2025年1月31日
DIYに興味がなくても、新築やリフォームの検討中など人生の節目で選ぶ機会も出てくる「無垢材」「集成材」。いったいどんな樹種おすすめなのでしょうか?今回のもくもく通信では、材木屋から見た人気樹種やおすすめしたい樹種をご紹介します。
目次
木材屋が選ぶ用途別のおすすめ木材と人気樹種
|
どの樹種もそれぞれの美しさがあります
「おすすめの木材は何?」とざっくりと投げかけられたとき、材木屋としてはおすすめしたい樹種が10や20では足りないくらい世界には魅力的な木材が溢れています。用途に合わせた樹種選びをするのはもちろんですが、木材の世界でもその時々、インテリアの流行や価格の変化など様々な要因によって需要の変化を感じることも。はるか昔には杉や桧などの針葉樹や桐・栗などの樹種が使われてきた日本の家や内装も、特に近代にかけて外国のインテリアや工法が輸入されたことで使われる木材のバリエーションも大きく変化しました。
もちろん好みは人それぞれ、”ベストな木材”は人によって違います。それを踏まえても流行やマス(大衆、一般的な)の需要は馬鹿にできないもので、人気の出る木材には理由があるものです。これから木材を選ぶお客様へ参考までに、用途を問わない内装用木材の近年の人気木材をご紹介します。
1![]() |
2![]() |
3![]() |
4![]() |
5![]() |
無垢材を選ぶ方はコストパフォーマンスよりもこだわりや仕上がりの美しさを優先することが多いこともあり、高価格帯の樹種が人気という結果になりました。特に一位のウォールナットの無垢材は通年通して人気の木材。唯一無二のダークカラーで、他に似た樹種が無いことも大きな要因となっていそうです。近縁種であるホワイトオークとナラの二樹種は、用途や産地によっては同じ樹種として区別しないこともあるほどよく似た木材なので票が割れた結果になりました。
木目や色の美しいタモやブラックチェリーがその後に続き、いかに無垢材に美しさが求められているかが分かる結果になっています。
1![]() |
2![]() |
3![]() |
4![]() |
5![]() |
集成材の一番人気はコストパフォーマンス一番と言われるゴム集成材。下手な針葉樹よりも安価にも関わらず、天板としても充分使える比重(水に対する相対密度で、木材の重量や硬さを表します)を持つ唯一のハードウッド で、コストパフォーマンスを追求する木材需要を一手に担っているような印象です。
以降に続くタモ、アカシア、ウォールナット、ナラはいずれも無垢材やフローリングでも人気の樹種。多少の入れ替わりはあれど、人気の樹種は無垢でも集成材でも需要が高いという結果を読み取ることができました。
DIYにおすすめの木材について、お客様から質問をいただくことがあります。DIY=(Do It Yourself)とは広い意味を持つ言葉。「DIYにおすすめの木材はなに?」と聞かれると、その用途によっても大きくおすすめが変わってきます。
DIYや内装に使われる木材は、大きく分けて広葉樹と針葉樹に分けられます。ゆっくりと時間をかけて育つ広葉樹は詰まって固い樹種が多く、「ハードウッド 」という言葉は大体の場合広葉樹を指します。対して針葉樹はその名の通り針状の葉が特徴の樹木を指し、国産材を代表する杉・桧も針葉樹の仲間です。成長が早く、コストパフォーマンスに優れる樹種が多いのが特徴となります。
杉のフロアーに合わせたTVボード
当然ですがDIYとは自分で加工するということ。物にもよりますが加工性の良さ(=切ったり穴を開けたりの加工をしやすいかどうか)と扱いやすさはとても大切です。DIYの題材としては踏み台や折りたたみテーブルなど細かいパーツや加工の多い作品、広葉樹でDIYすると重量が重くなりすぎる大型の棚など、重量の抜きどころが必要な家具の木材としても針葉樹は欠かせません。
また、針葉樹のもう一つのメリットはコスト面にあります。成長の早い針葉樹は、ブランド産地の桧など一部の例外を全体として広葉樹よりも価格が安い傾向にあります。加工しやすく価格も安い針葉樹は、特に樹種の拘りが無いDIYにはまずおすすめしたい木材です。
国産杉
|
国産桧 | 米栂(ベイツガ) |
広葉樹ならではの美しい木目は最大の魅力
種としても針葉樹よりも圧倒的に種類の多い広葉樹はその選択肢の多さとバリエーション豊富なビジュアルが一番のおすすめポイント。DIYで言うならテーブル天板や戸棚の扉、カウンターや飾り棚等の内装材、手元で使う小物など木材の美しさを存分にアピールできるDIYに使用されるのが一般的です。木目が詰まっていて固い分、DIYでの加工に手間がかかったりすることもありますが、その分仕上がりが良く傷もつきにくい耐久性が魅力の木材です。
広葉樹のDIYにおけるデメリットを挙げるとすれば、価格と加工性の悪さです。樹種も多いので一概には言えませんが、木材が取れる大きさまで育つのに時間のかかる広葉樹はその分価格も高くなる傾向があります。加えて時間をかけて育った木材自体の重量も重たく固い樹種が多いので、大きな板になってくると驚くほどの重量でDIYビギナーに優しい素材とは言えません。針葉樹と違って釘を打っても入らないのでボルトを使用しますが、打ち込み前の下穴加工も必須。そんな加工性の悪さはありつつも、針葉樹とはまた違う美しさが広葉樹の人気を支えています。
アカシア![]() |
ウォールナット![]() |
国産ナラ |
参考:硬さによる樹種の使い分け
ウォールナットのテーブル(お客様作品)
木材を使ったDIYと言えば、やはり多くの方が挑戦するのがダイニングテーブルDIY。マルトクショップのお客様投稿コーナー「木材を使った素敵な作品」でも、一番人気の題材はテーブルです。木目や色などの表情がダイレクトに見えるので、ダイニングテーブルDIYにおすすめしたい木材は材質だけでなく何よりも「あなたの一番好きな木材」というのが材木屋としての意見ではあります。
▼テーブルの木材選びについては下記事でもまとめています
テーブル天板の人気ランキング
一般的に内装用木材として流通している木材であれば、サイズに対する厚みや脚の取り付け位置と本数、反りどめ等の金物を適切に使用すれば大抵の樹種はダイニングテーブルとしての使用に問題はありません。ただ一般的にこだわりの無い方に向けてダイニングテーブルの木材をおすすめするのであれば、軍配が上がるのは広葉樹(ハードウッド) です。
針葉樹などの柔らかい木材は一般的なダイニングテーブルとしての使用は問題ありませんが、特に書き物などを頻繁に行うような場合にはダイニングテーブルの天板表面に傷がつきやすい場合も。その傷を含めて「味」として楽しむ方もいらっしゃいますし、そうした傷が気になる方、緻密な作業の作業台としての役割もあるようなダイニングテーブルにおいてはある程度固い木材(下記ページで加工難易度中以上)を使用すると表面の滑らかさは保たれやすいです。
1![]() 木目が美しく、和洋どちらのインテリアにもマッチ |
2![]() 唯一無二のダークブラウンが他には無い高級銘木 |
3![]() しっかりしたハードウッド にも関わらず針葉樹並の低価格 |
ダイニングテーブルはお部屋の顔にもなる家具。人気の木材は広葉樹が占めていますが、和風のインテリアの場合など杉や桧等の針葉樹のダイニングテーブルも人気です。ダイニングテーブルに関しては人気ランキングはあくまで参考程度にしていただいて、お部屋のインテリアと自分自身の好みに合った”あなたのベスト木材”こそが一番おすすめしたい木材だと考えています。
野外で使用するウッドデッキは樹種選びが重要
選択肢の多い内装用木材と比較して、特殊なのが屋外で使用するウッドデッキです。屋外に設置し、常に雨風にさらされ続けることになるウッドデッキは、おすすめしたい木材も内装用の木材の場合とは異なってきます。ウッドデッキを本物の木材でDIYする場合には、大きく分けてまずハードウッドを選ぶかソフトウッドを選ぶかという選択があります。
油分を含むウリンは雨にも強い
ハードウッドと検索するとウッドデッキ関係のページが上位に出てくるほど、ウッドデッキに使う木材としての定石はハードウッドというのが一般的な認識ではあるでしょう。ウッドデッキ用の木材として特に人気が高いのはウリン・セランガンバツ・イペと言った熱帯地方で生産される”超ハードウッド”ですが、いずれも固くて油分を多く含み、非常に耐久性が高い木材です。
ウッドデッキづくりにハードウッドを選ぶメリットは言わずもがなその耐久性と美しさ、狂いの少なさなどがあげられますが、デメリットしては加工性の悪さと価格面になります。特にDIYで作るウッドデッキにおいてはこれらのハードウッドを運搬するのも細かな加工をするのも、ひとつひとつかなりの労力が必要となるので、DIYの場合にはおすすめしたい木材ではありません。
針葉樹×防腐塗装で作られたウッドデッキ(築20年)
木材におけるハードウッドと対義語で使用されるソフトウッドという言葉は、主に針葉樹に対して使用されます。外で使用するウッドデッキに使う木材は耐久性の面では広葉樹(ハードウッド)の使用がおすすめですが、ことDIYの場合には針葉樹などの柔らかい木材でウッドデッキを加工する方も多くいらっしゃいます。針葉樹でウッドデッキをDIYする場合には価格面のメリットを考えても杉の赤身部分やヒノキ等の木材に、外壁塗装用の腐食防止塗料をしっかり塗るのがおすすめです。
針葉樹でウッドデッキをDIYするメリットは樹種によってはかなり価格が抑えられること、加工性の良さが挙げられます。ハードウッドよりも耐久性は劣りますが、きちんと厚みのある木材で、経年劣化を確認しながら使用すれば針葉樹のウッドデッキも問題なく使用できます。DIYで加工や補修を気軽に行える人であれば、おすすめしたい木材になります。
マルトクショップでは2025年1月現在、ウッドデッキ専用の木材という形での販売は行っていませんが、ご相談は承っておりますのでお問い合わせフォームからお気軽にご連絡ください。
無垢も集成材も人気のウォールナット
一口に「おすすめ木材」と言っても、用途や重視するポイントによってもおすすめしたい木材は本当に様々。樹種の数だけその魅力が異なってくるので、木材選びは本当に奥が深いテーマです。もくもく通信では「樹種の選び方」とカテゴライズした記事を不定期更新していますので、迷ったときにはぜひ読んで参考にしてみてくださいね。
木材の樹種選び、加工の質問やご相談はお問い合わせフォームより承っておりますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。
▼樹種選びや加工のご相談はこちらへどうぞ