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お知らせ

木の雑学13「バオバブ」

2012年7月19日

アフリカの大地の象徴ともいえる「バオバブ」。

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樹齢1000年を超え、樹高は20mにも達するこの異形の巨木は、アフリカやマダガスカル、
オーストラリアに自生しています。

まるで、木の根が上に生えているような姿から「上下さかさまの木」とも呼ばれ、昔から
「バオバブ」に関する面白い小話が伝わっています。

「バオバブは地球上で最初の木であった。その次に、やしの木がやってきた。やしの木は、
スレンダーで、上品であった。バオバブがそれを見たとき、もっと背が高くなりたいと泣き出した。
その次に、真っ赤な花をもつ美しい火炎樹が登場した。バオバブは花を咲かすことがねたましかった。
次にフルーツを実らす、いちじくの木が現れた。バオバブもフルーツを実らせたいと拝んだ。
それらを見ていた神様は、怒り、バオバブの根を引っこ抜き、さかさまに地面に突き刺した。」

さて、肝心の木材としてのバオバブは軽質で弱く、耐朽性がないので、
通常の木材の用途に使われることはほとんどありません。

しかし、実、葉、種子、樹皮などのその他の部位は、
アフリカの人々の生活を密接に支える貴重材であり、オールマイティに活用されています。

京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科の八塚春名さんによると、
樹皮からはロープやマットを作り、果実は食用や飲料、種子からは油を搾り、若葉は野菜となるそうです。

それだけでなく、根からは染料が得られ、果実の殻から容器を作り、
そのほかの各部分からそれぞれ各種の民間薬が作られたりしているそうです。

日本でも、インターネットなどでアフリカ原産の
「アダンソニア・ディギタータ」の種子が入手できます。

種から育てるとなると、高さ20mのバオバブを楽しむことはさすがに困難ですが、
「盆栽化」することは可能です。

何十年という年月をかけて、アフリカの大自然を「盆栽」で実現してみるのも粋な趣味ですね。

木の雑学10「more Trees」

2012年7月11日

「りんごのけん玉」をご存知ですか?

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ニュートンが「万有引力の法則」を発見するきっかけとなったと言われるりんご。

そのりんごをけん玉の玉に見立てて、地球の引力を体感できるおもちゃ。

「遊ぶほど玉の塗料が落ちて、本物のりんごの表皮のようになる」っていうところが、おシャレです。

実はこれ、以前ブログで紹介した「木の携帯電話」をプロデュースした「more Trees」の商品。

「more trees(モア・トゥリーズ)」は、イエロー・マジック・オーケストラで
有名な坂本龍一氏の呼びかけによって設立された森林保全団体です。

「もっと木を」というシンプルなメッセージのもと、木や森をふやし、
森が吸収するCO2(二酸化炭素)をふやすこと、ま
た森が本来抱えている保水力や生物多様性をはぐくむ力を回復すること、
さらには森や水や太陽のめぐみに由来する自然エネルギーに依拠する
社会の実現にむかうことをめざしている団体です。

その中でも、象徴的な活動のひとつが「カーボンオフセット」。

「カーボンオフセット」とは、私たちが生活の中でどうしても排出してしまうCO2を、
植林やグリーンエネルギーなどによってオフセット(相殺)することです。

プロ野球の試合時間が3時間を超えた場合、照明の電力消費などで余計に消費されるCO2に応じて、
自治体が進める森林づくりの取り組みを支援する
「プロ野球の森」カーボンオフセット協定もそのひとつです。

また、「more Trees」は、間伐材(森林を育てるために必要な間引きにより発生する木材)の
有効利用にも積極的で、「りんごのけん玉」もヤマザクラ、カバ、ヒノキなどの間伐材を
利用して作られています。

木の雑学9「松井選手のバット」

2012年7月 2日

タンパベイ・レイズのマイナー契約を経て、見事メジャーへ返り咲いた松井秀喜選手。

選手生命最大の危機を乗り越えた彼は、メープルのバットを使用しています。

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巨人で活躍した10年間は、松井選手もイチロー選手と同じアオダモのバットを使っていましたが、
「アオダモだと、バットがしなりすぎて、メジャーリーグの重いボールには力負けする」ということで、
メープルに変更したそうです。

アオダモを使い続けるイチロー選手。片やメープルへと転向した松井選手。

それぞれの打撃スタイルが、材質(木)選びへのこだわりとなって表れて、非常に興味深いです。

北米に分布するハードメープルは、摩耗耐久に強く硬質な特性を持っているため、
ボウリング場のレーン、ビリヤードのキュー、ダンスホールの床板などに使用されています。

メープルの樹皮を傷付けて採取される樹液は、
ホットケーキには欠かせないご存じメープルシロップとなります。

また、玉杢の小さな模様(鳥目杢)が出たものは、バーズアイメープルと呼ばれ、
主にツキ板(美しい木目を持つ木材を薄くスライスしたもの)として利用します。

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<バーズアイメープル>

自動車のダッシュボードや高級家具の化粧材として人気があります。

バットの話に戻すと、メープルは素材としてバットに適しているだけでなく、
幹が太いので、1本の木からアオダモの3倍はバットが製作できるそうです。

また、アオダモやホワイトアッシュなどのバット材と比べると、
重量が軽いため、スイートスポットを広げたヘッドの大きいバットを製作できるという利点もあります。

松井選手にはこんな逸話が残されています。

2002年、『ミズノ』とアドバイザリー契約をしている松井選手のもとへ、
他メーカーの担当者が10億円の小切手を突き付けて、自社との契約を迫ったそうです。

松井選手は、小切手には目もくれず、「ミズノさんにお世話になっています。
ミズノさんにも失礼ですから、お引き取り下さい」と。

「だったら、手首のサポーターだけでも。右手と左手で1億円ずつ」と他メーカーの担当者は迫ったが、
松井選手は聞く耳を持ちませんでした。

プロ入り以来、ミズノと二人三脚で究極のバットを追及してきた松井選手。
お金よりも、そんな信頼関係を選んだ言動に、ミズノ担当者は号泣して喜んだそうです。

工具の話5「ノコギリ」

2012年6月26日

電動丸ノコ、ジグソーなど木材を切断する道具は色々ありますが、
最もポピュラーなものと言えば、やはり「ノコギリ」ではないでしょうか。

「ノコギリ」は、刃の付いた一枚の金属に柄を付けただけという非常にシンプルな構造ですが、
実はとても良くできた道具です。

押したり引いたりして木材を切断するイメージのある「ノコギリ」ですが、
日本のものは、引く動作のときに木材が切断できるように刃がついています。

逆にアメリカでは、押す動作のときに木材を切断するように刃がついています。

一見どの国の「ノコギリ」も同じもののように見えますが、
それぞれの国で使用する木材の特性に応じて刃の構造が違うというのが面白いですね。

両刃ノコギリについている両サイドの刃は「縦挽き用」と「横挽き用」で使用方法が違います。

「縦挽き用」は、木目の方向に沿って切断するための刃で、刃の目が大きくなっています。

「横挽き用」は、木目に対して直角や斜めに切断するための刃で、刃の目は細かくなっています。

「縦挽き用」と「横挽き用」を誤って使用すると、木材は思うように切れないばかりか、
刃を痛めてしまいますので注意が必要です。

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「ノコギリ」は、使用した時は必ず錆止め用に油を薄く塗布することと、
定期的に「目立て(刃を鋭くすること)」が必要です。

「目立て」はなかなか技術を要する作業になりますので、
最近では、替刃式の「片刃ノコギリ」などが売られています。

これだと「目立て」の必要はなく、切れなくなったら刃を交換するだけです。

日曜大工などにはこのタイプのものがお手軽でおススメです。

木の雑学10「将棋の駒」

2012年5月24日

将棋の世界には、羽生善治という天才がいます。

彼の輝かしいキャリアは、1985年に史上3人目の中学生棋士となることから始まります。

1996年には、将棋界にある7つのタイトル全てを独占するという快挙を成し遂げたモンスターは、勝負の世界に身を投じているとは思えないほど穏やかな風貌をしています。

私もよく子供の頃に遊んでいた将棋。

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将棋の駒の材質は、ツゲ・ツバキ・ホウノキ・カエデなどの木が一般的です。

中でも、ツゲは日本にある木材の中でもっとも緻密で均一な材質であり、硬く割れにくい特性を持つことから、強度のあるプラスチックが登場するまでは、重要な資材でした。

駒材としても非常に人気があり、伊豆諸島の御蔵島に自生している「御蔵島黄楊(ツゲ)」と、鹿児島県の「薩摩黄楊」が最高級品とされています。

また、ツゲは虎斑・根杢・くじゃく杢などの様々な杢が確認できるため、このような材を使用した駒には、工芸的価値も高まり、高級品として扱われています。

ツゲの用途は、将棋の駒以外にも印鑑やクシなどが有名です。

ツゲは高級材であるため、「シャムつげ」と呼ばれる外国産の木が代用品として用いられることがあります。

「シャムつげ」は、日本のツゲと比べると柔らかく、緻密ではないので粘りがなく、強度の面で劣ります。

「シャムつげ」は、「つげ」と称していますが、実は東南アジア産のアカネ科クチナシ属の落葉高木であり、ツゲ科のツゲとはまったく種類が異なる木材です。

つまり、「つげ」ではないのです。

そのため「シャムつげ」は現在では、公正取引委員会のガイドラインに従って、印鑑業界では「アカネ」、クシ業界では「本つげ」と表記されるようになりました。

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中島弘樹

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