2011年4月25日
原油価格の高騰、中国の住宅の旺盛な需要など様々な要因から、輸入材の品不足が続いています。特に輸入合板は品薄感から、製品の奪い合いが起きるほどひっ迫していますが、輸入合板の問題だけではありません。北洋材の羽柄材(オウシュウアカマツの野縁(4.0m38×38mmなど)や北欧材のフローリング、中国産のフローリング(特にメープルなどの白物)さらに米松の構造材など現地の事情や低利益体質から、品不足、値上げ交渉が本格化しています。今まで安価で供給安定性に優れた輸入材に頼りきった外在依存型の傾向が続いてきました。そのなかにおいて、国産材の立場は「こだわり」というキーワードで語られてしまうほど希少性がありました。しかしここにきて単なる差別化という意味合いだけでなく、積極的に国産材を使おうという動きが活発になってます。
その理由は、日本国内の資源を有効に活用するという環境面へのPRだけでなく、国産材でもしっかりした乾燥技術が可能になった事。また超大型工場による安定供給、さらにFSCの森林認証など、他との優位性が目に見える形で確立されたことによるものです。そこで今回は「これからの杉の可能性」について、具体的にどういう商品を扱うのかを紹介してみたいと思います。
日本中どこにでも植林されている杉。柱などの構造材としては頼りになる存在ですが、、床材や家具材としては柔らかく傷つきやすいという理由で敬遠されてきました。最近は杉に熱圧処理を施して圧縮させ堅くさせた圧密木材も開発されていますが、個人的には本来杉の持つあたたかみを殺してしまっているように感じます。柔らかい素材は、それ故にあたたかいのだという事を理解し、それなりの使い方(または使い方の工夫)をすればいいのではないかと思っています。
杉の素材感を生かし、なるべく余計な手を加えない商品として、福岡県八女(やめ)地方の「八女杉の特大フローリング」(4.0m220×30)があります。抜節は、節の赤芯でしっかり埋木しています。足場板並のサイズはワイルド。しかしこれだけの幅広となるとわずかな歪みでも影響が大きいです。そのため人口乾燥ですが、仕入後さらに梱包をバラし、1段毎浅積みて天然乾燥させています。また1枚板のこのサイズとしては安価で思い切って大胆に使えるものも魅力。豪快なこの床板を前にすると、キズの事などささやかな事に思えます。
家具も床と同様にキズがつきやすい事から心配されてきましたが、大型の本棚などの収納物に使う場合、値段が手頃なため枚数が使えます。杉だけだと素朴なだけに田舎風で単調になるのではと思う方には、他樹種を取り入れることである程度解消できるとおもいます。
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