2022年12月27日
家具をDIYする際には、多くの場合何らかの金物や壁、他の木材などへ「取り付ける・組み合わせる」作業が必要です。一番手軽なところで言えば接着剤やビスによる接合が一般的なところではありますが、実はそれ以外にも簡単で強度に優れた方法が有ります。今回の更新では、とっても便利なのに意外と知らない人の多い「鬼目ナット」について、DIYでの使い方とオーダーの場合の注文方法をご紹介します。
目次
– 鬼目ナットの種類
– 1.墨付け – 2.穴を開ける
– サイズは3通り
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取り付け前の鬼目ナット
木材に埋め込むことで、簡単にボルトの付け外しが出来るようになる「鬼目ナット」を知っていますか?
鬼目ナットは木地に埋め込んで使うタイプのナット(ネジやボルトの相手材)です。数百円もあれば手に入る上にインパクトドライバーさえあれば取り扱いも簡単で(手でねじ込むことも出来ます)、便利にも関わらず意外と知名度が低いアイテムです。
鬼目ナットを使って取り付けた鉄脚
鬼目ナットは主に大型であったり重量のある家具を「組み立て式」にする際に本領を発揮する家具です。木材を使ったDIYの場合、ビスやアングルを使って接合を行うとその部分は完全に固定されて外すことは出来なくなります。取り外せるようにすることで移動がしやすくなったり、輸送する際の価格を抑えることが出来たりとメリットのある部分に鬼目ナットで使うことで、家具が分解できるようになります。
テーブルは鬼目ナットを使用するメリットの非常に大きな家具。実際にお客様の作品等を拝見しても、鬼目ナットで脚を接合している方が多い印象です。テーブルは市販の製品を購入したとしても、大概の場合脚は現場取り付けが多い家具で、天板だけで重量があることと、脚を取り外して運ぶ事で体積が大幅に小さくなることが主な理由です。これはDIYにおいても言えることで、引っ越しをしたい、テーブルを収納したい、そんな場合に鬼目ナットで取り外せるように設計しておけば簡単に脚を取り外すことができます。
また、同様の理由でキャンプ用の椅子やテーブルなど、頻繁に持ち歩くような小型家具の組み立てにも鬼目ナットが活躍します。
メーカーによっても統一しきれない部分はありますが、よく使われるものを大きく分類すると鬼目ナットは4つの形状に分けることが出来ます。まず使い方の違いとしては以下の二つがあります。
外側にらせん状の返しがついており、六角レンチや六角ビット(インパクトドライバー等に取り付けて使用)で下穴を開けた木材に「ねじ込んで」使用します。主に使う素材によっても変わってきますが、鬼目ナットのなかではこちらのタイプが主流である印象です。ねじ込みにコツは必要ですが、回転の力でねじ込むため柔らかい木でも比較的痛めにくいというメリットがあります。
文字通り金槌で打ち込む、垂直の力だけで埋め込むタイプの鬼目ナットです。外側に、太い棘のような「返し」がついていて、一度打ち込むと抜けないような構造になっています。打ち込みの前に下穴を開ける必要があるので、金槌一つで取り付けと言う訳には行きませんが、シンプルな作業で取り付けることが出来るのでDIY初心者の方や六角レンチやビットをお持ちで無い方にお勧めです。
さらにねじ込み式打ち込み式それぞれに、「ツバ付き」「ツバ無し」の形状の違いがあります。
ツバがあることの大きなメリットはツバ無しと比較して強度があることと、特にねじ込み式ではツバが引っかかる事で必ず止まるので、ねじ込む深さを気にせずに取り付けることができます。デメリットは木の表面に皿状のツバが残るので、二つの木材をぴったりとくっつけたいような場合には不向きであるということ。これに関してはザグリ(ネジやビスの頭が飛び出さないようにあらかじめ木の表面を掘っておく加工)を併用する事で特に問題なく使用することも可能です。
対してツバ無しの最大のメリットは下穴から頭が飛び出ることなく綺麗に仕上がること。家具のデザインによっては隙間があると綺麗に仕上がらない場合もあると思いますが、そうした場合はツバ無しタイプを使用すると作業が効率的です。デメリットとしては、ストッパーとなるツバが無いのでどこまでもねじ込めてしまうこと。これは慣れの問題もありますが、下穴を深くしすぎないなどである程度予防できます。
▼1-A(ねじ込み・ツバ付き)
▼1-B(ねじ込み・ツバ無し)
▼2-A(打ち込み・ツバ付き)
▼2-B(打ち込み・ツバ無し)
鬼目ナットの取り付けは、埋め込むという特徴から一見難しそうに感じますが、作業自体は意外と簡単です。おそらく一番ポピュラーな「ねじ込み式・ツバ付き」の取り付け方法を写真で説明します。
まずは鬼目ナットを打ち込む位置を板に書き込んで行きます。木材に直接書き込みたくない場合は、マスキングテープを使うと便利です。ここがずれると全てがずれてしまうので、一番神経を使う作業かもしれません。
インパクトドライバーに、鬼目ナットのサイズに合わせたビットを取り付けて垂直に穴を開けます。特にツバ無しの場合は深く開けすぎない方が良いので、慣れない内はインパクトドライバーにテープ等で印を付けるのがお勧めです。ザグリを付ける場合はこの時点で加工しておきましょう。
インパクトドライバーに六角ビットを付けてねじ込みます。インパクトドライバーをお持ちでない場合は六角レンチを使って手でねじ込むこともできます。最後までしっかりねじ込んだら、鬼目ナットの取り付けは完了です。
以上の手順で必要な場所にすべて鬼目ナットを取り付けることで、木材に自由にボルトを開け閉めすることが出来るようになりました。アイディア次第で様々な家具に応用できる、DIYの強い味方です。
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簡単・手描きで良いので図面があるととっても助かります
取り付け自体は難しくない鬼目ナットですが、おそらくDIYビギナーさんが心配になってしまうのは「正確な位置への取り付け」ではないでしょうか。鬼目ナットは開ける穴が大きく、一度取り付けたら取り外すのが難しいので、間違えた場合のリカバリーが他のビスよりも大変な場合があります。マルトクショップでは、鬼目ナットの指定位置の取り付けサービスも行っております。
加工価格は350円(税込)/箇所となります。(※2022.12現在の価格/変動の可能性あり)
マルトクショップ で取り扱っている鬼目ナットはムラコシ精工様のDタイプ(長さ14ミリ)です。サイズはM4、M6、M8がお選びいただけます。木材の用途に合わせてお選びください。
サイズ参考:ムラコシ精工オンラインショップ
鬼目ナットの位置については、確実な位置の分かる方法でご指定ください。
お客様によって、木材のどこからの位置をご指定いただいているのか分かりにくい場合がございます。板を上から見て左上が起点でのご指示を頂ければ、とても分かりやすく人為的ミスの防止に繋がります。
鬼目ナットの中心の位置で位置をご指定ください。円形の穴の端の位置で指定いただくことはできません。
最終的に工場で人の目を通して確認、加工されます。そうした際に図面があるとミスを防ぐ大きな助けになります。図面と言っても、手書きのものを携帯で撮影していただくので充分。無理に文章で全て指定しなくても、数字が書き込まれた図面やイラストがあるとオペレーター、職人共に非常に分かりやすいです。
「〇〇社のこの商品を使用するので、合わせた位置に鬼目ナットを開けてください」と言った形のオーダーはお断りさせていただいております。必ずお客様ご本人が位置と本数を確認してご注文ください。
鬼目ナットは自動注文フォームではご指定いただけませんので、備考欄にて鬼目ナットサイズと板の正面左上からの位置をお知らせください。折り返し、鬼目ナットの加工料金を加算したお見積もりをオペレーターがお送りします。図面等をお送りいただける場合は、カート確認画面にて添付することができます。
木工業界ではポピュラーだけれど、意外と知らない人も多い鬼目ナットをご紹介しました。金物の使い分け等を考えると、本当に奥の深い木工の世界。鬼目ナットも、他の金物や手法でも代用できることがほとんどですが、使うことで利便性やクオリティを一段アップさせることが出来ます。正確な位置への取り付けに自信がない場合には、簡単な指示でオーダーも可能ですので、ぜひご相談くださいね。
もくもく通信では、今後も便利な金物や人気の樹種などをご紹介して行きますので、ぜひ御覧ください!