木の基礎知識 マルトクショップ「もくもく通信」

木材加工の機械 大量生産に対応するマシン6つ

2022年1月13日

常日頃お客様にお届けしている様々な木材が、どのように加工されているかご存知の方はあまり多く無いと思います。丸太が一枚の板になるまでには、意外なほど長い時間をかけてたくさんの人と機械を介して加工されて行きます。もくもく通信では、木材が旅する工程を支える、木材加工のマシンについてご紹介したいと思います。

前回の更新:木材加工の機械 基本の5つのマシン

 

 

目次

 

マシン編2:大量生産に対応するマシン8つ

1.パネルソー

2.テノーナー

3.三点式ベルトサンダー

4.ボーリングマシン(ボール盤)

5.ルーター盤

6.帯ノコ・製材機

 

【終わりに】ただ切るだけじゃない、精密な加工には様々な機械が必要

 

 

 

 

 

 

木材加工の機械 大量生産に対応するマシン6つ

 

前回の更新では、木工所などに高確率で置かれている、「切る削る貼る」の一番基本的な加工の出来る機械をご紹介しました。木材加工の機械は本当に種類が多く、同じ「切る」機械でも、縦に切るのか横に切るのか、木材の材質やサイズによっても違う機械を使った方が効率が良い場合も多いです。今回の更新では基本の加工から一歩踏み込んで、大きな木材の加工や大量生産にも対応出来る機械をご紹介します。

木材加工の機械 基本の5つのマシン

 

 

 

パネルソー

マルトクショップ →有り

パネルソーは大型の木材に使用する切断機械です。木材に限らずアクリル板やアルミ板など様々な工場で活躍しています。木材を立てかけるためのパネルを備えているので、腕の力だけで取り扱うのが難しいような大きな木材でも正確にカットすることができます。パネルソーはマルトクの工場でももちろん活躍していて、昇降盤では扱いづらい、長さ2400mm以上の大きな木材の正寸カット(オーダー通りのサイズにミリ単位でカットして行くこと)に使用しています。

 

テノーナー

マルトクショップ →有り

テノーナーは木材の幅をカットする大型マシン。両サイドに丸ノコが回っており、カットする取りしろを設定してローラー上に木材を流すと設定した数値通りに両サイドをカットする仕組みになっています。

木材の幅カットができる機械は数多くあり、マルトクでは小さな木材の幅カットは昇降盤、天板などの大きな木材はパネルソーを主に使用しています。対してテノーナーはBtoB向けのカットで活躍する場面が多い機械です。テノーナーの特に優れている部分は以下の三つが挙げられます。

 

1.大量カットに向いている

カット前の調整に少し手間がかかるので小さな木材1枚をカットするには向きませんが、一度設定してしまえば木材をどんどん流すだけで何十枚でも次々と同じサイズにカットすることができます。

2.長い木材をカットできる

幅カットする際に木材の長さに制限がないので、カウンター材などの長さ3m以上のパネルソーでは扱えない材料をカットする場合にはテノーナーを通すことになります。

3.エンドマッチ加工

テノーナーは幅カットだけでなく木材の両サイドに溝加工を行うことができます。マルトク工場では主に、木材のエンドマッチ加工を行う際にテノーナーが活躍しています。

 

 

 

 

三点式ベルトサンダー

マルトクショップ →有り

ベルトサンダー と名のつく機械は複数あります。前回の更新では工具のベルトサンダー をご紹介しましたが、三点式ベルトサンダーは打って変わって大型の機械です。

 

輪になった専用のヤスリをローラーで回転させ、その下をスライドさせながら木材を通し研磨して行く仕組みになっています。仕組みはシンプルですが、一定方向に同じスピードで研磨して行くので広い面でも効率よく仕上げることが出来、かつ力加減は自分の手でするので繊細な仕上げが可能です。

木材の研磨の工程は複数あり、無垢材の場合は3回ほど研磨を繰り返します。三点式ベルトサンダー は、前行程のワイドサンダーで出るオシュレーション痕を効率よく研磨して取り除くために使用しています。

 

 

 

ボーリングマシン(ボール盤)

マルトクショップ →無し

「ボーリング」と聞いたときに日本人の多くはボールを転がしてピンを倒す遊びを想像すると思いますが、木材におけるボーリング(boring)とは穴をあけることを意味し、その名の通り穴をあけることに特化したマシンがボーリングマシンです。よく石油の採掘に使用されるボーリングマシンと意味は同じで、穴あけ加工に特化した機械になります。

構造はいたってシンプルで、機械の上側についたドリルビットを台の上に置いた木材に向かって降ろすことで効率良く穴をあけることが出来ます。形や動かし方は少しミシンに似ています。台は可動式なので、少しずつずらすことで効率良く次々と穴をあけることができます。慣れれば効率良く穴をあけることが出来ますが、精度よく加工を行うにはある程度の技術と計算が必要です。シンプルな分、予備知識無しでは使えない機械かもしれません。

 

 

 

ルーター盤

マルトクショップ →無し

一般的な建築材・内装材は四角形、直線で構成された材料がほとんどですが、時には曲線や複雑な形に木材を切り出すこともあります。また、単純に丸い穴を開けるだけでなく複雑な形の穴や溝を加工したい、そんな時はルーター盤の出番です。

ルーター盤は平たく言うと木材を「くり抜く」ための機械。機械上部に木材の切削用のビットが取り付けてあり、台の上の木材を動かすことで木材を必要な形にくり抜いて行きます。構造だけであれば前述のボーリングマシンと似ている部分があります。ビットで木材を削りながら動かして行くので、カットだけでなく様々な形の穴や溝を加工することも可能です。基本的には木材をフリーハンドで動かすので、加工の精度を出すには使い手の技術と治具が必要となります。

 

 

帯ノコ・製材機

マルトクショップ →無し

帯ノコはその名の通り、帯状のノコ刃で木材をカットする機械です。木材カットの機械には、円の縁に一周してノコ刃がついている「丸ノコ」が多く使われています。この丸ノコは円の半径以上の木材はカットできないので、基本的に板材をカットするための刃物。対して刃が直線になっている帯ノコは、板状になっていない、板以外の形状の木材のカットで活躍します。

帯ノコの一種である製材機は、そうした特性を活かして伐採した丸太を板状にスライスする機械。一般的な”木工所”というよりも”製材所”にある機械です。伐採して枝をはらった丸太を横に寝かした状態で、帯状のノコがスライスして行きます。前述の皮剥き機も製材機も、丸太をそのまま加工することもあり非常に規模が大きな機械。木材にまつわる加工の工場は様々な分業がされており、製材をする工場は丸太をスライスして荒材と呼ばれる「板」の状態まで仕上げることを専門として行っている製材所が多いです。

材木屋であるマルトクショップの場合は、この製材の工程は自社内で行っておらず、すべて製材所でスライスされた状態の木材を仕入れて加工しています。構造はとてもシンプルな機械ですが、硬い木材でもパンのように正確にスライスして行くパワーは圧巻です。

 

 

 

 

 

ただ切るだけじゃない、精密な加工には様々な機械が必要

今回の更新では、多少規模の大きな工場にあるような大型マシンや、カット以外の加工をする機械をご紹介しました。のびのびと様々な形や大きさに育った樹木が、内装や家具の規格に合うような「材木」になるまでには、大きさや目的に合わせた様々な機械と職人の技術が必要不可欠。ご自宅にある木材がどのような工程を経て加工され、手元に届いたのか、予想以上の長い旅路を想像してみるのも楽しいですね。

木材に関してのご相談はいつでも受け付けておりますので、ぜひお気軽にお問い合わせくださいね。

 

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