2018年8月15日
オークな家
〜クールな素材×無垢材の融合〜
Iさん邸(神奈川県)
今回から随時掲載を予定しています「お客様訪問(記)」初回は、住居の基本設計からDIYで家具まで造ったIさん邸を訪問しました。
Iさんは、プロの設計士でも家具の職人でもありませんが、こだわりと熱意で見事なまでの住まいをつくられました。
こだわりの空間作りをセルフデザイン
人気建築家を思わせるセンスで、基本設計から据え付け家具や什器の製作はもちろん、床や塀板、タイル貼りまで多くをご自身で施工され、まるで一人工務店のような奮闘で家を創られた、マルトクショップのお客様を訪問してきました。
生活用具なども、独自のコンセプトに基づいて妥協なしに拘わり「欲しいものは徹底して探し、無ければ自分で作る」事をポリシーとされていらっしゃいます。
玄関のベンチが温かさを添えている。 玄関に入るとオブジェのような靴棚。
デザインと暮らしやすさへのこだわり
今回、オーク材への一貫したこだわりを貫くIさん邸をご訪問できる機会を頂き、胸を躍らせながらご自宅に伺いました。インパクトのある住宅の外観。コンクリートの外壁に紅一点の郵便ポストが外観を引き締めていました。思わず期待値がぐっと上がったのは言うまでもありません。
Iさんのポリシーは、徹底したデザインと暮らしやすさへの拘り
有機的な導線とスペース配分
玄関から靴を脱がずにユーティリティへ直行ができたり、入浴後バスルームから洗濯機のあるユーティリティを経由して寝室への暮らし方に則した自然な導線設定です。
玄関からの導線上は、基本靴のまま用事が済ませられる。
こういった導線以外にも、生活効率の良い有機的な導線を随所に発見することが出来ました。
ユーティリティは、洗濯や家事全般をゆったり効率良く処理できる充分なスペースが確保されており、家事そのものも楽しめ、その広い空間には無垢の棚板がアクセントになっていました。
リビングルームは、心地の良い無垢材が落着きとモダンさを醸し出している。
“靴”を履いたままの暮らしができる家
玄関は、框(かまち)のないフラットな玄関空間が確保されています。玄関先には工夫されたユニークな脚のオークの無垢材ベンチがポイントになっており、中には同素材の開放的な靴棚がオブジェのように鎮座しています。下駄箱のような重厚な存在感ではなく、いたって軽やかでオークの温かみが引出されたおしゃれなデザインが秀逸です。実際、風通しもいいので、靴の保管としては理に適ったデザインだと納得しました。
無機質なコンクリートの素材感を家の内外に見せながら、無垢材が随所でアクセントになっており独特の心地よいエッジの効いたおしゃれな雰囲気が漂っています。
部屋のコーナーには、無垢材が住まいの味わいを深めている。昔から使われていた欅材も再利用(写真右側)。
オークにこだわる理由
無垢材も、樹種を限定して用いられている為、家全体が一貫した落着きが醸し出されていました。
Iさんのこだわりのきっかけとなったのは、人気ファクトリー製オーク材のテーブルとの出会だそうです。
その出会いから、すっかりオーク材に魅了され、今回のご自邸もオーク材を随所に用いられました。
癒しのスペースには、オークが肌と目に優しい。
ベッド、キッチン、AVラック、ソファ、棚、そして床までオーク材を用いられており、目の届かない箇所にもオーク材を使われるなどポリシーを強く感じました。
オークはウイスキー樽材としても有名な堅い材質
オークは、ブナ科の樹種で家具や様々な内装材、床板、ウイスキーの樽材として有名です。材質はかなり堅めです。利用範囲も広く、経年による味わいが深まるのが特徴の樹種です。
巧みなご自身による見事な設計・デザイン
ご自宅の設計は、構造計算はプロに任せられたものの、家具や調度品のデザインや水周りの壁面タイル貼り、フローリングなどもご自身で施工さられたり、専門的ですが、コンクリートの割りにも拘られるなど徹底した審美眼とセンス、ご自身による施工の巧みさに感心しました。
空を掴(つか)めるリビングルーム
将来的に、屋上にウッドデッキの設置を計画されておられます。手すりと外階段を設け、空の見える第二のリビングルームとして活用されるようで、ますます夢が拡がる家創りが楽しみです。
ガーデンの塀、ウッドデッキもIさんの施工。
まとめ
・Iさんは、住まいに対して確固とした理念の持ち主です。シンプルな空間デザインを施されていますが、暮らし方や導線の考え方、形だけでなく有機的な豊かさをうまく盛り込まれていらっしゃいました。
・個人で、無垢材を用いて様々な家具を作られる方を拝見して来ましたが、バランスのとれたセンスにはとても魅かれました。
・海外では一般的ですが、Iさんは「靴が似合う暮らし」の生活スタイルも取り入れられており、改めて靴での暮らしが新鮮に見えました。暮らしが欧米化するなかで今後、参考にすべき点に気付かされました。
・拘りを貫く為に、サッシも特注され外観にも個性と主張がきちんと表現されており、外観イメージが引き締められていました。
・建築家でも、なかなか配慮しにくい部分も使い手の繊細な感性で見事にバランスのとれたデザインを実現されており、建築家になられて多くの方にもセンスを提供されればと感じました。
「オークな家」づくりは、無機質な素材と無垢な素材を絶妙なバランス感覚でまとめられたIさんのセンスの成せる技だと感じました。
樹種選びは色、風合いなど肌が合うか見極める
樹種決めは、みなさん結構悩まれていますが、Iさんのように気に入ったテーブルの樹種が「オーク」だったことが、原点になっておりその後、迷わずオーク材に統一されたことで納得の行くイメージが展開できたようです。
訪問を後にして感じたのですが、樹種決めは写真だけでなく実際にインテリアショップや家具店などで、様々な樹種に触れたり好きな樹種の小物を購入してみることも大切かと改めて思いました。
マルトクショップでは、樹種サンプルを販売していますので、手元に置いて木の温もりや木肌の生の感触を味わってみられると、樹種の特性がよくわかります。
サンプル購入されると、次回の材の購入時に割引特典も受けられるので無駄な出費にはなりません。ぜひ樹種選びのご参考にしてください。
◎ 参考情報
【Iさんの自作アイテム】
ベッド(マルトクショップでご購入の無垢オーク材)、キッチンバック(マルトクショップでご購入の無垢オーク材)、AVラック(マルトクショップでご購入の無垢オーク材)、ソファ、床貼り等
【デザインに拘ったアイテム】
傘立て、ゴミ箱、玄関先の掃除用具、洗面化粧台、乾燥機、風呂、トイレ等
取材時期2017年4月