2020年8月24日
無垢材・集成材を使っているなかで、「傷つけてしまった」「汚れが気になってきた」なんてこともあると思います。そうした使い込んだ風合いを「味」として大切にする方も多いのですが、せっかく愛着を持って使っている家具ですから、なるべく美しい状態で使いたいという方も多いと思います。そこで今回のもくもく通信では、購入したあとの木材のちょっとしたメンテナンスについて、前後編でご紹介したいと思います。
目次
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お気に入りの木材は、ベストな状態で使いたいもの
お気に入りの木材で作った家具は、できればベストな状態で使いたいもの。
前回の更新で取り上げた汚れや傷以外にも、木材という素材の特性上起こりがちな困りごとの解消についてまとめて行きたいと思います。
半年、一年に一度でもメンテナンスをすることで木材はどんどんこなれて使いやすくなります。
トラブルを敬遠せずに、ぜひ愛情を持ってお手入れしてみてくださいね。
無塗装材を水拭きすると特に起こりやすい
毛羽立ちやざらつきは比較的購入後年数の浅い木材に起こりやすいお困りごとです。主な原因として挙げられるのは湿度や水分。加工時の研磨では取りきれなかった微細な繊維が、空気中の湿度や、水拭きすることで浮き上がってくることがあります。これは木材という素材の特性とも言える症状で、特に無塗装材の場合はお届けまでの輸送環境や湿度で出荷時にはなかったざらつきが出てしまった、なんてケースもあるくらいです。
これを解消するには、磨いて再塗装するのが唯一の方法です。表面を均一に削り取らなければ綺麗にならない汚れや傷と違って、ペーパーサンダーで軽く整えるだけですべすべになるので、同じ作業でも意外と手軽に挑戦できます。
塗装別の相性
◯→無塗装・自然塗料
×→ウレタン塗装
◆毛羽立ち、ざらつきのお手入れ方法◆
1
・240番〜400番程度のペーパーサンダー
・ウエス(綿の肌着素材がベスト)
・塗料
を準備します。あまり荒いペーパーサンダーだと表面を傷だらけにしてしまうので、240番よりも大きな数字のものを準備しましょう。毛羽立ちのある天板は、一度水拭きをして乾かしておくと、まだ出て来ていなかった毛羽立ちも起き上がってくるので一緒に綺麗にすることができます。
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あまり力を入れずに、表面を軽く整えて行きます。目的は磨くというよりもささくれをペーパーに引っ掛けて取り除くイメージで。
写真のようにサンドペーパーを端材やペーパーホルダーに巻きつけてサンディングすると、一点に力がかかりすぎずムラなくサンディングできます。
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全体を軽く、まんべんなく整えて行くと、表面のささくれがだんだんと取れて来ます。納得の行く手触りになるまで続けましょう。
ちなみに今回の天板はマルトク社内で使用している無塗装のタモ集成材です。塗装せずに使用していたところ、夏に入って毛羽立ちが出てきてしまいました。
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手触りがすべすべになったら塗装をすることをオススメします。定期的に自然塗料を塗り込むことで、表面も強くなり、汚れを防ぐ効果もあります。
こうしたざらつきや毛羽立ちは、こうしてお手入れしながら使い続けると何年か後にはほとんど出てこなくなります(樹種にもよります)。そうなるまでは少し手間がかかりますが、そんな工程も含めて無垢材を「育てる」ことを楽しんでいただければ幸いです。
あまり知られていませんが、木材が乾燥して微細なひびが入ってしまうことは実はよくあることです。樹種によっては必ずと言って良いほど起こるので、ウェンジやブビンガと言った一部の木材はこの「こひび」がある前提での販売となっているほどです。
(もちろん目立つひびや使用に支障があるようなものは避けて製材しています。)
天然の木材を扱っているなかで、このこひびを完全に避けるのは実はとても難しいので、いざという時のために補修の方法を知っておくと便利です。
塗装別の相性
◯→無塗装・自然塗料・ウレタン塗装
引っかき傷の補修でも登場した補修用クレヨンですが、溝状のトラブルに実力を発揮します。木材の色に合ったクレヨンを1本持っておくと、傷にひびに幅広く対応できるので便利です。ちなみにですが、広い面のトラブル(スレ跡など)に使うと「塗っている感」が出て手触りもべたつくのでお勧めしません。
補修したい木材の端材等がもしも手元にあるなら、サンドペーパーで削って出した「木粉」を使うと小さなひびなら綺麗に目立たなくすることができます。
塗装別の相性
◯→無塗装・自然塗料
×→ウレタン塗装
1
・木粉
・ウエス(綿の肌着素材がベスト)
・塗料
を準備します。ご家庭だとちょっとハードルが高い木粉の準備は、サンドペーパーで木材を削り、粉末状にします。もしもDIYの過程で端材が出た場合は、取っておくとこんな時に活躍します。
2
作った木粉を木工用ボンドと混ぜます。
あまり粉が多いと硬くなって扱いづらく、接着剤が多すぎると乾いたときにかなりカサが減ってしまうので、様子を見ながら固めのペースト状に調整してください。
3
木粉のペーストをひびに入れ込むように塗りつけます。しっかりひびに入れ込んだら、表面を少し盛るようにして仕上げて乾燥させます。あまり広範囲に盛りすぎると、この後のサンディングが大変になるので注意。
ボンドの特性上乾燥するとどうしても多少カサが減るので、盛り上げて乾燥させるのがポイントです。
4
完全に乾燥したら、ひびの周りをサンディングして余分なボンドや木粉を落とします。
塗装材の場合は、削った部分に上から自然塗料を塗り込んで完成です、その際にボンドが傷以外の部分に残っていると塗料がのらないので、はみ出てしまった部分は綺麗に削り取ってから塗装するようにしましょう。
▼電動サンダーがあるとサンディングも簡単!
前回・今回とご紹介したメンテナンスには、サンドペーパーを使った方法が多くありました。これらは基本的に無塗装の木材、自然塗料塗装をした木材にしか行えないメンテナンスです。
マルトクショップでは、自然塗料塗装以外にウレタン塗装もご注文いただけます。
ウレタン塗装をした木材は自然塗料塗装と比較して汚れや湿気に強く、こまめなメンテナンスは断然少なくなります。反面、塗装に専門の器具や技術が必要なので、いざメンテナンスが必要になった場合はDIYでは難しいという面もあります。
塗装のご注文の際には、ぜひご自分のライフスタイルに合わせて選んでみてくださいね。
木の天板はお手入れが大変、と聞いたことがある方もいらっしゃるかもしれません。ある意味ではそれは本当のことで、価格やお手入れの気軽さという意味ではプラスチックやプリント合板に、本物の木材はかないません。
ただ、半年に一度、年に一度とお手入れを繰り返して行くと、だんだんと毛羽立ちやざらつきは出なくなり、色も落ち着いて来ます。経年変化で色が深くなると、ちょっとした汚れもあまり気にならなくなったり、それも含めて使い込んだ風合いが「いい感じ」になったりします。
お手入れを繰り返してオイルやワックス成分がしっかり浸透し、ツヤツヤになった無垢の天板はとても綺麗です。そんな「育てる楽しみ」があるのが本物の木材の最大の魅力と言えるかもしれません。家族と一緒に成長する家具、そんな気持ちで木製家具と付き合ってみませんか?
お手入れのご相談はいつでも受け付けておりますので、ぜひお気軽にお問い合わせくださいね。