2024年8月30日
マルトクショップ の木材は普段企業様にも個人のお客様にも販売させていただいております。特に「木材を使った自慢の作品」をお送りいただく多くの方が個人のDIY愛好家のお客様。木材のDIYにはどうしてもある程度の電動工具が必要ですが、DIY初心者からセミプロの方まで、あると便利な木工用の電動工具を全3回の更新に分けてご紹介します。
前回の更新:
目次
第二回:一歩踏み込んでDIYするなら!中〜上級者向け電動工具 – オススメ2:効率よく釘打ちできる「フィニッシュネイラー」 – オススメ3:製作の幅が広がる「ビスケット(ジョイントカッター)」
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前回の更新では、木材を使ったDIYをするなら万人が汎用的に使用できる、基本的な電動工具をご紹介しました。今回の更新ではもう少し踏み込んで、「あれば製作の幅がぐっと広がる」「普通は持っていないけど、趣味としてDIYを続けるならあったら便利」な中〜上級者向けの電動工具をご紹介したいと思います。
タッカーは一番わかりやすく表すならば、木材に使用できるホッチキスに近い機能を持つ工具です。薄い木材や素材を簡単に接合することができるので、椅子の布はりや壁紙等の内装作業にもよく使用されます。木工DIYというテーマであれば、本来留め継ぎという高度な技術が必要な45度の接合であったり、木材を幅はぎにのように横につなげるために使う方も居るようです。
タッカーの利点はとにかくシンプルで手軽なこと。ハンドルを握るだけでステープルと言われる針が放出され、木材同士が固定されます。ホチキスの場合は打ち込んだ後針が折りたたまれますが、タッカーの場合は針は折りたたまれないので、壁などにも打ち込むことができます。
操作方法
専用針(ステープル)をタッカーにセットします。ステープルはホッチキスの針のように連なり、1本1本はコの字型をしています。コの字型の針のメリットとしては、両端でしっかりと木材を繋ぎ合わせるので、後述するフィニッシュネイラーなどの一本釘よりも強固に材料を接合することができます。
接合部分にタッカーを押し当てて針を打ち込みます。この際角度や形によっては木材がずれたりする可能性があるので、やりにくい時はボンド等で仮止めをするのがおすすめです。タッカーは針先が2ヶ所あるので、写真のように2枚の板に跨って打ち込むことができます。
針を打ち込んだ部材はこのようにホッチキスで留めたような仕上がりに。見た目でわかる通りかなりステープルが目立つので、基本的にタッカーはあまり前面に出ない、でも手軽に接合したい部分におすすめしたい道具になります。
フィニッシュネイラーは時に先述のタッカーと同じく木材に釘を打ち込む機能を持っていますが、使用する釘の形や場所が異なります。フィニッシュネイラーで使用する釘はその名も「フィニッシュネイル(ネイル=釘)」と言い、日本語で言えば仕上げ釘という名前です。フィニッシュネイルは通常の釘と比較すると頭の部分が小さく、打ち込んだ部分が目立たないので仕上げ用に使用されます。完全に東部の無い、ピンネイルと呼ばれる釘もありますがそれよりは太さがあり、仕上がりの良さと保持力を兼ね備えているのが特徴です。
フィニッシュネイラーの活躍の場は主に内装の現場です。斜め打ちも可能なので、巾木や化粧材の取り付け作業において、フィニッシュネイラーがあると素晴らしく効率よく作業できます。固すぎない木材であれば効率よくどんどん釘を打ち込むことができるので、DIYでもセルフリフォームや家具づくりなどアイディア次第で多方面に活用できます。
操作方法
まずは専用の仕上げ釘(フィニッシュネイル)をセットしましょう。写真のようにシート状のカートリッジになっているので、各機器の説明書に従ってフィニッシュネイラーに充填して蓋を閉じます。
フィニッシュネイラーを打ち込みたい場所に押し当てて釘を打ち込みます。写真のように垂直に打ち込むのはもちろん、ほとんどのモデルで狭い空間での斜め打ちが可能なので、建築現場等での巾木や廻り縁の取り付けに大きな力を発揮します。
釘を打ち込んだあとの木材です。小さな点状の穴が残りますが、通常の釘よりは打ち込み跡が目立ちません。リフォーム以外でも、釘を使うようなDIYで持っていると重宝します。
ジョイントカッターとは木材の接合の方法のひとつである「ビスケットジョイント」を行うための専用工具です。ビスケットジョイントは木材にビスケットと呼ばれる木製チップを埋め込み、ボンドで張り合わせること技法のこと。マルトクのような木材工場の現場でも幅はぎや家具製造の上で使用されていて、まるで一枚板のように強固に木材同士を接合することができます。このビスケットを埋め込むための穴を開けるために使うのがジョイントカッターで、ジョイントカッターと固定のためのクランプがあれば様々な継ぎ手加工(ネジや釘を使わずに木材を組み合わせる加工)や幅はぎ加工(何枚かの木材を幅方向に貼り合わせて一枚の板にする)ができるようになります。
操作方法
まずは接合する面を決めたら墨付けをします。ビスケットの中心がどこにくるかを決めたら、ジョイントカッターの目安とするために線を引きます。今回は平面の接合ですが、それだけではなくコーナーやT字など様々な形で木材をジョイントすることが可能です。
墨付けした基準線を、ジョイントカッターのセンターに合わせる形で機械をセットしビスケット穴を開けます。右側の写真のように、細長いビスケット専用の溝を掘ることができます。この穴を向かい合う面両方に掘ることで、ちょうどビスケット1枚分の穴が開くことになります。
両方の穴にボンドを流し込み、片方の穴にビスケットを差し込みます。ひとつの接着面に複数のビスケットを使用する場合は、全ての穴にビスケットをセットします。接着面にも薄くボンドを塗っておくと、接着強度をより高めることができます。
ちなみにこうした時に使用するボンドは、DIYであれば市販の木工用ボンドで充分です。一般的に手に入りやすい国内ブランドの木工用ボンドは、充分木工に通用する接着力を持っています。
ボンドとビスケットをセットしたら、ボンドが乾いてしまう前に相手の木材を合わせて接着します。その際に、最初に墨付けした目安の線がきちんと合っていれば問題なく作業ができた証となります。ボンドが乾くまでは、クランプで締めて木材を固定しておきましょう。
ビスケットジョイントは、ビスケットがボンドの水分を吸って膨張することで、強固に木材同士をつなぎ合わせることができる接着方法です。こうして貼り合わせた木材は、まるでひとつの木材のようにがっちりと組み合って少しのことでは離れません。
関連更新
ジグソーはフリーハンドで素材をカットできる電動工具です。細く、薄い刃が電動で往復するので、簡単に曲線をカットすることができます。多くのモデルには直線カットを行うためのガイドを取り付けることができるので、DIY程度であれば直線カットにも十分対応できる優れものです。手工具で言えば糸鋸とよく似た構造の工具ですが、電動な分糸鋸ほど精密にはカットできないので、芸術性の高い精密なカットが必要な場合は手工具と併用することをおすすめします。
木材、特にハードウッド になってくると手のこではなかなかカットはできないので、自分で木材をこまめにカットしたいような場合には汎用性が高く便利な工具です。また、刃が細く小さな穴からも出せるので、インパクトドライバーと組み合わせることで板の中抜き(穴開け)も簡単にできます。
操作方法
木材をカットしたい形に墨付けをします。ジグソーは完全にフリーカットで木材をカットする電動のこぎりなので、フリーハンドのゆらぎを楽しみたいような場合にはこの墨付けも必須ではありません。
曲線切りの得意なジグソーですが、直線をカットしたい場合は専用の治具が付いているモデルもありますし、ガイドを手作りしているようなDIYブログも多数見かけます。
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墨付けができたら、電源を入れてカットするのみ。最大の注意点は、木材に対して垂直にジグソーを押さえること!ジグソーの刃は上下に出たり入ったりするので、上からしっかり押さえていないとジグソーが浮き上がってしまい失敗に繋がります。
また、当然ながら刃の行き先に手指を置かないこと。刃物の取り扱いでは共通項ではありますね。
カット後の面の写真です。フリーハンドで小回りが効くので、活躍の場は無限大!
インターネットで調べると様々な手作り治具も紹介されており、そんなに多種類の工具を揃えられないご家庭でのDIYのような場では、様々な工具の役割を最低限でもカバーできる多機能工具です。
複雑なカットを施したお客様作品
電動工具をわざわざ買うか、どこまで買うかは、DIYの入り口にいる誰しもが悩む事項かもしれません。安価なものばかりでは無いですが、実はしょっちゅう多数の加工をオーダーするならば工具を購入してしまった方がリーズナブルだったりするのは木工あるあるです。もちろん自分で加工する分手間や時間もかかりますし、初めは失敗もつきものでしょう。でもそんな過程を含めて、一生ものの趣味として木工DIYを好きになってもらえたら、材木屋としても嬉しい限りです。