2021年7月15日
木材を選ぶときに、多くの方が「色」を重視して選ばれるかと思います。木材の色は黒っぽいもの、赤いもの、黄味が強いものなどそのバリエーションは実に豊富。樹種ごとにさまざまな個性を垣間見ることができます。
今回からのもくもく通信では、そんな木材の「色」に焦点をあてて、実際の作品写真を交えてご紹介します。
目次
– ウォールナット – チーク – マホガニー – ウエンジ – アカシア
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ウォールナットが美しいテーブル:アメリカ広葉樹協会提供
木といえばざっくりと「茶色」というイメージを持っている方が多いのではないでしょうか。木材の色を左右する成分は多種多様で、製材された直後と月日が経った後でもその表情は変化します。大まかに言えば確かにみな茶色ではあるのですが、白っぽいもの、黒っぽいもの、赤や黄色、灰色などその色彩は驚くほど豊かです。また、経年変化にしても、月日が経つにつれ色が濃くなるもの(ブラックチェリーなど)、薄くなるもの(ウォールナットなど)など、樹種ごとにその経過は異なります。
木材にも流行があり、人気木材は時代によっても移り変わりますが、多くの人が知っている高級木材と言えば、チーク・マホガニー・ウォールナットの世界三大銘木を避けて通ることはできません。この3つの木材の共通点と言えば、美しい木目と重厚感のある濃い色。色に対して人が持つイメージはそれぞれですが、一般的にダークカラーの木材はその存在感と美しさから、材質の優れた木材は高級木材として人気の樹種が多いです。今回のもくもく通信では、そんな高級樹種を含む濃い色(=ダークカラー)の樹種についてご紹介したいと思います。
木材の色を一覧で確認する:木材の性質および価格帯チャート
濃い色の樹種を取り入れた家具や内装は、はっきりとした色で存在を主張します。淡い色で周りに溶け込むようなデザインよりも、テーブルや大型の棚など、その室内のメインとして据えるような家具に用いるとその魅力を発揮するでしょう。新築やリフォームの場合には、ウォールナットやチークの大判テーブルをリビングのメイン家具として購入し、テーブルに合わせて他のインテリアを決めて行く、というような選び方をする場合も。インテリアの主役として、その部屋の軸になる存在感を出すのが、ダークカラーの木材の特徴です。
例えば同じようなお菓子のパッケージを見たときに、濃い色のパッケージに金字で印刷がしてあったりする方が高そうに見えた、なんて経験は誰しも覚えがあるのではないでしょうか。使い方にもよりますが、人は「濃い色」に対して重厚感や高級感を感じやすいと言われています。
これは木材にも言えることで、淡い色の木材よりは濃い色の木材の方が「堅そう」「高そう」「重そう」なイメージを持つ方が多いです。落ち着きのある、シックな、高級感のある、そんなイメージを作りたいときには濃い色の樹種を使うことをおすすめします。
高級感のあるダークカラーの木材は、インテリアの主役としての使用が王道ではありますが、その存在感を活かして小物やポイントに使っても素敵に仕上がります。特にウォールナットやチークなどの目の詰まった木を丁寧に磨くと、色と木目が際立って本当に綺麗ですよ。明るい色を基調にしたインテリアの中にも、挿し色として濃い色を使うことでアクセントになります。
世界三大銘木のひとつ、ウォールナット材は木材に少しでも興味がある方なら知らない人はいないのではないでしょうか。他の樹種にはない、チョコレートのようなダークブラウンが美しく、唯一無二の高級材として世界的にも著名な人気樹種です。
現在主流なのは主に北米で生産されるブラック・ウォールナットで、中世の時代から家具等に用いられてきたヨーロピアンウォールナットよりも色合いが濃く、白太が少ないとされています。日本国内でもクルミ材は生産されていますが、色味は赤みがかった柔らかい色でブラックウォールナットとは大きく異なります。(現在マルトクショップでは取り扱っていません。)
色はもちろん木目も美しく、材質も緻密で、しっかりと研磨してオイルフィニッシュで仕上げるととても美しく仕上がります。
無垢材を愛好している人であれば誰もが憧れる高級木材、チークもダークカラーの木材に分類されます。チークの場合、製材したすぐの木材はそんなに濃い色をしている訳ではないので、購入してすぐは思ったような色ではなくて驚く方もいらっしゃるかもしれません。
チークの魅力はその経年変化の美しさにあります。木材の内部に天然のワックスを蓄えているので、使って行くごとに油分が染み出して輝きを増し、表面が酸素に触れて酸化が進むごとに美しい色に変化します。その色は「金色」と称されることもあり、木材用の着色料には「チーク色」なんて名前の色を販売しているメーカーもあるほど、多くの人に愛されている木材です。
マホガニーは赤みの強い褐色と独特の杢目が特徴の木材で、17〜19世紀にはヨーロッパを中心に一大ブームを巻き起こしました。丈夫な割には加工性が良いことから、アンティークのマホガニー製家具には透し彫りなどの繊細な細工物の家具が多く見受けられます。
マホガニーの最大の特徴はその独特の杢目。光の加減で表情の変わる、帯状の模様が「リボン杢」と呼ばれています。マホガニーも製材直後は色が浅いですが、経年変化が進むごとに深い褐色に変化して行きます。
ちょっとニッチなハードウッド、ウエンジはアフリカ産の広葉樹です。木材の「色の濃さ」で言うならば、マルトクショップで取り扱っている木材の中では一番のダークカラーの樹種かもしれません。
濃いブラウンと黒に近い色の木目が力強く、他の木材にはない男性的な表情が特徴的で、マルトクショップで取り扱っている木材のなかで一番のハードウッドでもあります。(2021.6現在)
個性的なビジュアルなので、インテリアのポイントとして活躍する樹種です。注意点としては、水に濡れると木材の中の色素が溶け出す場合があること。水に濡れる可能性があるような箇所には、ウレタン塗装など表面をコーティングするような塗装がおすすめです。
集成材の中でも人気のアカシア材。成長が早く木材として使用できるまでにかかる年数が短いこと、かつ堅くて丈夫という非常に植林に向いた木で、現在では主に東南アジアで植林が勧められています。
アカシアは一本の木のなかでも濃淡の差が非常に大きい木材です。心材はまるでウォールナットのような美しいダークブラウンをしているかと思えば、辺材の白太の部分は真っ白と言っても良いほど明るい色をしています。その個性的なビジュアルから好みは分かれる樹種ですが、材質は比較的堅く、粘りがあるので天板や床材などの耐久性の求められる用途に向いています。
番外編:好きな木材に着色することでダークカラー風に
濃い色の木材の色を塗装で明るくすることは、ペンキで塗り潰さない限り難しいですが、明るい色の木材を着色して濃い色にすることは可能です。
木材本来の色は失われてしまいますが、好みの木目の木材に好みの色をつけることで、完璧に自分好みの天板を手に入れられるというメリットも。
材木屋としては木材の自然の色を楽しんでほしい気持ちもありますが、そんな遊び心のあるDIYも素敵ですね。
個性的で人気も高い、ダークカラーの木材をご紹介しました。ウォールナット、チークなど高級木材が揃う濃い色の木材は、美しさと抜群の存在感が魅力。コーディネートのメインとしてだけでなくポイント使いにも重宝します。自分だけの個性的なインテリアに、ぜひご参考いただければ幸いです。
マルトクショップでは、樹種選びのご相談も承っております。お悩みの際には、ご相談だけでもお気軽にご連絡くださいませ。
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