2017年8月31日
材の傷み、再塗装時の下地処理
サンディング術
材の表面が傷んできたら、無垢・集成材の見せ所
表面が傷んだり、小さな傷が発生したり、多少凹んでも
修復できるのが天然木のいいところ。
テーブル天板を想定して、下地の整え方をお伝えします。
-------------------------------------------
「サンディング」基本の基本
木工作業につきもののサンドペーパーがけ、いわゆるサンディング作業は、避けては通れない技術です。手法は、人の数だけありますが基本の基本を紹介させていただきます。あとは、ご自身でやりやすいように工夫すれば作業も楽しいものとなるでしょう。
サンディング作業に近道無し
何事も基本が大切ですが、サンディングも手を抜けば必ず仕上がりに反映するという事です。実際、サンディング作業は手間も時間もかかります。
初めてサンディング作業をすると「いくら削っても一向にきれいにならない」という印象があります。サンディングの手順は以下の通りです。
《サンディングの手順》
※サンドぺーパーを当て木*に巻いて使用します。
1.粗目(80番程度)のサンドペーパーで木地表面をフラットに削る。(下地が傷んでいない場合は2へ進む)
2.フラットになったら中目(150番〜240番程度)で木地表面を均質に整えます。
3.木地が整ったら仕上目(240番以上)でけば立ちを無くし化粧磨きを行います。
サンディングの力加減
サンディングは、とても根気のいる作業です。力を入れて研磨すると早く出来そうですが、材表面に凹凸が発生しやすいので、全体をフラットに仕上げるには、
「弱い力で何度も往復させて磨く」
ことが基本です。あせらずじっくりと行うのが、きれいに仕上げるコツです。力を入れて磨くと、部分的に削れすぎたりしがちです。弱い力で、表面を滑らすように磨きましょう。
サンドペーパーの種類を変えるタイミング
所要時間は、材表面が荒れている場合(傷、凹み、傷み)は1の粗目に時間がかかります。2の中目でのサンディングは、1の粗目サンドペーパーで出来たサンディング痕を取り除く作業です。木地表面が均質な状態になるまで磨きます。
最後の3の作業は、2で出来たサンディング痕が消えるまで行います。
サンドペーパーの寿命
サンドペーパーも使用頻度により劣化してゆきます。使用していると材の粉塵の出方が少しずつ減ってきます。抵抗感がなくなる前に新しいサンドペーパーに交換しましょう。
仕上がりは、時間と根気に比例します
手作業でのサンディングは、状態にもよりますが、丁寧にすればするほど時間を要します。初めてサンディングを行う方は、作業イメージを掴むために事前に、まな板やカッティングボードなどを磨いてみると研磨に要する時間と仕上がり具合の感覚が掴めるでしょう。
思い通りに研磨できるようであれば、大丈夫です。もし、時間と手間がかかる印象をお持ちになられたら専門家に任すか、スペースと時間が確保できた折に行うか判断してください。
サンディング作業は、力仕事です。一般的な家庭のダイニングテーブルをサンディングすると、おそらく半日以上~1日は掛かるのではないでしょうか。そのあたりも考慮してご判断ください。
サンドペーパー:左手前奥80番(粗目、120番、180番、240番(仕上げ用)とサンドペーパーフレーム(市販品)と当て木(サンディングブロック)
サンドペーパー(木工用)の番手説明(目安)
粗 目 ⇩ |
80~150番程度 | 荒削り用(粗研磨) |
中 目 ⇩ |
180〜240番程度 | 中研ぎ用 |
仕 上 目 ⇩ |
240番以上 | 仕上研ぎ用(塗装の下地仕上) |
超 仕 上 目 | 400番程度 |
超(精密)仕上研ぎ用(必要な場合のみ) |
※研磨時は、粗目〜中目〜仕上目の順に研磨する。(表の上から下の順に用いる)
手作業での磨き
手作業で、サンドペーパーをかける場合は、サンドペーパーをフラットな面の木片に巻き付けて使用するとフラットに面が出ます。木片の大きさは、手になじむ掴みやすいサイズのものを用意しましょう。
コグチ、コバも忘れずに磨きましょう。
サンドペーパーは、あらかじめ使いやすい大きさにカットされたものや、裏に接着剤がついたタイプ、サンドペーパーをセットして使用する専用工具など様々な商品が市販されています。ホームセンターなど、作業にあったものを選びましょう。
時間とスペースにゆとりを持って行いましょう
サンドペーパーには、木工用、金属用、耐水タイプと様々ありますが、木工用を使用して下さい。
堅めの木材の研磨は時間がかかりますのでゆとりをもって取組みましょう。
ペーパーがけは、かなり埃がたちます。屋外での作業がお勧めです。磨きが済んだら必ず、表面の埃をきれいにふき取ってから塗装にかかりましょう。
木材の特性で、磨いた後しばらく経つと少し毛羽立ちます。メンテナンス用ワックスや塗料でも多少の細かな毛羽立ちは、落ち着きますが、目立つようならサンドぺーパーの番手を上げて(細かい)仕上げましょう。
サンドペーパーは、必ず若い番手(粗い番手)から使用するのが原則
仕上げ順に始めは粗目の120~150番程度のサンドペーパーで下研磨をします。材表面に傷やへこみがある場合は、80番の粗目番手から始めるといいでしょう。
次に180~240番程度のもので仕上げます。仕上がりに満足が行かなかったら400番程度の細かい番手で仕上げる必要があるかもしれませんが、一般的には240番で充分かと思います。
マルトクでは、出荷時の材表面は240番のサンドペーパーで磨いています。
研磨時に発生する粉塵対策も必要です。健康の為マスクをご使用下さい。
電動のハンドサンダー(左)だと作業が早いですが、時間はかかりますがサンドペーパーでも出来ます。当て木にサンドペーパーを巻き付けて使用します。
サンディングの仕方
基本は、板目と同じ方向に研磨します。特に、粗目のサンドペーパーを使用するときは鉄則となります。板目に対し直角に研磨すると材の表面が荒れてしまいますので、必ず板目に沿って研磨してください。
仕上げ用の細かい番手のサンドペーパー(240番以上)ならその心配はありませんので、効率のいい方向で研磨しても大丈夫です。ただし、力は入れずに軽く行ってください。
電動サンダーのススメ
材表面の研磨~磨きはとても時間のかかる作業です。状態にもよりますが、家庭用のダイニングテーブルでも電動サンダーを使用しても1時間以上かかる場合がありますが、手で行うよりも遥かに早く仕上がります。
無垢・集成材との長い付き合いを考えるなら、電動サンダーのご購入をお勧めします。家庭用なら、ホームセンターなどで「ミニサンダ」「マウスサンダー」「サンダポリッシャ」といった名称で数千円~販売されており、研磨以外にポリッシュ(磨き)作業にも使用できる機種もありますので、よく検討されるといいでしょう。
当て木*(あてぎ):木工用語で、木材を材を傷めないようにあてがう木の意味です。マルトクでは当て木にサンドペーパーを巻き付けてサンディングに使用しています。あらかじめサンドペーパーに接着剤がついたものもありますが、サンドペーパーの裏に両面テープを貼って当て木に固定すると使い易くなります。
当て木のサイズは、手の大きさに合わせて準備しましょう。マルトクでは厚み20㎜~30㎜で、幅、長さは、かまぼこ板程度の大きさです。大きさは、好みです。重要ポイントは、水平面であること。凸凹があると、サンディング時に材表面がフラットに仕上げられません。
研磨の参考動画
(マルトクショップ動画)
作業工程紹介動画 4:40あたり
https://shop.woodworks-marutoku.com/movie/