2017年11月2日
木材の反りはなぜ起こる
天然木材の魅力は、見た目の味わい深さだけでなく、木肌の優しい感触や、使い込むほどに馴染む質感、触れた際に響く深い音など、天然木材ならでは豊かさに満ちています。
しかし、水分含有率など適正規準で出荷された天然木材も、使用環境や経年で変化します。さらに塗装の有無によっては、含水率が変化しソリや、たわみ等を引き起こす要因となります。
こうした、天然木材を末長く気持ちよくお使い頂く為の方法や知識を今回よりシリーズでお伝えいたします。
木材のソリやたわみなどの原因は、いくつかの要因がありますが、その一つが木材内部の含水率の変化によるものです。
木材は、呼吸をしており内部の水分を放出と吸収を繰り返しています。それに伴って含水率が変化します。呼吸を止め、材の含水率を一定に保つ為に、全体を塗料皮膜(ウレタン塗装等)で覆うと木材内部の水分量が安定し、水分発生が抑えられ、結果的にソリの抑制になります。
無塗装の場合や、片面のみの塗装(マルトクでの塗装は、すべて両面塗装です)の場合などは、非塗装面から木材の呼吸が生じ、木材の形状に変化が訪れます。
これら以外に形状変化する要因は、荷重や、日射など使用環境に起因するケースがあります。
金属や、合成素材でも環境や条件によって変化しますが、木材は環境や条件にとても敏感です。
薄い天板に重いものを乗せると反りが発生したり。天板の一部だけに日射が続いたり、無塗装の天板に水をこぼすなどすると、ソリの原因となります。
金属でも、熱や経年劣化で多少ゆがみが生じます。身近にある真っすぐなはずのステンレス定規でも、同じ定規を2本用意して目盛り部分を合わせると隙間ができる事があるなど、真っすぐに保つ事は、自然環境の中においては難しい事なのかもしれません。
金属に比べ木材はその特性から、薄い木材製棚板に荷重をかければ簡単にたわむように、ソリ発生の要因の一つに「厚さ」が大きな要素になります。
もちろん幅や長さ、取付け方法なども関係してきますが、ソリの出やすさには材毎の個体差もあります。
しかし、様々な対策で安心して使用できる方法がありますので、参考にして下さい。
(ソリの科学)
木材のソリは、荷加重や負荷にも大きく起因しますが、木材内部の水分量の変化にとても影響を受けます。
一般的に木材は、原木の段階から様々な乾燥工程を経て規格に準じた水分含水量に整えられて市場に出荷されています。
さらに樹種や伐採時期、心材(中心部)と辺材でも含水率は異なり、規準(JAS等)に準じた商品のみ市場に出ています。
ご使用中、地域の気候や時期、使用環境により含水率も変化し、少なからず影響を受けます。
[参考]広葉樹:ウォールナット、オーク、タモ、ナラ、ポプラなど 針葉樹:杉、桧、赤松、栂など
【木材豆知識】 生材は、多量の水分を含んでいます。その水分の量は、樹種、木の周辺部(辺材)と中心(心材)、幹の位置、生育環境、季節などによってかなり変化します。一般に次のようにいわれています。
出典:千代田工業株式会社 ホームページ「木の話」より引用 |
決して直線的な部分のない自然木を、直線で製材し放置すると、下図のようにソリが発生する性質があります。木表と木裏の含水率の差や、様々な要因で、ソリが発生します。
マルトクショップでは、反りにくい状態の材をお届けしています
木材の反りの発生は、含水率が20%〜30%の時に著しく発生します。マルトクでは、針葉樹は概ね15%、広葉樹は概ね12%の状態で材を出荷していますので、ご安心してお使い下さい。
乾燥中の無垢材
天板も、厚みがあればソリ抑制になります。更にウレタンの両面塗装を施す事で、ソリの予防に寄与しますが、最大の予防策は、天板の裏側に取付ける「ソリ止め」です。ソリの発生しやすい幅方向のソリを金具によって抑えるものです。
木材の特性から、幅方向に金属のL字型金具を固定する事で、物理的にソリを抑える事が出来ます。
天板の裏面に取付けられた「ソリ止め」金属製の金具が幅ゾリを防ぎます。
マルトクショップでもソリ止め加工を行っていますので、ソリが気になる方は木材購入時に一緒にお申し込み下さい。反り止め金具の取付け方によって可能な材の厚みが異なります。
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マルトクショップ 「反り止め」