2017年3月 2日
無垢材・集成材の製造方法
マルトクで取扱っている無垢材と集成材の製造方法について、特徴を交えてご紹介いたします。
無垢材も集成材もハギ加工技術を用いていますが、それぞれ異なる方法で製造されています。
無垢材の製造は、マルトク社内工場で受注毎に製造しています。
常時多樹種の在庫を保有し自社でカスタム加工まで行っています。無垢材ならマルトクと呼ばれる事を目指して日夜奮闘しています。無垢材は、横にハギ合わせながら必要な幅の材を仕上げます。
集成材との決定的な違いは、長さ方向のハギがない事です。
製造工程は、樹種によって若干異なりますが概ね下記の通りです。
【無垢材の製造工程】
マルトクでは、無垢材のビスケットジョイント以外にフィンガージョイントで製造を行っていますが、高周波でのハギ加工も検討しています。
集成材と違って、無垢材のハギ加工は、横ハギ(幅ハギ)のみで製造するのが特徴です。ハギ幅が集成材よりも広く厚みのある材も多いので木の自然な風合いを醸し出す材が出来上がります。
【無垢材】
・無垢材:表情豊かな個性派ぞろいです。厚さのある樹種も多く、樹肌に個性が必要な場面で活躍します。希少な樹種もあり、設計や目的に応じて選べます。
●マルトクショップの無垢材リスト
ウォールナット | ウォールナット(節・白太有) | タモ | ブラックチェリー |
ブラックチェリー(節・白太有) | チーク | ホワイトオーク | ホワイトオーク(節・白太有) |
ホワイトアッシュ | クルミ | クルミ(節・白太有) | 栗 |
栗(節・白太有) | ハードメープル | ビーチ | メンピサン |
バーチ(アメリカ・カバ) | 桧(無節) | ポプラ | 杉(無節 |
杉(節有) | スプルス | イエローパイン | ノースパイン(赤松 節有) |
マホガニー | ニヤトー | シナ(バスウッド) | 米栂(ベイツガ) |
集成材は、主に海外のメーカーで生産されています。マルトクでは規格品を輸入しオーダーに応じてカットや加工をして販売しています。
規格サイズで対応できない幅のオーダーには、弊社工場にて幅ハギ加工をして提供しています。
集成材は、長さ方向の継ぎ加工により無垢材よりも長い材を製造できることが特徴です。
※集成材の保有在庫は、樹種ごとに異なりますのでご確認ください。
【集成材】
・集成材:一般的に馴染みのある樹種がメインのラインナップです。材の幅や長さバリエーションも豊かなので、様々なシーンで活用できます。お求めやすさも集成材の魅力です。
●マルトクショップの集成材(積層材)リスト
ウォールナット(白太無し) | ウォールナット(白太有り) | ゴム | ナラ |
タモ | ラジアタパイン | ノースパイン(赤松) | メルクシパイン |
カバ桜 | 米栂(ベイツガ) | 桧(無節 | 桧(生節 |
杉(無節) | 杉(節有) |
【注意】
現在マルトクで取扱っている樹種は、現時点(平成29年2月)で無垢材28種、集成材14種程扱っています。
樹種や材種、時期により最小最大のサイズ及びハギ幅はそれぞれ異なります。
また、取扱い樹種も、変更や欠品がある場合もございますのでご購入の際は確認をお願いいたします。
日本農林規格(JAS)における「集成材」の定義
引き板、小角材等をその繊維方向を互いにほぼ平行にして、 厚さ、幅及び長さの方向に集成接着をした一般材。
同じ寸法の材を製造する際、ハギ板の枚数が異なります。横ハギだけで製造する無垢材に比べ、集成材は、縦ハギと横ハギで製造します。
無垢材と集成材の価格の違いは、同じ樹種では無垢材と集成材とでは樹種によって異なりますが、ほぼ倍ほどの価格差があります。
無垢材と集成材の価格比較(タモ材を例)
木材の性質および価格帯チャート(マルトクショップ)
無垢材と集成材それぞれの性質を一覧できます。
https://shop.woodworks-marutoku.com/chart/
無垢材は100㎜~200㎜程度のハギ幅、集成材は約30㎜程度のハギ幅
無垢材のハギ幅はマルトクショップでは、樹種によって異なりますが概ね100㎜~200㎜程度の幅のランダムハギで生産しております。集成材は30㎜程度の比較的狭いハギ幅で生産されています。樹種の風合いを生かすなら無垢材に軍配が上がりますが、限られた予算や樹種にこだわりがあまりないシーンでの使用なら、集成材がお勧めです。
集成材の強度は一時期、一枚板の1.5倍とか言われていましたが、厳密には材固有の特性や使用場所、使用方法、加工方法により異なるので明文化されていません。
しかし、集成材が出回った当初は構造材として普及した経緯もあり、現在ではさらに進化し技術的にも優れた材として安心して使用されています。
耐久性は、塗装なしで使用した状態や、メンテナンスの頻度で異なります。無塗装で使用するより、オイル引きや自然塗料、ウレタン塗装などを施した方が永く良好な状態で使用できます。一般的な合板とは異なり無垢材・集成材は、芯(中心)まで木材なので、劣化しても磨けばもとの風合いが戻ります。そういった事を考えれば、処理と扱い次第で耐久性は異なってきます。
使用される場合は、用途に応じた塗装を施すのがいいでしょう。マルトクでは、各種の塗装サービスを行っております。ご購入の際は、ぜひご相談ください。
仕上がった無垢材や集成材は、一枚板のように目に映りますが
職人や技術者、機械の発展の賜物です。
木が持つ豊かな味わいは人々に安らぎを与えてくれるで事でしょう。
(つづく)
【用語解説】
※疎木取り(あらきどり):荒木どり、粗木取りとも言う。丸太(原木)を鋸で製材した表面がガサガサの状態の材を、良質な部位を選別し必要なサイズに木取り(カット)する作業の事。
無垢材と集成材の製造方法ご理解いただけたでしょうか。
それぞれの特徴を活かして暮らしの中でウッデイライフをご創造ください。
《続編》
「ムクとシュウセイ」その3 無垢材と集成材のお話--安心品質
https://shop.woodworks-marutoku.com/mokumoku/2017/03/33-1.html/
2017年2月 9日
テーブル天板や椅子などをはじめ家具・調度品、棚板などがよく目につきますが、趣味のスピーカーや内装で使われる階段材や枠など比較的大きなものから、チーズやパンのカッティングボードまで無垢材や集成材が用いられているシーンは案外多いです。
無垢材、集成材は、私たちの暮らしに知らないうちに浸透しています。マルトクでは取扱っていませんが建築にも構造用集成材が用いられています。
集成材は、欧米で開発が始まり1930年代にアメリカでで製造が始まりました。
日本では、1951年に東京四谷の森林記念館で建材用として用いられたのが最初と言われています。
その後、品質も向上し安定性も認められ扱い易さから木材の中で集成材の需要が伸びています。
端材も活用して製造していることからエコにも寄与しているのです。
無垢のチークテーブル(T様)
無垢の意味は、丸太から切出したままの材の事です。
マルトクでは、これら無垢の板を必要に応じて接(は)いで作ったものも「無垢」もしくは「無垢材」と呼んでいます。
マルトクの無垢材は、樹種によって異なりますが概ね幅100~200㎜程の無垢の板をハギ合わせてご希望の幅の板に仕上げています。
ハギ幅が集成材と比べて広い無垢板 写真提供:アメリカ広葉樹協会
集成材に比べ幅の広い材を接いで製造する為、樹種の持ち味を活かし集成材よりも高級感があります。ハギの無い1枚ものの無垢板よりローコストです。
希少な材種での無垢のハギ板を製造でき(一定範囲)希望のサイズが入手できます。厚みのある無垢材も多いです。
木肌の色や、樹種ごとに異なる豊かな表情は無垢材の醍醐味です。
既定の厚さが予め決められている集成材よりも、厚みの選択幅も広く重厚感を望まれる方や、野趣に富んだ味わい、ナチュラルな木肌面をお望みなら選択肢の多い無垢材がお勧めです。
無垢ブラックチェリーで製作されたスピーカー(K様)
無垢材は、荒木取りの工程があるので、ご注文を頂いてから生産します。その為通常は、集成材よりも納期が長くなります。
多くの場合ビスケットという接合材を用いた製造方法です。購入後ご自身で材をカットされることはお勧めできません。
ビスケットジョイント部をカットすると、ビスケットが露出するし強度が損なわれたり、見た目も悪いので必要なサイズで注文してただくのが無垢材です。
フィンガージョイントや高周波を用いた生産方式も取り入れていますが、サイズ指定でご注文頂くのが基本です。
ビスケット(ハギ面接合部材)長さ約5㎝程度
無垢板でもハギをせずにテーブル天板等に使用できる一枚板があります。
丸太から切り出し製材した材で、市場に出ている樹種の量も少なく一般にあまり流通していません。
製品も規格化しにくいため特殊なカテゴリーとなっているのが現状です。マルトクショップでも現在特定樹種の一枚板を販売しております。他の樹種につきましても今後は扱いを増やしてゆきますが、ご希望の樹種がございましたら探させて頂きます。
ハギの無い高価な無垢板 写真提供:アメリカ広葉樹協会
集成材(積層材)は、幅30mm程度×長さ250mm~350mmくらいのこまかな材をフィンガージョイントで縦継ぎで仕上げたものです。
無垢材より比較的ローコストでお求めいただけます。
集成材のフィンガージョイント部
集成材は、比較的細かな材や利用価値の低い端材も用いて製造するのでエコな材としても人気が高いです。
集成材は、ビスケットジョイントを使用せずに製造されているので、注意は必要ですが、購入後フィンガージョイント部の位置を気にせずカットすることができるのも集成材の特徴です。
マルトクでは幅600㎜以上の集成材のご注文には、ビスケットジョイント等で接いで幅広な集成材を生産しています。
メルクシパイン集成材の棚(K様)
集成材は、無垢材と異なりハギ幅が狭い事で逆に均質な雰囲気の表情が楽しめるともいえるでしょう。
木のぬくもりや木肌の風合いに塗装など組合わせると、幾通りもの表情豊かな材を作ることができます。
(つづく)
無垢材と集成材の違い、少しは分かっていただけたでしょうか。
様々な使い方がありますが、無垢材は控えめ塗装で木地そのものを楽しむ場面に似合う。
集成材は場面を選ばず活用でき、塗装でさらにイメージが拡がる。そんな印象を持っていますが、みなさまはどのようにお使いになられるでしょう。
それぞれの特徴を活かして暮らしの中でウッデイライフをご創造ください。
《続編》
「ムクとシュウセイ」その2 無垢材と集成材のお話--製造方法
https://shop.woodworks-marutoku.com/mokumoku/2017/03/22.html