木の基礎知識 マルトクショップ「もくもく通信」

【棚をDIY】ピッタリサイズの木材の棚を作ってみよう

2019年6月20日

なにげなく安価な三段ボックスなどに逃げてしまいがちだけれど、棚は意外と作り込む要素がたくさんある家具。憧れの壁面収納だって、強度や重量に配慮しながら作ればDIYも可能です。今回はマルトク社内で行った、棚の設計と制作についてレポートをお届けします。

 

目次

 

・棚と言っても色々ある(主な種類)

・DIYならピッタリサイズで作ることができる

 

◆製作のための設計

・手書きでも良いので図面を書こう

 設計のポイント1 縦がち・横がち

 設計のポイント2 可動棚か固定棚か

 設計のポイント3 帆立板の有無

 設計のポイント4 樹種選び

・サイズ計算ができたら部材を手配

・手配した資材

 

組み立て作業

STEP1 棚の設計の確認

STEP2 ダボレールを取り付ける

STEP3 棚を組み立てる(簡単組み立て金物)

STEP4 固定棚の固定

STEP5 最後に可動棚を入れる

材料まとめ

 

棚と言っても色々ある

DIYに取り組む際、一番初めに必要なのは完成形のイメージ。最近ではネットで画像検索をするとスタイリッシュで機能的な棚の画像が沢山出てきます。マルトクショップHPでも、木材を使った素敵な作品のページでお客様の作品をご紹介していますのでご参照ください。ひとくちに棚と言っても、そのバリエーションは様々。もちろん、DIYでの難易度も変わってきます。

 

難易度⭐ 棚板のみの棚

一番手軽にDIYできるタイプの棚。
基本的には何らかの棚受け金具と棚板を組み合わせて制作します。2×4材を突っ張り棒のように設置して壁面収納を作る専用の器具も最近人気です。

>>DIAWALL公式サイト – WAKAI

>LABRICO(ラブリコ)/ 平安伸銅工業

メリットとデメリットの両側面を持つのが収納物が丸見えと言うこと。きちんとディスプレイすれば抜群にお洒落な印象になりますが、ごちゃついた物をとにかく収納したい人には向きません。また、強度が金具と棚板のみに依存するので、金具と樹種選びには慎重になる必要があります。

 

 

難易度⭐⭐ 箱タイプの棚

一般的に「棚」と言われて一番多くの人が思い浮かべるのがこのタイプの棚ではないでしょうか。

設計がシンプルで強度もあるのが特徴です。
側板があるので本のような不安定なものを収納するのにも向いています。ある意味王道と言えるでしょう。

シンプルな作りとはいえ板の勝ち方向や強度、制作工程も金具のみで取り付ける棚よりは考えることが多いですが、強度もあり使い勝手の良いタイプの棚です。

 

 

 

 

難易度⭐️⭐️⭐️ 戸棚

棚に蝶番を取り付け、扉をつけると戸棚になります。扉と棚のサイズをぴったり合わせなければならないので、DIYにはある程度技術が必要です。

戸棚の長所は何と言っても中身を隠せること。何を入れても閉めてしまえば部屋はスッキリです。また、扉を写真のように無垢材やフォトジェニックな素材で作ると一気にインテリアの主役になります。

 

 

 

DIYならぴったりサイズで作ることができる

棚は家具屋やホームセンターでも多く売られている家具。いくらでも安い商品は手に入ります。それにも関わらず、マルトクショップに送られてくるDIY写真はTOP3に入るほど多いです。
その理由として挙げられるのは、

・作りがシンプルなので、初心者でも挑戦しやすい
・好きなサイズで作ることができるので、ぴったりサイズで痒いところに手が届く
・オーダーするよりも安い価格で良い素材を使える
・何よりも、好きなデザインの棚が出来る!

といったところが多いでしょうか。なるべく簡単に作りたければ棚柱や専用金具を手配し、経費を安く抑えたければ樹種を工夫するなど、バランスを取りやすいのもDIYならではかもしれません。

 

 

早速作ってみる! 〜設計編〜

今回作ったのは、普段マルトクショップの更新を行なっているシステム室の収納棚。年末の大掃除の際に別の場所から引っ越してきたのですが、全て会社中から集めたあり合わせの机や棚の中で働いていました。(あり合わせの天板や棚が会社中にいくつもあるのはマルトクあるあるかもしれません。)

立とうとすると椅子が後ろにぶつかる

立とうとすると椅子が後ろにぶつかる

決定的な欠点は、椅子の可動スペースの狭さ。この夏からスタッフが増えることもあり、きちんと業務スペースを確保しつつ、収納力もある棚を・・・ということで、システム室スタッフでDIYすることにしました。

 

手書きでも良いので図面を書こう

手書きでも良いので図面を引こう

手書きでも良いので図面を引こう

棚のように複数の資材が必要なDIYでは、簡単でも良いので必ず図面を起こしてみましょう。図を書いてサイズを計算することで、必要な材料と注意点が見えてきます。図面を引くのはCADが便利です。Jw_cadならインターネット上で無料でダウンロードできる上、ちょっと練習したらすぐ使えるようになるのでお勧めです。もちろん、きちんとサイズ計算さえできていれば手書きでも問題ありません。

今回は壁面に沿った背の高い棚を作ることにしました。収納物に本が多数あることから、形は側板のある箱型に。壁にピッタリつけるので、背板は無しで制作します。

 

 

設計のポイント1 縦がち・横がち

棚を横からみたときに天板が側板に乗っている形を「横がち」、側板で隠れている形を「縦がち」と言います。一般的には天板が視線より下に来る場合は横がち、上に来る場合は縦がちが綺麗だと言われています。また、天板の上に何かを置くような使い方をする場合も、横がちの方が強度に優れるでしょう。

 

 

設計のポイント2 可動棚か固定棚か

棚板の高さを自由に変更することのできる棚を可動棚と言い、市販の金具で簡単に作ることができます。いくつか種類がありますが、今回作った棚はダボレールという金具を使って可動棚をDIYしました。

見た目をスッキリさせたい場合は板自身にダボ穴を開けるという方法もありますが、等間隔に全ての板に穴を開けるのは高度な技。DIYで行う場合、初心者の方はプロに開けてもらった方が安心かもしれません。

また可動棚は便利な反面、棚の強度を補強することはできません。おおよそですが、高さが1m以上になってくる場合はどこかを固定棚にすることを検討した方が良いです。

 

 

設計のポイント3 帆立板の有無

帆立板とはいわゆる縦の「間仕切り」のことです。収納力を上げたいときには帆立板は欲しいところですが、あると組み立ての難易度が上がるのも事実。帆立板を固定して、いざ棚板を入れようとしたらずれてしまって入らない!なんてことはDIY初心者のあるある話です。

しかし、おおよそですが棚板の横幅が800mmより大きくなってくると、無いと棚板の重さにビスが負けてしまう可能性も(樹種や設計によりますので目安です)。帆立板は内側から棚板を支える役目も担います。

 

 

無いと簡単、あると安心だけど難易度の上がる帆立板。今回はシステム室の人間で組み立てなければならないという事情もあり(=工場スタッフと違って素人)、帆立板と側板の固定に簡単組み立て金物を採用しました。

この加工はマルトクショップでも別注で承っています。興味のある方はぜひお問い合わせください。(1ヶ所800円税込~)

お問い合わせフォーム

 

 

設計のポイント4 樹種選び

設計を始める前に決めておいた方が良いのが樹種。樹種によって強度が異なるので、使用する板の厚さにも影響が出ます。棚は木材をたくさん使うので安くて扱い易いパインや杉で製作する方も多いですが、柔らかくて薄い木材は強度には優れないことがほとんど。薄い側板でスッキリとした印象に仕上げたいときは広葉樹がお勧めです。

樹種の硬度はこちらで確認できます。
木材の性質および価格帯チャート

どの樹種であればどの程度の厚さが必要なのかは、図面をお送りいただければご相談も承っていますので、迷った際にはぜひご相談ください。そもそも図面が・・・というお客様には、有料で図面を作成することも出来ます。お気軽にお問い合わせください。
お問い合わせフォーム

価格を抑えたいときには側板と天板に無垢材、棚板や帆立板には集成材、背板にはベニヤ・・・等、部位によって木材を使い分けるのがお勧めです。無垢材と集成材で樹種を合わせたり塗装の色を合わせるだけでも、驚くほど違和感ない出来上がりです。

 

設計・サイズ計算ができたら部材を手配

形・樹種を決め、サイズをきっちり測ったらいよいよ部材を手配します。今回DIYする棚の詳細は以下の通りです。

 

棚の設計

縦1620×幅1520×奥行き300mm。今回重視していたのは収納力を落とすことなく棚の前のスペースを広くすること。普段使用している収納用ダンボールを縦に収納しているので、横に並べられるように設計し直しました。奥行きを減らした分、縦の段数は増えています。

樹種

大きな棚なので強度が必要ですが、なるべく薄い板でスッキリ見せたいという希望だったので、安価かつ強度抜群のゴム集成材(20mm)を選択。ほんのりピンク色の色味も柔らかい雰囲気です。

簡単組み立て金物

先述の簡単組み立て金物は、金具を回転して固定するタイプを選択。帆立板のある棚の場合、きちんと所定の位置に板を取り付けるのは技術のいる仕事です。今回この加工を行うことで女性の力でも大型の棚を組み上げることができました。

 

 

手配した資材

棚本体(ゴム集成材)

【天板&底板】
20×300×1520mm×2枚(簡単組み立て金具:メス)

【側板&帆立板】
20×300×1580mm×2枚(簡単組み立て金具:オス)

【固定棚用棚板】
20×300×480mm×3枚

【可動棚用棚板】
20×300×470mm×9枚

 

金具

【ダボレール】
ダボを穴に差し込むことで棚受けにすることができる

【金折】
固定棚を固定する。シンプルで安価。棚板1枚につき4枚使用

【ビス】
皿木ネジを使用。棚板の固定用は必ず板の厚みよりも短いものを選びましょう

 

 

使用する器具

【インパクトドライバー】
今回使うゴム集成材は硬いので、ドリルではなくインパクトドライバーを選択。

【ビット】
下穴用のドリル(2.5mm)、ネジしめ用のビット

【六角レンチ】
簡単組み立て金具用)

 

DIYは設計して計画を立て、資材を不足なく揃えることができれば50%出来上がったも同然です。

 

組み立て作業

STEP1 棚の設計の確認

今回製作するのは縦1620×幅1520×奥行き300mmの棚をDIYします。

帆立板2枚と側板は簡単組み立て金物で、棚板3枚は金折でそれぞれ固定します。

側板と帆立板にはダボレールを取り付けて、最終的には好きな場所に棚板を入れることができるように予定しています。

 

 

 

STEP2 ダボレール・金折を取り付ける

 

2-1:ダボレールの取付位置を決めて行く

ダボレールとは、ダボを棚受けとして利用して棚板を支える可動棚の仕組みです。逆涙型になった下の穴にダボを固定し、棚板を支えます。

ダボレール自体にも厚みがあるので、利用する際にはダボレールの厚みも計算して設計しましょう。

今回外枠と帆立板の組み立ては簡単組み立て金物で行うので、ダボレールの設置位置を決めて行きます。

さしがねで位置を決めてマスキングテープを貼ります。

2-2:ダボレールの仮置き

位置が決まったら一度仮置きしてみます。写真のように貼り付ける必要まではないのですが、今回は数が多いので紛失防止に軽く留めました。

ダボレールは長い物を切って使用しています。カットすると穴の位置がずれる可能性があるので、ズレが無いか確認する意味でも仮置きしてみましょう。

ダボレールの切れ目の部分に、固定棚を設置します。

2-3:下穴を開け、固定する

ダボレールにはネジを止めるための穴が空いているので、インパクトドライバーで下穴を開けて皿木ネジで固定して行きます。

仮留めのまま全ての下穴を開けるのではなく、まずは1箇所だけ固定して仮留めを外し、木材にきちんと平行になっているかを確かめながら他の穴も固定する方が調整できて失敗が少ないです。

意外に上下を間違えるので気をつけましょう。

2-4:金折を取り付ける

今回、固定棚部分の固定には金折と言う金具を使用しました。棚受け専用金具に比べ単体での強度は多少落ちますが、きちんとサイズを選べば問題なし。

必要な耐荷重を店員さんに伝えて教えてもらいましょう。

金折は単価が数十円〜と安く、ホームセンター等でも手に入りやすいので使いやすい金物です。

2-5:位置を決め、取り付ける

ダボレールと同じく金折の固定位置の墨付けをしたら、下穴を開けて取り付けます。

向かい合う四つの金具の高さが同じでないと棚板が傾いてしまうので、位置の墨付けはきちんとさしがねで直角を取りながら行いましょう。

実はこの写真、撮影してから反省したのは金具の下辺に墨付けをすれば良かったということ。ちょうど金具の折り目の部分に印をつけたので、見にくくて苦労しました。

2-6:金具を取り付けた状態

棚が大きめなので打ち込む場所も多く、この金具取り付けの作業に一番時間がかかりました。裏面の金折は組み立ててから取り付けます。

 

 

STEP3 棚を組み立てる(簡単組み立て金物)

金具を取り付け終わったら、いよいよ棚を組み立てます。今回、外枠と帆立板には簡単組み立て金物をあらかじめ入れてあります。大きな家具を組み立てる際には非常に便利な加工なので、ご利用になりたい方はぜひお問い合わせください。(1箇所800円〜)

 

3-1:簡単組み立て金物をジョイントする

天板と底板にはメス金具を、側板と帆立板にはオス金具を仕込んであります。

まずは金具同士がぴったりはまるように合わせるのですが、この手の加工の大敵は、木材の反り。特に今時期のような湿度の高いシーズンは、あとで組み立てようと数日放置しただけでも木材は動いてしまいます。

ひどく反った場合は金具を合わせることすらままならないので、届いた木材は早めに使用しましょう

3-2:六角レンチで締める

きちんと金具が合わさっていたら、穴に付属の六角レンチを差し込んで回します。グリッと回る感触があればOK。

3-3:外枠の完成

板を並べたままだと付けにくかった部分の金具も、このタイミングで付けてしまいます。

まだこのままだと横方向の力に弱いので、押すと少しぐらつきます。それを補強するために、固定棚を付けていきます。

 

 

 

STEP4 固定棚の固定

4-1:棚板を仮置きする

棚受けの金折の上に、まず棚板を置いてしまいます。簡単組み立て金物のジョイントをしてあっても、意外と帆立板はたわむので、必ず三枚とも並べて位置を合わせてから取り付けます。

4-2:下穴の位置を棚板に書き込む

金折の穴に鉛筆を差し込んで、グリグリと位置を写し取ります。写したら一旦板を外し、インパクトドライバーで下穴を空けます。

4-3:板を戻し、固定する

下穴を開けたら板を元の位置に戻し、木ネジで固定して行きます。

固定棚設置の辛いところは、上に向かってのネジ締めが避けられないところ。この作業だけは上から抑えてもらって二人掛かりでした。下穴をしっかりと開けておくと、だいぶ作業は楽になります。

 

 

STEP5 最後に可動棚を入れる

5-1:ダボで棚受けを作る

可動棚を固定したらインパクトドライバーを使用する作業は終了!あとは可動棚の位置を決めて行きます。

棚を入れたいところにダボを差し込めば、棚受けとなります。棚板が多いと、何気ない作業に見えても一仕事です。

5-2:棚板を差し込む

可動棚の棚板は、ダボレールの厚みを考慮して固定棚の棚板よりも短く注文する必要があります。

今回の場合は10mm小さくなるようカットしてあります。

 

 

完成!!

今回は同じ棚を2台製作。ちょっとした壁面収納になりました。元から壁にあるラインに高さを合わせたので、直線情報が少なくなってスッキリしました。

 

ダンボールを縦に収納していたのを横に入るようにしました。素材も薄くしてスッキリ。

 

一番問題だった椅子の後ろの空間も広くなりました!

ダボレールの位置合わせが甘く、若干棚板がガタつくおまけ付きではありましたが概ね問題なく完成させることができました。

300×1520×1620mmとボリュームのある棚でしたが、固定部分を増やし、堅いゴム材を使用したので、全体を20mmと薄めな材で統一することができました。やっぱり薄い方が見た目がスッキリします。

 

 

材料まとめ

今回制作した棚の材料をまとめました。

項目 詳細 参考価格
【木材】天板&底板 20×300×1520mm
糸面+磨き
2枚 5,050円/枚
【木材】側板&帆立板 20×300×1580mm
糸面+磨き
2枚 5,240円/枚
【加工】簡単組み立て金物 8箇所 800円/箇所
【木材】固定棚用棚板 20×300×480mm 3枚 1,250円/枚
【木材】可動棚用棚板 20×300×470mm
糸面+磨き
9枚 1,700円/枚
【金物】ダボレール 1820mmを購入してカット 12本 1000円前後/本
【金物】金折 32×40mm 12枚 約65円/枚
【金物】更木ネジ 3.1×16mm
3.1×20mm
約2~400円/箱
【金物】ダボ 8×18mm 72個 約3~400円/10個
道具 インパクトドライバー
六角レンチ
マスキングテープ
鉛筆
さしがね

ダボレールのカットはご家庭では難しいですが、カットしてくれる金物屋もネットで見つかります。また、丸ノコを置いてあるホームセンターやDIYスペースなどではカットできる場所もあるかもしれません。
棚は基本的に墨付け、穴空け、ネジ締めだけで作ることができるので高度な技術は必要ありません。樹種や塗装、加工に関してはご連絡いただければご相談にも乗らせていただきますので、ぜひ挑戦いただければと思います。

 

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マルトク店長からのご挨拶


中島弘樹

マルトクショップは、木材(無垢材・集成材・積層材)のフリーカット販売・床材(フローリング材)の通販専門店です。
無垢材・集成材をお好みの寸法にカット、木材のサンプルを送料無料でお届け、施主支給など、お客様のニーズにあわせたプランをご用意しています。