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米杉、今そこにある危機

2011年5月18日

 「米杉(ベイスギ)」と呼ばれる木があります。名前からも分かる通り、アメリカから輸入された木です。日本には明治17年頃から輸入され最盛期には数十万立方メートルにもなり、日本でも馴染み深い木の1つですが、最近この木に大きな問題が降りかかっています。
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昨年末頃から徐々に値段が高騰して、3~4年前に比べて2倍以上の値段がついています。しかも値段が高くなっても原木の手当てが容易ではない。理由は幾つかあるのですが、1つは欧州や豪州市場からの引き合いが強いという事。特に欧州市場では違法伐採撲滅機運が強くジャラやイペなど熱帯産のエクステリア材から米杉への移行がみられます。そのため急激に欧州、豪州市場からの買いが入ってきています。
 また米杉は高さ30~60m、直径4mにも達する巨木で、北米を代表する重要樹種
の1つでもあります。主要な生育地であるカナダ西部のブリティッシュコロンビア州(BC州)は、世界でも有数の大森林地帯で、その森林面積は6000万haと日本の国土面積の1.5倍に
も達っしています。(ちなみにそのうちの3500万haは保護地であったり、採算が合わないという理由でほぼ永久に伐採されず自然のまま放置されている)壮大な森林資源であるが、伐採対象となっているのは最低で200~300年生以上の高齢木で1度伐採してしまうと簡単に次の世代に交替という訳にはいきません。もちろん伐採後には人工的に苗木が植林され、持続的な森林経営が出来るような努力が行われています。にもかかわらず最も分布の多いBC州でも伐採量は年々減少傾向にあり、特に厚物のクリア(化粧用の上小節~無節クラス)盤が取れる大径木の良質材が少なくなってきています。また産地側も、米杉が腐りにくかったり水にも強いという特徴を持っていることから、競争力の高い市場へ出荷するため国際的な競争にさらされ、価格が一層高等している面もあります。
 昨年末からBC州沿岸産地では労使交渉のこじれから3カ月にも及ぶ長期ストも繰り広げられ、山から米杉が出てこないという状態が続き、ますます米杉の値段が釣り上がりました。いくら競争力のある木といえども、市場では適応相場というものがあり、あまりに高値が続き供給量が絞られてくると、別の代替材を探す方向に力が働き米杉そのものが市場から姿を消してしまう可能性もあります。かつてのラワンのように。そうならない為にもすみやかに需給のバランスがつりあうことを願うばかりです。
 ここで改めて米杉の特徴を振り返ってみます。まずその名前からしてまぎらわしいのだが、日本に輸入された時に杉に似ていることから、大正時代の中頃からこの名がつけられました。米杉の本名はウエスタンレッドシーダーといって、北米西海岸特産のヒノキ産ネズコ属の常緑針葉樹です。この仲間は北米や北アジアに6種ほどあり、日本の代表がネズコです。だから本来は「アメリカネズコ」と呼ぶのが正しいのですが、今やすっかり米杉の名前が定着してしまい、杉の仲間ではないと言うと驚く人の方が多くなりました。ネズコという木を知っていれば、ああなる程と思えるくらい米杉とネズコはよく似ています。独特の芳香は木材に含まれるヒノキチオールなどの含有成分のためで、腐りにくく水にもよく耐えます。そのため現地では屋根材(シングルやシェーク)、外壁材、また船舶やカヌー、ボート、ログハウスなどにも使われています。
 木の枝葉や樹皮にはビタミンCが多く含まれ、壊血病をそのエキスで治癒することが出来たことから、当時のフランス国王はこの木を「アーバーバイティ」と命名させたといわれています。ラテン語で「生命の木」の意味があります。アメリカ先住民の精神文化の象徴ともいえるトーテムポールも米杉で作られていて、先住民たちにとっては文字通り「生命の木」です。ちなみに花言葉は「変わらない友情」。材は軽軟で加工も容易です。柾目挽きすると目合いが整然と並び美しさが際立つ。洋風な建物のポーチ柱や化粧梁などに使うと、全体が引き締まってシャープに見えます。
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 また乾燥も容易で収縮率も低く、反りやねじれなどが出ることも少なく、さらに軽量で扱いやすいのも嬉しい。主に取り扱っているのは、1×4、2×4、4×4などのディメンション材と外装材と別注挽きです。前述したような理由で現在米杉の材価が不安定で大量在庫が出来ず、とりあえず1×4(16×89mm)の2、3、4mをストックしています。貴重な米杉専門工場で製材した商品で、品質管理は徹底していて、仕上がり具合いも良好で評判もいい。フェンスや店舗などで意匠的に使われることも多いです。時が経ちロマンスグレーに染まった米杉の壁版に、日本のワビやサビのような感傷を抱くのは私だけではないはず。「世界でもっとも美しい木」とも呼ばれるウエスタンレッドシーダー、こういう状況になって慌てて騒ぎだしその価値が見直されるのは皮肉な話ではありますが、これは契機に改めて「世界でもっとも美しい木」の魅力を再認識していただきたいところです。

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中島弘樹

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