2024年5月30日
木材のメンテナンスキットやメンテナンスに使用できる塗料を使い比べてみました。買っておしまいとはならない木材のお手入れ、折角なら自分に合ったものを選んで使って行きたいもの。ご自宅での無垢材のお手入れに、参考にしていただければと思います。
目次
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マルトクショップで販売しているのは天然の木材から製材した無垢材・集成材。特に自然塗料で塗装した木材は買っておしまい、作っておしまいでは無く、その後もお手入れを続けることで新品以上の美しさに磨き上げることもできる可能性に満ちた素材です。ついついDIYしたことに満足してそのまま放置してしまいがちですが、そこからお手入れをしながら年月を重ねることで木材の色はどんどんと深みを増し、輝きを増して行きます。
各メーカーから様々なお手入れ用品が販売されていますが、自然塗装材を本格的にメンテナンスするなら、その基本は”再研磨・再塗装”。汚れや細かな傷を研磨で取り除き、新たな塗料を塗り込むことで、木材はまた輝きを取り戻します。確かに手間ではありますがメンテナンスを重ねるごとに手触りは滑らかになり、汚れも付きにくくなって来ます。(=メンテナンスの頻度も下がる)その域に達した木材の深い色や手触りは、真新しい木材とはまた違った美しさで魅力的です。
木材を一番綺麗にメンテナンスできると分かっていても、床などの広い場所など毎度毎度サンディングして再塗装する訳にはいかないような場面は多々あることと思います。そうした場合におすすめなのが、ワックスクリーナーです。油性ペンなど強力な汚れや傷をメンテナンスすることはできませんが、手垢などの黒ずみを落とし、木に油分を与えて表面を美しく保つ効果があります。少し汚れが気になってきたな、木材が乾燥してきたな、というタイミングでこうしたクリーナーでお手入れすると本格的なメンテナンスをする間隔を伸ばすことができます。
クリーナーワックスでこまめにお手入れしつつ、それでも取れない汚れや傷が目立って来た時には、再研磨と再塗装を行うと木材は新品同様の輝きを取り戻します。再研磨は確かに一手間ですが、木材の毛羽立ち(木材が新しいうちには出荷時の研磨で取り除けなかった小さなささくれが湿度の変化で浮き上がってざらつきを感じるようになることがあります。)や小傷も綺麗にメンテナンスできるので、天板などの汚れやすい、傷つきやすい場所には特におすすめしたいメンテナンス方法です。
いよいよ木材を再塗装しようとなって来た場合に、ではどの塗料を選ぼうか?となる方も多いのではないでしょうか。DIYで塗装した場合はその残りを活用される方が多いかと思いますが、問題は塗装済みの天板を購入した場合。最終的なコストパフォーマンスを考えたら自然塗料の現品を購入するのが一番ですが、現品で購入すると消費に長期間かかります。そもそもどの会社の製品が自分に合っているのか試したかったり、少量だけ購入したいような場合には各社から販売されているメンテナンスキットを活用するのも一つの手です。
今回は、メーカー等から販売されている木材のメンテナンスキットを2点、さらにマルトクショップ の標準塗料であるオスモカラーのエキストラクリアーをメンテナンスで使い比べてみました。
内容:30cc×2 ・ウエス×1 ・ケンマロン×1 ・説明書
「より安全に より健康に より快適に より低臭に」を謳っている自然塗料。ホルムアルデヒドの放散基準であるF☆☆☆☆を取得している商品であり、赤ちゃんが居るようなお部屋の内装にも安心して使える塗料です。食品や玩具に塗る塗料としての試験にも合格している、人にも自然にも優しい自然塗料です。
ケンマロンとは三共理化学という企業が製造している研磨用の不織布。サンドペーパーよりも目詰まりしにくく、耐久性に優れる素材とのことでこういったキットに入っているのをよく見かけます。今回キットにセットされていたので実際に使用してみると、広い面を軽くするのであれば優秀な素材です。より仕上がりを追求するのであれば、ケンマロンの後に目の細かいペーパー(240〜400番程度)で仕上げをするとより手触り良く仕上がりそうです。
不織布なのでペーパーよりも目詰まりしにくい
画像から:メンテナンス前(輪ジミと傷)→研磨→メンテナンス完了後
春風の魅力はその安全性ですが使用感も伸びは良く、一度ウエスに液を取れば200×300mm程度の面積は十分塗装できました。仕上がりは他メーカーのクリアーと大きな差はありませんが、今回の3つの塗料の中では一番乾きが遅く、ペタッとした感触が数十分残ったので乾燥の時間はしっかりと取ったほうが良いかもしれません。しっかり乾燥が完了した後は、べたつき等は感じませんでした。
内容:50cc×2 ・ウエス×1 ・ポリマー×1
「健康に害のある成分は、天然物でも使用しない」というコンセプトで製品開発をしているドイツのリボス社が販売する、リボス自然健康塗料。壁や床・内装材に使える各種塗料を取り扱っていますが、内装用木部のメンテナンスにおいて直営のECショップで推奨されているBIVOSのメンテナンスセットが合ったので取り寄せてみました。
ビボスはリボス社が製造するオイルワックス。塗料としても、メンテナンスワックスとしても使える製品です。汚れ落とし効果もあるので、軽いツヤ出しであれば研磨せずに塗り込むことでもメンテナンスできます。こちらも封入されているポリマーはケンマロンでしたが、春風のキットよりも番手の細かいものでした。軽く研磨してからビボスを塗り込むと、こちらもツヤが出て木目が蘇ります。
画像左から:メンテナンス前(縦方向のシミと傷)→研磨→メンテナンス完了後
リボスの塗料の特徴的なこととして、臭いの少なさが特筆できると感じました。もちろん原料臭はありますが他社と比較しても有機溶剤的な匂いがほぼなく、塗った直後から使用してもあまり気にならなそうなマイルドな臭いでした。使用感としてはこちらも伸びは良く、乾きも早いクオリティの高いオイルでした。
木工DIYに使用される自然塗料の中でも、知名度があり愛用者が多いオスモカラー。植物油と植物ワックスをベースにしており、揮発性有機化合物(VOC)は不使用と、こちらも人に優しい配合の自然塗料です。
オスモカラーはマルトクショップ の標準塗料として使用している自然塗料です。マルトクショップ で自然塗装の木材をご注文いただいた場合、特にご指定等が無ければこちらのオスモカラーで塗装をしています。マルトクショップ でご購入いただいた自然塗装材を購入時と同じ仕上がりにメンテナンスをしたい、と言う場合にはこちらのオスモカラーをオススメしたいと思います。
画像上から:メンテナンス前(傷)→研磨→メンテナンス完了後
こちらに関しては、メーカーやECショップが販売しているメンテナンスキットのようなものは見つけられなかったのでエキストラクリアーの現品を使用しました。こちらもケンマロンで研磨して見ましたが、あまりはっきりした傷だとケンマロンで綺麗に磨き切るのは難しかったです。(樹種によるところも大きいです)でもオイルを塗り込むことで、目立っていた傷も目立たなくなりました。オスモカラーは多くの木材加工の現場で使用される優秀な自然塗料。しっかりとツヤが出て伸びも良いです。
三社を比較して見ましたが、正直なところDIYでのメンテナンスにおいて、使用感や塗ってから短期間の使用においての決定的な違いはありませんでした。では大きな違いは何かと言うと、セット内容やコストパフォーマンス、そして成分になります。塗料としての優秀さを取るか、安全性を取るか(今回ご紹介した塗料は比較的安全性を謳って居るメーカーではあります)、価格を取るか、何にプライオリティを感じるかは人それぞれなので、ご自分のライフスタイルに合った選択ができると良いですね。
リボス自然健康塗料 | 自然派塗料春風 | オスモカラー | |
臭い | 一番感じなかった | 多少あり | 多少あり |
べたつき | なし | 多少あり | なし |
価格 |
税込2,200円
■内容 ・50cc× 2瓶 ・ウエス ・ポリマー |
税込4,400円
■内容 ・春風30cc×2本 ・ウエス×1枚 ・ケンマロン×1枚 ・説明書×1枚 |
現品のみ
5,500円前後〜 |
経年変化を楽しむと言えばぜひオススメはブラックチェリー
腰をあげるまでは億劫に感じるかもしれない自然塗装材のメンテナンスですが、一度やってみれば作業自体はとても単純で簡単です。DIYした直後はざらつきが出たりと何かと木材が安定せず、数ヶ月から一年に一度はメンテナンスが必要になるかもしれません。しかし使い続けて行くうちに木材も安定して、必ずしも全面を念入りに再研磨する必要までは無くなったり、お手入れの間隔も伸びて行くことが多いです。しっかりとお手入れをしてツヤを増し、色も深みを増した木材は本当に綺麗。ぜひ、気長にお手入れを続けてみてくださいね。