木の基礎知識 マルトクショップ「もくもく通信」

木材の溝加工・型抜き・くり抜きのアイディア

2025年10月1日

今回のもくもく通信では、数千円〜で入手できる電動工具「トリマー」を主に使った木材の「溝加工(溝彫り)」「型抜き」「くり抜き」のアイディアをご紹介します。

 

目次

木材の溝加工・型抜き・くり抜きのアイディア

 

1 トリマーとは?初心者に人気の電動工具の魅力

2 トリマーでできる加工は?

3 木材に溝を彫る!トリマーで溝加工をするには

4 型抜き・くり抜き加工の基本と活用アイデア

5 溝加工・型抜き・くり抜きに適した木材の種類と選び方


終わりに:ステップアップしてDIYを楽しもう!

 

 

 

木材の溝加工・型抜き・くり抜きのアイディア

スピーカーを自作するには、円形のくり抜きが必須です

 

DIYを楽しむ中で、墨つけやビス留めなど基本的な作業ができるようになると次に出てくるのが「細部までこだわりたい」と言う欲求。木材の固定や金具の取り付けが問題なく出来るのであれば、次にぜひおすすめしたいのが木材に溝を彫ったり、くり抜いたりする加工です。これが出来るようになったら、テーブルにケーブルスリットをつけたり、簡単な引き戸や窓を作ってみたりと機能性を持たせたDIYが出来るようになります。

手道具一つで行うようなプロの技術は無理でも、手頃な価格電動工具ひとつで出来るちょっとしたアイディアなら真似できるかもしれません。そんなときに強い味方になってくれるのが、数千円〜一万円代で購入できる電動工具「トリマー」です。

 

 

 

 

1 トリマーとは?初心者に人気の電動工具の魅力

木工DIYをしたことがない方であればあまり聞いたことない道具、トリマー。トリマーは、回転の力を利用して木材を切削できる電動工具です。中心にある回転軸にさまざまな形のビット(刃物)を取り付けて木材を切ったり削ったりすることが出来るので、木材の溝加工(溝彫り)、くり抜きや面取りなどの細かい装飾や細工に使われます

トリマーはどんな工具?

トリマーは円筒形の機体の中央に取り付けた刃物(ビット)を回転させて木材を削る電動工具です。ビットの取り付け位置を調整できるので、木材の厚みより短く設定することで板の厚みを残して溝を彫ることも、厚みよりも長く設定することでくり抜くこともできます。

トリマーは基本的にフリーハンドで扱う器具。写真のように板の角をトリミングする(面取り)場合には特に必要ありませんが、板の平面に溝を彫るような場合には必ずガイドを使いましょう。木材を削り取るために、小さいながらなかなかのパワーで回転するため、フリーハンドで直線を彫るのはほぼ不可能です。

 

 

 

 

 

2 トリマーでできる加工は?

 

1、面取り

木材を立体としてイラストにした際に、それぞれの「辺」の部分を削ることで角を取り、装飾を加える加工。

面取り加工の必要性と種類について

 

2、溝加工(溝彫り)

トリマーを使えば、木材の表面に溝を掘ることができます。扉やガラス、何かをはめ込む際や、装飾にも使われます。

 

3、型抜き、くり抜き

ドリルのように刃物を回転させながら木材を削るトリマーは、刃物を貫通させて動かすことで木材に穴を開けたり、好きな形にくり抜くこともできます。

 

 

 

 

 

 

3 木材に溝を彫る!トリマーで溝加工をするには

 

木材に溝をつける溝加工(溝彫りは、トリマーが得意とする加工のひとつ。ビットの種類や位置を変えることで様々な幅、深さ、形の溝を彫ることができます。狙った通りの場所に溝を彫るためには、必ず必要な大きさのトリマーガイドを使いましょう。また直線や四角など、シンプルな形状を加工する場合には自分で簡単なジグ(治具:加工の補助をするための道具)を作る人もいます。

 

溝加工に使いやすい!おすすめビット

 

ストレートビット

底面がまっすぐな溝を彫るためのビットです。木材を組み合わせて箱を作ったり、スライド式のフタを収める溝を作ったりと用途はアイディア次第で無限大です。

 

U溝ビット

底面がカーブになった溝を彫るためのビットです。柔らかい印象の溝は装飾で使われることが多く、デザインのアクセントや文字を彫刻するのにも使われます。

 

横溝ビット

横溝ビットは木材の断面に溝を彫りたいときに使うビットです。木材同士を組み合わせて大きな板を作りたいような場合や、窓のように角材にガラスをはめたりしたい場合に活躍します。

 

細い溝ならノコギリでも!

柔らかい木材であれば、手で使うノコギリ(ハンドソー)で細い溝を彫ることもできます。真っ直ぐ狙い通りに溝を彫るには墨つけだけでは不十分なので、必ずガイドとなる板などを使用して溝を引いてみましょう。ノコギリの幅よりも太い溝を彫りたい場合には、2本の溝を彫った後に間に斜めに刃を入れることで間を削り取ることができます。

ただこの方法は固い木材になると手のこでは歯が立たないので、柔らかい木材に限ります。

 

 

溝加工(溝彫り)で作れる作品例

溝で作る装飾

木材の表面に溝を彫ると、ただフラットに使用するだけでは出せないデザイン性の高い作品を作ることができます。

 

溝を掘ってはめこむ、埋め込む

窓などにガラスをはめこんだり、異素材を板に埋め込んだりする場合にも加工は必須の加工です。出来るようになるだけで、作れるものの種類が広がります。

木材を使った自慢の作品「溝加工」を見る

 

 

 

 

 

 

 

4  型抜き・くり抜き加工の基本と活用アイデア

 

トリマーがあれば出来る加工のもうひとつに、木材の「くりぬき・型抜き」があります。どちらも板の一部分を彫り込み、狙った形に穴を開けたり切り取ったりする手法ですが、一般的には穴を開けた残りの木材を活用する場合を「くり抜き」、狙った形に木材を切り取ることを「型抜き」と言います。

こちらも溝加工と同じく、精度高く仕上げるためにはガイドや治具を使うことをお勧めします。木材の型抜きと言うと、木製パズルのようにカットしたものがピッタリと組み合わされるようなイメージを持つ方も多いかもしれません。木材の型抜きに使える工具はトリマーだけではなく、それぞれ仕上がりの特徴が異なります。

 

■型抜き・くり抜きにおすすめのビット

 

ストレートビット

詳細には種類が色々あるのですが、単純に木材を型抜き・くり抜きする場合にはベアリングつきのストレートビットを使うのが一番スタンダードな方法です。木材の固さや削る深さによって、ビットの長さや太さを選びましょう。

 

ディッシュビット

ディッシュ=お皿の名前の通り、木製のお皿やトレーの窪みを加工するためのビットです。底面の立ち上がりが柔らかな曲線を描くので汚れが溜まりにくく、使いやすいトレーに仕上げることができます。

 

 

番外編:トリマー以外の型抜き・くり抜き工具

■インパクトドライバー  初心者向き度 ★★★

どちらかと言えばビスの下穴など小さな穴を開けるために使われるイメージのインパクトドライバー。でも実はボアビット(ザグリ用ビット)と呼ばれる穴あけ用ビットを使えば40mmくらいまでの円形穴を開けることができます。小さめの円形穴であれば一番簡単な方法です。

 

■ジグソー  初心者向き度 

ジグソーはいわゆる糸のこのように細い刃を出し入れすることで木材をフリーハンドでカットする工具。インパクトドライバーで小さな穴を開けてからジグソーの細い刃を差し込んでスイッチを入れると、手で書いた下書きをなぞるような繊細な型抜きも可能です。刃が薄いので、上手に扱えば切った木材同士をパズルのように組み合わせることもできます。自由度が高い分、美しい仕上がりにはコツと経験が必要なので、初心者向きの工具ではありません。

 

 

型抜き・くり抜きの作品写真

くり抜いて、はめこむ

木材をくり抜きして、洗面ボウルやフードボウルをはめ込んだ作品写真です。くり抜きによってただの天板ではなく機能のあるテーブルに進化します。

 

ケーブルスリット

デスク天板の壁側の奥に穴を開けることで、配線ケーブルを下に落とすことができて卓上がスッキリします。(写真はどちらもマルトクが加工)

 

自由な形の型抜き作品

木材を思い通りに型抜き出来るようになると、雑貨や不均衡な形の天板、玩具など個性の光るオリジナル作品を作れるようになります。

 

 

 

 

5 溝加工・型抜き・くり抜きに適した木材の種類と選び方

 

トリマーに限らず溝加工、くり抜きなどの加工は木材を削る量が多く、パワーの必要な加工です。はじめは杉・桧・ポプラやバスウッドなど柔らかい木材で練習をするのがおすすめです。コツを掴んできたらハードウッドの加工にも挑戦してみましょう。木材の種類ごとに固さや材質(割れやすさ、粘りの有無、節など)も異なるので、まずは不要な部分で試し彫りをしてから本番にのぞむのがおすすめです。

加工しやすい!ソフトウッド

国産桧

 【国産材】桧(無節)

削りながら香りたつ、森林の香りも楽しい国産針葉樹

シナ(バスウッド)

 シナ(バスウッド)木質が柔らかく、手彫りの彫刻にも使用されます

米栂

 米栂(ベイツガ)柾目の米栂は木目が揃っていて柔らかく加工しやすい

 

 

 

 

 

 

 

終わりに:ステップアップしてDIYを楽しもう!

 

お客様自作の引き戸。プロ並み!

 

穴あけやビス打ちほど必須ではない溝加工やくり抜きは、どちらかと言うと業者に頼んでやってもらう加工の印象が強いかもしれません。でも実は数千円のトリマーがひとつあれば、簡単なコツでチャレンジできるDIYだったりします。雑貨や家具など応用できる範囲も広いので、ぜひチャレンジしてみてくださいね!

その上で精度や完璧な仕上がりを求めるのであれば、もちろん私たちプロの出番。マルトクショップ でも溝加工、穴あけ、くり抜きと各種加工をご注文いただけます。予算に合わせて上手に利用して、楽しいDIYライフを送っていただければと思います。

 

 

 

 

 

 

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