2020年3月26日
木材についての環境問題、これまでは地球温暖化や日本の林業について語ってきました。
今回は木材が私たちに与える影響について解説します。
目次
第三回:木材が私たちに与える影響効果
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鳥取県の国宝建築物『三佛寺投入堂』 1000年以上前の木造建築です
私たちの暮らす日本は世界有数の森林大国。太古の昔から、日本人は当たり前のように木材を生活に取り入れてきました。お箸や漆器などの身の回りの生活用品はもちろん、多くの建物や橋などの建造物も木材でつくってきたのが日本の文化です。もちろん日本のみならず、世界的に見ても木材というのは非常にポピュラーな素材で、昔から今まで人間の生活を支え続けています。
今回はそんな木材が人間に与えてくれるちょっとした「効果」についてお話ししたいと思います。
木製の小物や建造物に触れた時に、なんとなく「やさしい」「ナチュラル」といった感想を持つ人は多いのではないでしょうか。多くの人はあまり深く考えずに抱くそのイメージは、あながち間違っていないことがいくつかの学説で論じられています。
フィトンチッドは針葉樹から多く発散される
山や森を歩くと感じる木の香りはとても爽やかで気持ちの良いもの。不快に感じる人はほぼいないのではないでしょうか。実際に、木の香りは人にとって良い作用をもたらすと言われています。特に有名なものでは「フィトンチッド」という成分。松や桧などの針葉樹から多く発散される揮発性物質で、森林の中で人をリラックスさせたり、有害な菌や微生物を抑える作用がある成分。実際にフィトンチッドの作用を利用した抗菌スプレーや化粧品等も数多く商品化されています。
また、畳やカーペット敷きの室内を、木の床に改装することで、ダニの繁殖を抑えることができるという実験も複数の研究者によって実施されています。(※1、※2)
大前提として、畳やカーペットのように隙間がたくさんある素材に比べ、木質の方がダニの繁殖防止に適しているのは明らかですが、それだけではなく木材の香り成分が防ダニに効果的というデータも存在しています。(※2)
桧![]() |
屋久島地杉![]() |
杉![]() |
香りのある木と言えば?日本人なら桧でしょう。アロマテラピーにも使用される爽やかな香りです。 | 屋久島で、屋久島由来の杉だけを植林して生産される屋久島地杉は芳香成分が特に多いそう。(※3) | 針葉樹である杉の香りには、人をリラックスさせる効果があると言われています。(※2) |
木材は生物ですから、無数の細胞でできています。
その細胞の一つひとつに空気を含むため、石や金属などの素材には無い効果やメリットがあります。特に、素足に触れる床材には、そうした木材の良さを感じられる無垢のフローリングがおすすめです。
木材の特徴として取り上げたいことのひとつが、その熱伝導率の低さにあります。たくさんの空気を含む木材はコンクリートやタイル、金属と比べて顕著に熱伝導率が低いため、冬場に長時間、体がふれていても体温が奪われにくく、素足で触れても冷たさを感じません。また、逆に夏はひんやりと感じる心地よい温度を保ってくれます。
また、エアコンをつけたときにも、木造の建物は室内の温度を適温に保ちやすく、住空間を快適に保つことが出来ます。(※4)
空気をたっぷり含んだ木材の、もうひとつの特徴は衝撃を和らげるクッションのような役割をしてくれることです。樹種によっても感触に違いがありますが、総じて木材の床には転んだ時のショックを受けとめる衝撃吸収性や、歩行しやすい適度な弾性があり、私たちが生活する上で理想の床材となってくれます。
夏は高温多湿、冬は乾燥する日本においては、健康のために湿度コントロールは欠かせません。木材は、こうした室内の調湿にも大いに役立ちます。
木材はまるで『呼吸』するように、湿気が多いときには水分を吸収し、反対に乾燥してくると水分を放出する働きがあります。長さ2.7m、10.5cm角のスギ柱はビール瓶にして0.5本~1本分の水分を吸収するといわれており、室内に木材を取り入れることで、調湿効果を期待できます。
たとえば博物館では、保存物を守るため、収蔵庫に木を張り巡らせていることも多いです。木の優れた調湿作用が活かされている良い例と言えます。
木材は紫外線をよく吸収するという性質を持っています。木材に反射する光には紫外線がほとんど含まれないため、床や壁など、面積の広い部分に木材を取り入れることで、窓から室内に入り込む有害な紫外線から目や肌を保護する働きも期待できます。(※2)
木材は昔から世界中で建築材料として用いられて来ました。昔から現在まで、変わらず使い続けられてきた理由には、木材の様々な「良い効果」が少なからずあるからだと思います。家中無垢材で、なんて贅沢な使い方でなくても、例えばよく触れるテーブルや、日の光が入るリビングルームの床など部分的に取り入れるだけでも良い効果を取り入れることができます。
あと木材の体へのデメリットでよく語られるのが「ホルムアルデヒド(シックハウス症候群)問題」です。木材自体は体に安全ですが、接合時に使う接着剤が問題となりました。マルトクでは木材を接着する際、建築基準法の安全基準を満たすF☆☆☆☆(エフフォースター)の接着剤を使用しております。
マルトクショップでは、目的に沿った木材選びのご相談も承っています。些細なことでも、可能な限りアドバイスさせていただきますので、お困りの際にはぜひお問い合わせください。
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出典 |
※1 無垢材はダニを寄せつけない=某マンションでの実験=②(神戸新聞社) ※2 木材は人にやさしい(林野庁) ※3 屋久島地杉シリーズ(チャネルオリジナル株式会社) ※4 木材の健康効果 (ひょうご木の匠の会) |