2025年3月27日
DIYに興味がなくても、新築やリフォームの検討中など人生の節目で選ぶ機会も出てくる「無垢材」「集成材」。いったいどんな素材なのでしょうか?今回のもくもく通信では、集成材についての基本的な知識をご紹介します。
目次
集成材とは?集成材の基本の知識
– 集成材のメリット – 集成材の用途
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集成材とは、30×30×250〜350mm程度の細長い無垢材を、接着剤を用いて縦横に接着した木質材料のことです。天然の木材である無垢材とは異なり人工的に作られる木材ですが、いわゆる合板とは違って板の厚み方向に関しては貼り合わせ等は無く”100%木材”であるのが集成材のひとつの特徴です。サイズに制限のある無垢材とは異なり大きなサイズの木材も入手しやすく、木材の良い部分のみを使用して製造されることから品質の安定性にも優れているので家具や内装、DIYの材料にも幅広く使われています。
日本農林規格(JAS)では、集成材は以下のように定義されています。
「ひき板又は小角材等をその繊維方向を互いにほぼ平行にして、厚さ、幅及び長さの方向に集成接着を施した一般材」
つまり、複数の木材を繊維方向を揃えて接着することで、強度や寸法安定性を高めた木材のことを指します。集成材は1930年頃にアメリカで開発されたと言われており、強度のばらつきやサイズの制限など無垢材の欠点をカバーできる木質材料として誕生しました。通常端材として捨てられてしまう小さな材料も活用できるエコな素材でもあります。
集成材は、用途や製造方法によって様々な種類があります。
内装材や家具など、装飾的な用途で使用される集成材。基本的には木材の特徴や美しさを活かして製造されます。ニーズに応えるために様々な樹種や仕上げがあり、無垢材よりも大きなサイズも製造可能なのでデザインの自由度が高いのが特徴です。後述の構造用集成材と比較すると強度面では差がありますが、基本的には無垢材や幅はぎ材と全く同じような加工・塗装ができ同じ用途で使用できます。
建物の柱や梁など、構造材として使用される集成材です。これらの構造物は建物を支える骨組みとして非常に大切なものなので、構造用集成材は国土交通省によって強度基準が定められています。強度や耐久性が高く、大規模な建築物にも使用されます。構造用集成材は主に針葉樹で製造され、接着の方法によってLVL、CLT、NLT、DLTなどに細分されます。
ボルトジョイント加工も施した大判テーブル
木材は種類によって取れる板の大きさが異なるため、無垢材であれば天板に使えるような大きな板は樹種が限られる上に高額であったり、避けられない欠点があったりすることがあります。その点集成材は無垢材の良いところだけを集めて、無垢材では難しいサイズの大きな板が作られるので(造作用集成材であれば、5〜600mm×4200mmなど)、様々な樹種であったり形状の製品が流通しています。樹種やサイズに妥協せず多様なデザインに対応できるのが、集成材の大きなメリットです。
同じウォールナットの集成材白太なし・白太有り
無垢材は一本の木から切り出すため、節や白太の入り方など品質にばらつきが出やすいもの。木材は命ある生き物である樹木から作られるので当然であり、それが個性でもあるので無垢材の欠点とも言い切れませんが、使用の際に「人間が木に合わせる必要がある」のが無垢材です。その点一種の工業製品である集成材は元の無垢材の欠点を避けて・もしくは基準を設けて作られた一つ一つのピース(ラミナと言います)を使って製造されるので、一定の品質を保つことが可能です。設計の際にもイレギュラーを想定する必要がほとんど無く、現場での使いやすさは集成材に軍配が上がると言えます。
樹種 | 無垢材価格 | 集成材価格 |
タモ | 31,380円 | 16,430円 |
国産桧 | 27,590円 | 17,690円 |
ウォールナット | 51,240円 | 31,510円 |
25×600×1800mmの場合の価格差例
基本的には同じ樹種、同じ程度のグレードであれば無垢材よりも集成材の方が価格が抑えられる素材であると考えて良いでしょう。しかしどんな物にも言えることですが、無垢材には様々な事情で価格の安い出物があったり、集成材も製造量が少ない樹種に関しては無垢材よりも価格が高い製品も存在します。輸入木材については入荷のタイミングの為替の影響も受けるため、一概には言えないですが総合的に見て「価格を抑えるならば無垢材より集成材」であることは間違いありません。
集成材に使われている無垢材の一片は小さいものでおよそ30×30×250mm程度。無垢材としてであれば利用方法が限られるためそのままでは流通しないような小さな木材や、節などの欠点の多い木材を有効活用できるため、森林資源の保護に貢献できるエコな素材でもあります。
集成材は無垢材に比べて強度が高く、割れや反りが少ないと言われています。特にこれは構造用集成材に言えることで、強度基準がしっかりと定められているからこそ家の柱や梁など建築の構造の部分に使用することが可能です。
造作用集成材においては、総合的には無垢材よりは安定性は高いかもしれませんが、基本的には割れや反りなどの材の動きは無いとは言えません。無垢材と同じく使用環境に左右されるので、使用の際には無垢材同様反りどめや適切な固定が必要です。
集成材は接着剤を使って木材の小さいピース(ラミナ)を繋ぎ合わせた木材です。当然接着剤の種類によっては、ホルムアルデヒドなどの化学物質が放出される可能性があります。
日本国内においては集成材等から発生する有害物質についてF☆☆☆☆(エフフォースター)という基準が設けられており、特に家屋などに使用される集成材に関しては基準をクリアした製品が使われていることがほとんどです。
左:ブラックチェリー無垢材 右:同集成材
もしも木材を使う目的に天然の木材ならではの質感や風合いを求める場合には、無垢材の方がデザイン的に適している場合があります。無垢材の小さなピースを接着している集成材は、触感や材質の部分で言えば無垢材と遜色のないことがほとんど。でも小さくピースをカットすることで木目は繋がり無く分断され、ものによっては白太などの色の異なる部分も取り除かれるため、木目や色に関して言えば、無垢材の自然な表情とは印象が異なってきます。
「小さな無垢材を集めて接着した板」である集成材(造作用集成材)は、無垢材に行うことのできるほぼすべての加工を行うことができます。また、仕上げや塗装に関しても、無垢材と全く同様の内容で仕上げることが可能です。
集成材の面取り加工サンプル
面取り・カット・穴あけ・金具の取り付けなど、無垢材に行うことのできる加工で集成材だからできない加工は基本的には無く、無垢材同等の内容で加工することが可能です。ただ1点だけ例外があるのが、「極端に小さなサイズの加工」になります。ラミナと呼ばれる集成材の接着前のパーツの幅がおよそ30mm前後になるのですが、集成材はこのパーツより小さいサイズに加工すると接着面が剥がれる可能性があるため通常はおすすめ出来ません。
集成材は塗装も同じく無垢材同様の内容で行うことが出来ます。
自然塗料、オイルステインと呼ばれる塗料を木材の表面に浸透させる塗装方法。木材の表面をコーティングしないので、木材の自然な手触りや木材の持つ調湿効果を損なうことなく使うことが出来ます。汚れにはあまり強くありませんが、使う中で汚れが目立ったり傷が出来た場合には研磨して塗りなおすことができるので、手間さえかければいつでも新品同様の美しさを取り戻せるのがメリットです。数ヶ月〜年に一度程度のメンテナンス塗装が必要です。
造膜型塗装と呼ばれる、伸縮性のある塗料で木材の表面を完全にコーティングする塗装です。専用のスプレーで吹き付けて塗装するため塗装にも塗り直し等のメンテナンスにもプロの手が必要ですが、日常のお手入れは水拭き程度でほぼ不要なのが大きなメリットです。
他にもペンキやワックス、合成樹脂調合ペイントなど木材の塗料は各メーカーから様々な製品が販売されていますが、基本的には無垢材に使用できる塗料はすべて集成材にも使用できると考えて大丈夫です。
集成材は、住宅、商業施設、公共施設などあらゆる建築物の内装材や構造用の素材として、また様々なDIYの材料としてもポピュラーに使用されています。いく先々で建物の木質部分や家具をじっくり観察すれば、きっといたるところに集成材を発見することができるでしょう。
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集成材は、強度、寸法安定性、デザイン性など、様々なメリットを持つ素材です。用途や目的に合わせて適切な集成材を選ぶことで、快適で安全な空間を作ることができます。
木材を選ぶ際に、多くの場面で無垢材との引き合いに出される集成材。無垢材とはまた違った長所があり、現代では建築に内装にDIYにと多くの場面で使用されている素材です。無垢では実現が難しいようなデザインも、サイズの制限が無垢よりも少ない集成材であれば叶えることが出来ることも。悩んだ際にはサンプルだけでもぜひお手にとってみてくださいね。
木材の樹種選び、加工の質問やご相談はお問い合わせフォームより承っておりますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。
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