、汚れが残るようでしたら、水性ワックスをご使用下さい。
カルナバワックスエマルジョン 0.5L
水性のメンテナンス用ワックスです。通常の木部のお手入れは水拭きで充分ですが、汚れが目立ってきた際、お試し下さい。塗装面の汚れを落とし、自然な艶を引き出します。1Lのぬるま湯にカルナバワックスエマルジョンを30~40ml注ぎ、堅く絞った布で拭いて下さい。 【用途】メンテナンス用【成分】水、カルナバワックス、脂肪酸、天然乳化剤
【マルトクショップ】
https://shop.woodworks-marutoku.com/products/coating/item/toryo037.php
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無塗装について
無塗装材は、一旦汚れや染みが出来るとかなりサンドペーパーをかけないと元には戻りません。僅かな染みがやがて目立つ染みになってきます。材の保護の意味でも末長く、木肌の味わいをほぼそのまま楽しめる自然塗料(クリアー)がお勧めです。
現在、無塗装でご使用の方はこの機会に自然塗料塗装をご検討されてみてはいかがでしょう。
中性洗剤について
木肌への影響を最低限に抑える為に、中性洗剤の利用を紹介しています。
中性洗剤には、洗濯用やシャンプーなどの種類がありますがキッチン用の中性洗剤をご使用下さい。
希釈割合は、洗剤の使用説明をご参考下さい。
アルカリ性の洗剤の使用は禁止!
住宅用洗剤や液体石鹸、キッチン洗剤の多くは弱アルカリ性のものが多く出回っていますので、必ず「中性」の洗剤をご使用下さい。
洗濯用石鹸の中には漂白剤などが含有しておりますので、必要最小限の成分のもがベストです。
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2017年5月17日
オークな家
〜クールな素材×無垢材の融合〜
Iさん邸(神奈川県)
今回から随時掲載を予定しています「お客様訪問(記)」初回は、住居の基本設計からDIYで家具まで造ったIさん邸を訪問しました。
Iさんは、プロの設計士でも家具の職人でもありませんが、こだわりと熱意で見事なまでの住まいをつくられました。
こだわりの空間作りをセルフデザイン
人気建築家を思わせるセンスで、基本設計から据え付け家具や什器の製作はもちろん、床や塀板、タイル貼りまで多くをご自身で施工され、まるで一人工務店のような奮闘で家を創られた、マルトクショップのお客様を訪問してきました。
生活用具なども、独自のコンセプトに基づいて妥協なしに拘わり「欲しいものは徹底して探し、無ければ自分で作る」事をポリシーとされていらっしゃいます。
玄関のベンチが温かさを添えている。 玄関に入るとオブジェのような靴棚。
デザインと暮らしやすさへのこだわり
今回、オーク材への一貫したこだわりを貫くIさん邸をご訪問できる機会を頂き、胸を躍らせながらご自宅に伺いました。インパクトのある住宅の外観。コンクリートの外壁に紅一点の郵便ポストが外観を引き締めていました。思わず期待値がぐっと上がったのは言うまでもありません。
Iさんのポリシーは、徹底したデザインと暮らしやすさへの拘り
有機的な導線とスペース配分
玄関から靴を脱がずにユーティリティへ直行ができたり、入浴後バスルームから洗濯機のあるユーティリティを経由して寝室への暮らし方に則した自然な導線設定です。
玄関からの導線上は、基本靴のまま用事が済ませられる。
こういった導線以外にも、生活効率の良い有機的な導線を随所に発見することが出来ました。
ユーティリティは、洗濯や家事全般をゆったり効率良く処理できる充分なスペースが確保されており、家事そのものも楽しめ、その広い空間には無垢の棚板がアクセントになっていました。
リビングルームは、心地の良い無垢材が落着きとモダンさを醸し出している。
“靴”を履いたままの暮らしができる家
玄関は、框(かまち)のないフラットな玄関空間が確保されています。玄関先には工夫されたユニークな脚のオークの無垢材ベンチがポイントになっており、中には同素材の開放的な靴棚がオブジェのように鎮座しています。下駄箱のような重厚な存在感ではなく、いたって軽やかでオークの温かみが引出されたおしゃれなデザインが秀逸です。実際、風通しもいいので、靴の保管としては理に適ったデザインだと納得しました。
無機質なコンクリートの素材感を家の内外に見せながら、無垢材が随所でアクセントになっており独特の心地よいエッジの効いたおしゃれな雰囲気が漂っています。
部屋のコーナーには、無垢材が住まいの味わいを深めている。昔から使われていた欅材も再利用(写真右側)。
オークにこだわる理由
無垢材も、樹種を限定して用いられている為、家全体が一貫した落着きが醸し出されていました。
Iさんのこだわりのきっかけとなったのは、人気ファクトリー製オーク材のテーブルとの出会だそうです。
その出会いから、すっかりオーク材に魅了され、今回のご自邸もオーク材を随所に用いられました。
癒しのスペースには、オークが肌と目に優しい。
ベッド、キッチン、AVラック、ソファ、棚、そして床までオーク材を用いられており、目の届かない箇所にもオーク材を使われるなどポリシーを強く感じました。
オークはウイスキー樽材としても有名な堅い材質
オークは、ブナ科の樹種で家具や様々な内装材、床板、ウイスキーの樽材として有名です。材質はかなり堅めです。利用範囲も広く、経年による味わいが深まるのが特徴の樹種です。
巧みなご自身による見事な設計・デザイン
ご自宅の設計は、構造計算はプロに任せられたものの、家具や調度品のデザインや水周りの壁面タイル貼り、フローリングなどもご自身で施工さられたり、専門的ですが、コンクリートの割りにも拘られるなど徹底した審美眼とセンス、ご自身による施工の巧みさに感心しました。
空を掴(つか)めるリビングルーム
将来的に、屋上にウッドデッキの設置を計画されておられます。手すりと外階段を設け、空の見える第二のリビングルームとして活用されるようで、ますます夢が拡がる家創りが楽しみです。
ガーデンの塀、ウッドデッキもIさんの施工。
まとめ
・Iさんは、住まいに対して確固とした理念の持ち主です。シンプルな空間デザインを施されていますが、暮らし方や導線の考え方、形だけでなく有機的な豊かさをうまく盛り込まれていらっしゃいました。
・個人で、無垢材を用いて様々な家具を作られる方を拝見して来ましたが、バランスのとれたセンスにはとても魅かれました。
・海外では一般的ですが、Iさんは「靴が似合う暮らし」の生活スタイルも取り入れられており、改めて靴での暮らしが新鮮に見えました。暮らしが欧米化するなかで今後、参考にすべき点に気付かされました。
・拘りを貫く為に、サッシも特注され外観にも個性と主張がきちんと表現されており、外観イメージが引き締められていました。
・建築家でも、なかなか配慮しにくい部分も使い手の繊細な感性で見事にバランスのとれたデザインを実現されており、建築家になられて多くの方にもセンスを提供されればと感じました。
「オークな家」づくりは、無機質な素材と無垢な素材を絶妙なバランス感覚でまとめられたIさんのセンスの成せる技だと感じました。
樹種選びは色、風合いなど肌が合うか見極める
樹種決めは、みなさん結構悩まれていますが、Iさんのように気に入ったテーブルの樹種が「オーク」だったことが、原点になっておりその後、迷わずオーク材に統一されたことで納得の行くイメージが展開できたようです。
訪問を後にして感じたのですが、樹種決めは写真だけでなく実際にインテリアショップや家具店などで、様々な樹種に触れたり好きな樹種の小物を購入してみることも大切かと改めて思いました。
マルトクショップでは、樹種サンプルを販売していますので、手元に置いて木の温もりや木肌の生の感触を味わってみられると、樹種の特性がよくわかります。
サンプル購入されると、次回の材の購入時に割引特典も受けられるので無駄な出費にはなりません。ぜひ樹種選びのご参考にしてください。
◎ 参考情報
【Iさんの自作アイテム】
ベッド(マルトクショップでご購入の無垢オーク材)、キッチンバック(マルトクショップでご購入の無垢オーク材)、AVラック(マルトクショップでご購入の無垢オーク材)、ソファ、床貼り等
【デザインに拘ったアイテム】
傘立て、ゴミ箱、玄関先の掃除用具、洗面化粧台、乾燥機、風呂、トイレ等
取材時期2017年4月
2017年4月13日
塗装の種類
材にとって塗装は「服」?
塗装にも様々な素材に対応した種類がありますが、木材用だけでも数多くあります。マルトクショップでは数ある塗料の中からウレタン塗装と、自然塗料の塗装を承っていますが、木材用塗料は、他にもあります。室内用、屋外用などもありますので、自分で塗装する場合は、用途や目的に応じた適切な塗料選びが必要です。
自然塗料塗装(ダークブラウン色)
2つのタイプ「造膜型」と「含浸型」
木工用塗料は、生きた材といわれる木材の特異な性質により種類が豊富にあります。様々な仕上がり具合を考慮して選択してください。特徴としては、材の表面を被膜で覆う「造膜型」と材に塗料が浸透する「含浸型(浸透型)」に分かれます。
代表的な塗料をいくつか紹介いたします。マルトクショップで扱っているものは「ウレタン塗装」と「自然塗料」の2種です。
ウレタンクリアー塗装
1.油性調合ペイント(OP)造膜型塗料
いわゆる「ペンキ」と呼ばれている、歴史の古い塗料です。
アマニ油やヒマシ油等のボイル油(加熱配合油)に顔料を混ぜた塗料で乾燥に時間がかかります。仕上がり感が悪く乾燥にも時間がかかる。最近では、あまり使われなくなっています。専門店で入手可能です。
2.合成樹脂調合ペイント(SOP)造膜型塗料
一般的に普及している塗料です。
油性調合ペイントの弱点を合成樹脂で改善した塗料です。長油性アルキド酸樹脂ワニス(長油性フタル酸樹脂ワニス)に顔料を配合し、仕上がり勘も良く、渇きも早くよく使われています。ホームセンター等で入手できます。
3.ウレタン 造膜型塗料 ★★★ マルトクショップの使用塗料
ウレタン樹脂による塗装で、材表面に被膜を形成し耐水性、耐摩耗性などに優れており木の伸び縮みにも順応する優れた塗装で、仕上がりは、全ツヤ消しです。マルトクショップで取り扱っています。塗装に技術と設備が必要です。
4.オイル 含浸型塗料 ★★★ マルトクショップの使用塗料
植物油と植物ワックスをベースにした無公害塗料で、塗膜を作らず木部の内部に浸透する調湿性に富んだ塗料です。
塗膜を作らない為、木地の質感が活きます。WATOCOブランドやOSMOカラーが有名です。ケミカル成分配合のものもありますが、マルトクショップでは使用していません。
柿渋由来の抽出物と荏胡麻油やヒマシ油、ロウ、水等の成分の防腐効果の高いパーシモンも古くから使用されています。
DIYの際は、塗布に使用した刷毛や布地は空中の酸素に反応して自然発火する恐れがありますので注意が必要です。
5.天然樹脂 造膜型塗料
日本で古代から使われている樹液を精製した漆や、漆科の植物カシューナッツツリー、マガタマノキの木の実、カシューナッツの殻を精製抽出したカルダノールを主原料にしたカシュー塗料など。塗装に厚味と光沢が出せるのが特徴。塗装には技術が必要です。管理に注意が必要です。
6.ワックス (造膜型塗料の塗装面の保護用もしくは単独で含浸用としても使用されている)
蜜蝋やカルナバロウなどの蝋成分と植物油が配合された半固形のワックス状の塗布剤。
アンティーク家具の艶出し用として使用されており木地を活かし自然な風合いに仕上がります。家庭でも扱いやすいのでメンテナンス等にも利用できます。ワックスのみ塗布して使用もできますが、オイル塗装やワニス塗装後のメンテナンス用として用いられるケースが多いです。ホームセンター等で入手できます。家庭用としてお勧めです。
写真左から:オイル塗料、ワックス、柿渋などの自然塗料。何れも家庭でも扱える。(使用上の注意を遵守)
マルトクショップ「自然塗料」:http://bit.ly/2oxXhBE
※ご覧のブログに使用しています画像は、ご覧のモニターにより色味が変わる場合がございます。あしからずご了承の程よろしくお願いいたします。
***
次回は、引き続き「塗装」続編として、ウレタン塗装と自然塗料塗装の違い編をお送りします。
▼マルトク的「塗装学」その2 自然塗料塗装とウレタン塗装の違い▼
2017年3月16日
安心してお使いいただくために
ナチュラルな素材の代表格といっても過言ではない木材ですが、無垢材や集成材にはハギ加工で接着剤を用いて製造していますので、健康と安全面は気になるところです。
昨今、身の回りの環境に対する関心が高まる中、特にシックハウス症候群や化学物質過敏症等の健康被害が社会問題になっている現状から、安心してウッディライフを送っていただく為にマルトクでは高い意識を持って取組んでいます。
マルトクで取扱っている国内外の木材は、それぞれの国や地域の木材関連団体認定の材を使用しています。
例えば、アメリカからの輸入材であれば100年の歴史をもつ全米広葉樹製材協会(NHLA)が定める「FAS規格(First And Seconds)」認証済材や「No.1コモングレード」といったグレードの材を用い更にマルトク基準を満たした部位のみを使用しています。
特に高い品質が求められるテーブル天板や家具用等にも安心して使用いただけるグレードの材を扱っています。
タモの無垢天板(自然塗料塗装)
近年、シックハウス症候群や健康被害の原因となる有害性のおそれがある化学物質を含む製品は、国の規制や業界団体の自主規制などで安心して使えるように規制されています。
2004年4月に「建材からのVOC放散速度基準化研究会(財団法人建材試験センターを事務局)*」による「建材からのVOC放散速度基準」が制定され、トルエン、キシレン、エチルベンゼン及びスチレン(以下4VOC)放散速度基準値が示されました。
この基準に準じて業界団体の(社)日本建材・住宅設備産業協会らにより、2008年10月に化粧板、集成材等のVOC放散に関する自主規制が制定されました。
安全規格認定された材で快適なウッディライフ 写真提供:アメリカ広葉樹協会
マルトクで使用している無垢材・集成材はもとより、ハギ加工で使用している接着剤も基準をクリアした製品を使用しています。
国や業界団体の安全規制に沿った原材料と木材で製造されたものを扱っておりますので、どうぞ安心してご購入、ご使用ください。
マルトクでは、取り扱っている材や加工に使用する接着剤など、JAS認定されたホルムアルデヒドの発散量が最も少ないランクを示す「F★★★★」規格の製品を採用しています。
改正建築基準法(2003年7月1日施行)を受けて、室内施工用接着剤のJISでホルムアルデヒド放散等級区分が規格化されました。JIS規格の認定を受けた接着剤はJISマークとともに放散等級表示が許されます。
最高等級である4つ星等級の認定を受けた接着剤は建築基準法のもとで使用面積の制限を受けずに使用できます。
安心な規格認定品のみを扱っています。
日本接着剤工業会では「室内空気質汚染対策のための自主管理規定」を作成し、自主表示制度(業界団体自主表示)を設けました。認定の対象は4つ星等級ランクのみで、JISと同等の等級であることを認めています。
ハギ加工用接着剤も安全性をクリア
無垢材や集成材の幅ハギ加工に使用している接着剤は、すべて国と業界規制をクリアした「F★★★★」の製品を使用しています。
写真のボンドは、何れも水性のもので作業時も安全に行えます。右:水性接着剤用硬化剤(ポリイソシアネート)速乾性の接着剤、下地的に使用。左:水性高分子-イソシアネート系木材接着剤(無垢材のハギ加工時に使用)。
・ 樹種の個性で選ぶなら無垢材
無垢材は、使用するサイズでご注文いただくのが基本です。ご希望のサイズでハギ加工を行うオーダー生産だからです。
・ コスト・自由さで選ぶなら集成材
集成材は、すべての樹種が3000㎜以下なら出荷可能です。長尺の材料が必要な時には活用できます。(無垢材は樹種によってご用意できるサイズが異なります)。
・ ランダムな濃淡をデザインとして活かすなら集成材。
集成材特有の細い幅の濃淡は、無垢板にはない風合いです。樹種によっては、濃淡が少ない樹種もあります。集成材の良さを引き出したデザインでご活用ください。
・いずれもソリ予防は、厚みと幅に要注意
板厚15㎜以下且つ幅700㎜以上の材は、ソリが発生しますので、加工方法(固定方法)や寸法(板厚を厚くする)等の見直しが必要です。天板の金属ソリ止め具も一定の板厚が必要です。それ以外のサイズの板でも、使用環境によってはソリが出る可能性はあります。
・ 安心して使うには両面塗装が必須
材の汚れ防止には塗装が必要です。裏表両面(小口、コバも含む)を塗装することで、含有水分の蒸発をセーブできるのでご使用環境にもよりますが、一般的にソリが若干少なくなると言われています。
風合いを変えたくない時は、比較的リーズナブル(一部の集成材を除く)でエコな自然塗料がお勧めです。また食卓など食品等の汚れがつきやすい用途なら、汚れを落としやすくナチュラルな仕上がりのウレタン全艶消し塗装もお勧めです。
自然塗料でナチュラルに材を保護
・ 一枚板より扱いやすい無垢材・集成材
豊富な樹種から選べる無垢材、集成材は規格化されたサイズでいつでも調達できます。
(木材用語ミニ辞典)
材をオーダーする際に欠かせない用語があります。ただし、業界ごとに寸法表現が少し異なります。正確に伝達するためには、下記のまとめを参考にご利用下さい。
日本集成材工業協同組合
http://www.syuseizai.com/home
全国木材組合連合会
http://www.zenmoku.jp/ippan/faq/faq/faq6/249.html
JAS規格について
集成材の日本農林規格 平成24年6月21日農林水産省告示第1587号
http://www.maff.go.jp/j/jas/jas_kikaku/pdf/kikaku_47.pdf
日本接着剤工業会
http://www.jaia.gr.jp/
全米広葉樹製材協会(NHLA)の等級(グレーディング)について(日本語)
http://www.hardwood.jp/html/grade/
全米広葉樹製材協会(英語)
http://www.nhla.com/
*
VOC(揮発性有機化合物)の解説
揮発性を有し、大気中で気体状となる揮発性有機化合物の総称であり、常温常圧で大気中に容易に揮発する有機化学物質の総称です。トルエン、キシレン、酢酸エチル、ベンゼン、フロン類、ジクロロメタンなど多種多様な物質が含まれます。
幅広く使用されており一旦、環境中へ放出されると、公害などの健康被害を引き起こす要因となります。特に最近では、ホルムアルデヒドによるシックハウス症候群や化学物質過敏症が社会に広く認知され、問題となっています。
4VOC放散速度基準
日本接着剤工業会自主管理規定 JAIA-401321
(日本接着剤工業会は、平成20年2月1日に「室内空気質汚染対策のためのVOC(揮発性物質)自主管理規定」)
http://www.jaia.gr.jp/index.html
3回にわたり、無垢材・集成材についてお伝えしました。
まだまだ、奥が深いですが、今後もお客様のお役に立てる内容を
お伝えしたいと思います。
「ムクとシュウセイ」一つにまとめてPDF化の予定です。