2022年2月24日
木材を家具や内装材として使用する場合、木材の汚れを防ぎ保護する”塗装”は必須の加工です。実際にマルトクショップ でも塗装はオーダーの多い加工で、工場の塗装場は常にフル回転しています。
同じ塗装でも、塗装を専用の器具で吹き付けるウレタン塗装などの特殊な塗装とは違って、自然塗料を使った塗装はDIYでも綺麗に仕上げることが出来る塗装。今回のもくもく通信では、自宅でDIYする場合の自然塗料塗装の手順をご紹介します。
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木材を家具として使用する場、塗装は必ず必要な加工です。塗装をすることで汚れを防ぎ、木材の水分バランスを整えることで反りや歪みなどの動きを出にくくする効果も期待できます。DIYにおいても特別な理由がない限り必要となってくる塗装ですが、種類によってはDIYでもプロと遜色の無い仕上がりに仕上げることができるのはご存知でしょうか。今回の更新では、マルトクショップ で木材を注文した後、自分で塗装を行う手順をご紹介したいと思います。
塗装はDIYした方が、様々な面から見ても安上がりです。例えばマルトクショップ で自然塗装をお受けする場合、天板サイズ(仮に30×800×1200mm)のオイル塗装を注文すると、8,330円の加工費をいただいています。(税込/2022年2月1日現在)それに対して塗料を自分で準備する場合は2,000円〜3,000円程度で塗装することができます。
DIYを頻繁にされる方であれば、大きなサイズの塗料を購入しておけば1回あたりの経費は数百円程度になりますし、そうでない方でも余った塗料は今後のメンテナンスに使うことができます。
自然塗料で塗装した家具は、その効果を保つために数ヶ月〜一年に一度程度のお手入れが必要です。メンテナンスの際には自然塗料の塗り直しをすることになるので、塗装後に使い切れなかった塗料も有効活用することができます。これは自然塗料で仕上げた家具には必須のお手入れなので、余った塗料は必ず活用することになります。
▼塗装は外注して手元に塗料が無い、という場合はメンテナンス専用のワックスもあります。
こだわりを持って作品製作に当たる方は、これが一番のメリットになるかもしれません。一口に自然塗料と言っても、その種類もメーカーも様々。自分好みのオイルやワックスを選ぶところから始めて、自分の手で納得の行く仕上がりに仕上げることができるのが、DIYの醍醐味です。そうして仕上げた家具は、手をかけた分だけ大切にしたくなります。
1 お好みの自然塗料(写真はオスモカラー)
2 ニトリル手袋 1組
3 ウエス(男性用肌着などの柔らかい綿布) 2〜3枚
4 塗料を入れる容器(金属製がベスト)
▼以下は必要に応じて用意してください
5 使い捨てコップ(使用後のウエスの処理用)
6 240〜400番程度のペーパーサンダー(当て木に巻くと使いやすい)
自然塗料という名前ではありますが、多くの自然塗料には有機溶剤が使用されています。臭いが発生しても問題ない場所で、しっかりと換気をしながら塗装しましょう。
ご自宅の場合は床を養生することをお勧めします。大がかりにする必要はありませんが、ブルーシートや大きめなレジャーシートを敷くと、必要以上に家を痛めることがないので安心です。
自然塗料ってどんな塗料なの?
木材の塗装はたくさんの種類がありますが、DIYで塗装するのであれば「含浸型」と呼ばれる、木材に浸透させるタイプの塗料がおすすめです。含浸型の塗料の代表格と言えばオイルタイプの自然塗料がプロの現場でもDIYでも広く使用されています。(写真はマルトクショップ でも使用しているオスモカラーです。)
ウレタン塗料のように表面にツルツルの皮膜を作る塗装の場合、塗装にも専用の器具と技術が必要ですが、自然塗料は場所と塗布用のウエス(柔らかい布)があれば比較的簡単に塗装できます。
木材は塗装をする前に全面の磨きと面取り、必要であればコーナー処理を行っておきましょう。塗装を行った後にこうした削る・磨く作業を行うとせっかくの塗装がやり直しになり、仕上がりにも影響が出てくる場合もありますのでご注意を。
マルトクショップ で木材をご注文いただく場合は、表面と裏面は塗装できる状態まで仕上げて出荷しています。木端・木口・角の処理はオプションになりますので、注文時に「面取り」「コーナー加工」でご指定ください。
マルトクショップ の木材は、180〜240番のペーパーサンダーで研磨してから出荷しています。これはそのまま塗装していただいても充分お使いいただける仕上げになります。
しかし出荷時には綺麗に仕上がっていても、輸送中の天候が悪かったりすると、湿度の影響で細かいざらつきが出ていることがあります。そうした場合は240番〜400番のペーパーサンダーで軽く研磨すると、すぐに綺麗になります。詳しい手順は下記をご参照ください。
届いた時点で問題なくても、もっときめ細かい仕上がりにしたい場合は、同じ要領で一度表面を水拭きすると水の力で細かいささくれやざらつきが浮き上がってきます。完全に乾いてから240番〜400番のペーパーサンダーで再研磨すると、ワンランク上の仕上がりに。ちょっとこだわりたい方にお勧めの裏技です。
手元で再研磨作業をした場合は、乾いたウエスで乾拭きして余計な木粉を拭き取っておきましょう。大体取れていれば、完全には取りきれなくても大丈夫です。
▼仕上げ用サンダーが一台あるとDIYが格段に楽になります
しっかり準備ができたら作業は半分終わったも同然。ウエスで塗料を塗って行きます。一度塗りでも使用する音は可能ですが、できれば基本的には全面2度塗りをするとムラなく綺麗に仕上がるのでおすすめです。今回は最近取り扱いを始めたタモの柾目材を塗装して行きます。
両手にニトリル手袋をはめて、小分け用の容器に移した自然塗料をウエスにつけて塗って行きます。
自然塗料は木材に浸透させて使う塗料ですので、まずは塗料をよく吸う木口(短い方の断面)から塗布しましょう。
塗料を布地に少しずつ足しながら、板目に沿って全面を均一に塗布します。あまりベトベトにつけてしまうと液溜まりができてしまってムラになるので、塗料は少しずつつけましょう。全体に塗料を塗り終わったら、そのまま乾燥させます。
15分〜30分乾燥させた後、表面に塗料のテカリが残っているようであれば、使っていないウエスか綺麗な布で余分な塗料を拭きとり、再度乾燥させます。
1時間程度乾燥させてから、2回目の塗装を行います。1度目ほどは塗料を吸わないので、2度目は1度目よりも少なめに自然塗料をつけて塗布すると綺麗に仕上がります。
1時間程度乾燥させた後に、再度塗料の付着していない布地で吸いきれなかった塗料を拭き取ります。
2度目の塗装が完了した木材がこちら。塗装が綺麗にムラなくできれば、木材の表面に自然なツヤが出て、綺麗に木目が際立って見えることと思います。しっかりと乾燥して表面に余計なべたつき等無くさらりとした手触りになったら、塗装の完了です!
使用後ウエスの処理について
意外と知られていない注意事項ですが、自然塗料の付着したウエスはそのままでは自然発火の可能性があり危険です。すぐに捨てる場合でも、必ず水に浸して処理をしてから捨てましょう。 |
マルトクショップ ではお客様の作品写真を常時募集しています。DIYした素敵な作品をぜひお送りください!
一見ハードルが高く思える木材の塗装ですが、塗料によっては比較的簡単にDIY出来る加工です。場所の確保など配慮が必要な部分はありますが、思い切って自分で塗ってみると思い入れのある作品に仕上がること間違いなし。ぜひチャレンジしてみてくださいね。木材に関してのご相談はいつでも受け付けておりますので、ぜひお気軽にお問い合わせくださいませ。