2021年8月19日
木材を選ぶときに、多くの方が「色」を重視して選ばれるかと思います。木材の色は黒っぽいもの、赤いもの、黄味が強いものなどそのバリエーションは実に豊富。樹種ごとにさまざまな個性を垣間見ることができます。
今回からのもくもく通信では、そんな木材の「色」に焦点をあてて、実際の作品写真を交えてご紹介します。
目次
– ホワイトオーク – タモ – ブラックチェリー – 国産栗 – 国産ナラ – 国産楡(ニレ)
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オークにこだわって仕上げた室内(お客様作品)
「丸太」を想像したときに多くの人は、焦げ茶色の樹皮に断面は皮よりも薄い茶色、そこに年輪があって・・・というイラストや写真を想像するのではないでしょうか。前回は濃い色の樹種をご紹介しましたが、すべての木材で言えばダークカラーの木材は少数派で、多くの木材(丸太の中身の部分)は外皮よりも薄い色をしています。そして多くの樹種では、木材の芯の方が、辺材(皮に近い部分)よりも濃い色をしており、芯材と辺材どちらが木材として重用されているかは樹種によっても異なります。
木材は生き物、色も一つとして同じではないので分類するのも難しいですが、今回のもくもく通信では「焦げ茶色」でも「白木」でもない、木材らしいミディアムブラウンの樹種についてご紹介したいと思います。
木材の色を一覧で確認する:木材の性質および価格帯チャート
オークのテーブルセット:アメリカ広葉樹協会提供
安価な石油製品も溢れている現代では、木材よりも安く手に入る家具やDIYの材料はたくさんあります。木目のプリント製品などもいくらでも出回っている中で、あえて本物の木材をインテリアに使う目的は、皆大なり小なり木材の温もりのある質感やビジュアルを室内に取り入れたいという意図がある方がほとんどではないでしょうか。そんな、「木の温かみ」「みんなが思い描く木材の雰囲気」をより感じたいなら、ミディアムカラーの木材は特におすすめです。
「木なのにこんな変わった色なの?」という意外性のあるアプローチではないですが、直球で木材の良さを伝えることができるのがミディアムカラーの木材の最大の魅力です。
「濃い色の木材を使いたいんだよな〜」「白っぽい木で明るい雰囲気を出したい」となった場合、条件に該当する木材は少ないもの。さらに堅さまで考えて木材を選ぼうと思うと、消去法で選べる樹種は2、3種類、なんてケースもあるかもしれません。
色の濃さだけで木材を分類した場合、半数以上の樹種がミディアムカラーの木材に分類されます(主観によっても変わります)。たくさんの種類があるので、木目の美しい樹種、赤っぽい樹種、黄色っぽい樹種、堅くてしっかりした樹種、軽くて柔らかい樹種など、好みや予算、用途に合わせてじっくり樹種選びができますよ。
木材の色を一覧で確認する:木材の性質および価格帯チャート
「木材と言えば」といった風情の柔らかい色が多いミディアムカラーの樹種。濃淡のはっきりした樹種に比べてアピールしたいポイントは、あたたかみのある色彩です。和室、洋室、用途を問わずに自然に室内に溶け込むので、例えば白一色のインテリアの床や棚板を無垢板に変えると、それだけで一気に室内に居心地の良い雰囲気が生まれます。
マルトクショップ の人気第一位樹種、ホワイトオークはミディアムカラーの樹種の代表格と言っても良いかもしれません。無垢材、木材と言われて多くの人が想像するような、優しい木の色と美しい木目の広葉樹です。堅く、重量のある樹種なので主に天板や家具、建築材料にも使われます。面白い用途としては、ウィスキーの熟成にはオーク材で作られた樽がよく用いられるそう。
ホワイトオークは木目も美しいですが、節有りの材も力強い表情で様になります。マルトクショップ でも節有りの取り扱いのある樹種は多いですが、その中でもホワイトオークは「価格ではなくあえて節有りを選ぶ」という方も多いくらい人気です。
樹種選びに悩んでいるお客様がいらっしゃるとき、「木目が綺麗な」「無難な」なんてワードが出てきたらオススメするのがタモ材です。タモ材の第一のアピールポイントは美しい木目。先端から根元まで、均一に美しい木目が取れるので、天板や内装はもちろん、化粧単板にもよく使用されます。色は先述のホワイトオークと近い、ナチュラルカラーですが新しいものはオークよりも若干黄色っぽさが少なく柔らかい色をしています。経年変化とともに黄色味が出て濃い色に変化することが多いようです。
タモという名前は「たわむ」から来ているそうで、その名の通り弾性に富んだしなやかな材質も特徴。階段材や床材など、力のかかる用途にも安心して使える優良木材です。最近は国産材や柾目の材も入荷したので、ぜひ好みに合わせてご利用ください。
オイル塗装したブラックチェリーを比較 左の時計は三年経過したもの
ブラックチェリーは代表的なアメリカ広葉樹のひとつ。先述のオークやタモとはまた違う、明るい赤褐色が美しい樹種です。製材した直後はピンク色と表現できるような、可愛らしい色をしています。木目はオークやタモといった樹種よりは控えめで、よく磨いて塗装するとつやが出てとても綺麗です。
ブラックチェリーの大きな特徴としてあげられるのが、激しい経年変化があります。製材直後はピンク色でも、塗装して空気に触れて酸化するにつれて濃い茶色に変化。(経年後はかなり濃い色になるので、前回のダークカラーの樹種でご紹介しようかと検討したほど大きく変化します。)無垢材を自分の手で育てたい、そうした変化を楽しみたい方におすすめの樹種です。
国産の木材をお好みの方なら、良質な国産広葉樹、栗はいかがでしょうか。栗は昔から家具や建材、食器など様々な用途に使われてきた、日本人には馴染みの深い樹種。堅く、くるいが出にくい(出ないわけではありません。木材は環境で大きく変わります。)ことから様々な業種の職人に愛されてきた木材でもあります。
栗はミディアムカラーの樹種のなかでも、優しいくすみ系カラーとはっきりした木目が綺麗な樹種です。しっかりと堅く、重厚感のある樹種なので天板やフローリングとしてもよく使われます。
ナラは木材として多く流通している木材。人気のホワイトオークも直訳すると「白いナラ」、ナラ材の中でも北米産で比較的明るい色の何樹種かをそう呼称しているだけにすぎません。木材として優秀なナラ材は日本でも生産されていて、マルトクショップ では「国産ナラ」として区別して販売しています。
一見するとホワイトオークによく似ていますが、国産のナラ材はホワイトオークよりも多少繊維がきめ細かく、手触りが良いものが多いようです。国産の木材に興味のある方にはぜひおすすめです。
最近マルトクショップ に仲間入りした国産楡も、ミディアムブラウンの樹種のひとつ。楡は別名アカダモとも呼び、その名の通りタモのようにすっきりと美しい木目としなやかな材質の良質な木材です。
化粧単板にも使われるくらい、綺麗な木材なので和室にも洋間にも違和感なくお使いいただけます。国産材に興味がある方、ありきたりでなく、少し変わった木材を使ってみたい方にもおすすめです。
ナチュラルカラーで多くの人に選ばれている、ミディアムブラウンの樹種についてご紹介しました。木のぬくもりをインテリアに取り入れるなら、やっぱりおすすめなのはミディアムカラーの樹種。木目や色味もバリエーションが多いので、ぜひ好みに合う樹種を追求してみてくださいね。
マルトクショップでは、樹種選びのご相談も承っております。お悩みの際には、ご相談だけでもお気軽にご連絡くださいませ。
木材の色を一覧で確認する:木材の性質および価格帯チャート