2020年1月30日
マルトクショップが販売している「木材」。木材を使うことにどんなイメージを持っていますか?
体にやさしい?自然にやさしい?それとも木を伐採することで環境を破壊している?
どんなことも、見る角度によって解釈は変わってきます。今回のもくもく通信では、木材と環境、そして人に及ぼす影響について更新していきたいと思います。
目次
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綺麗に手入れされた杉の植林地(岡山県)
マルトクショップでは2020年現在、国産の木材も多く取り扱っています。
杉や桧はもちろん、一般的には輸入材に頼りがちなナラ・カバ桜・栗・山桜などの広葉樹も力を入れて販売しており、いずれも人気です。桧などの樹種は西日本を中心に高値で取引されていた時期も有り、国産材は高級だというイメージを持っている方も多いですが、樹種によっては輸入材と遜色ない価格で購入できる樹種も増えて来ました。
日本では古来から建築物や日用品など、生活のいたるところに到るまで木材を取り入れて来ました。生活を支える木材を確保するために、中世の文献にはすでに林業が行われていた記録が残っているそうです。特に遷都を経験している近畿地方では植林も盛んに行われ、木材の大量消費に備えて来ました。
江戸時代に入ると、江戸幕府や藩の管理下に置かれた「御林」が設定され、後の国有林の原型となった歴史があります。
戦後の復興には木材が必要不可欠だった
戦後、復興のために日本の木材需要は増大しました。マルトクも、こうした戦後の需要のなかで誕生した材木店のひとつです。需要に供給が追いつかず、国家的な施策として植林・造林が進められてゆきます。当時価格が高騰していた杉や桧を植えることは非常に経済的価値が高いとされ、時には子供を背負った母親まで駆り出す勢いで公私有地問わず植林が進められました。現在の国内の人工林の実に40%は当時に植えられたものだそうですよ。
輸入材(ウォールナット)の買い付け風景
とは言っても木材は植えてすぐに使える資源ではありません。造林が進められる一方で昭和39年には木材の輸入が自由化されます。海外の安い木材に推されて木材の価値は暴落し、日本の林業は苦しくなって行くこととなりました。(※1)
国産の木材の価格は昭和50年代の後半から下がり始め、その頃から林業従事者の高齢化や若者の林業離れも問題となり、林業従事者自体も減って行きました。需要が低いので木材が安い、せっかく大切に育てても利益が出ない。そして、慢性的な人手不足。日本の林業は長くにわたる不景気の時代に突入して行きます。
鹿は針葉樹の若芽を食べつくしてしまう
そうした時代背景を経て、現在日本の山には、充分な管理がされず、荒廃してしまった放置林が増えています。放置されて成長しきった針葉樹は、倒木や台風等による土砂崩れなど深刻な被害をもたらします。記憶に新しい2019年の千葉県の大停電などは、こうした放置林の倒木が道を阻んで復旧が大幅に遅れることとなったのは記憶に新しいのではないでしょうか。
伐採後に続けて植林が行われず、放置されている植林地も少なくありません。もちろん国有林や市町村では予算に合わせた植林と森の循環が行われていますが、減少に成長が追いついているかと言えば断言しきれない部分もあります。きちんと新しく植林をして森を育てないことにはどんどん土地が荒れ、数十年後の森林資源の枯渇に繋がります。
また、近年では野生動物による森林被害も深刻な問題です。被害の主な原因となるのはシカで、杉や桧などの針葉樹の表皮や植樹したばかりの木の若芽を食べてしまいます。温暖化で冬が温かくなり、狩猟を行う人口も減ったことでこうした野生動物が増え、被害は以前より深刻になりました。
こうした課題が山積みかと思われる日本の林業ですが、一番の不景気のピークは脱したという見方が最近では一般的です。諸所の問題はあれど、基本的には戦後の造林計画によって植えられた木材が成長し、今がまさに利用に適した時期となっています。国内の木材自給率は2002年を底として徐々に向上してきており、2015年には30%を超えました。また、著しく成長しているのは木材の輸出市場です。平成25年に123億円だった木材の輸出額は、平成30年に351億円と、倍以上の成長を遂げています。(※2)
「こちらの木材は国産ですよ」と言われると、高級品であると感じてしまう人は多いのではないでしょうか。もちろん国産の質の良い桧(ひのき)や欅(けやき)は過去から現在に至るまで、国産材の中でも高級材として扱われていますが、実際のところは国内の木材が現在充実していることもあり購入しやすい価格の木材も多く流通しています。
杉 杉といえば、国産植林材の代表格。空気を多く含んでいるので触り心地が暖かく、手になじむ質感です。何よりも価格が安定していてDIYにも取り入れやすい木材です。 30×300×600mm ¥3,210〜
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桧 日本では古来から高級材とされてきた木材です。他には無い独特の芳香が人々に愛されてきました。木肌は程よく緻密で木目も美しく、バランスの取れた樹種です。 30×300×600mm ¥4,970〜 |
ナラ(節・白太有り) 近縁種であるホワイトオークよりもきめが細かく、天板などに使用しても綺麗に仕上がります。節あり材のみの取り扱いです。 28×300×600mm ¥4,180〜 |
栗 色味は淡い黄灰色~褐色の木目がはっきり出る美しい材で、昔から家具や建材等様々な用途に使われてきた、日本人にはなじみ深い木材です。 30×300×600mm ¥5,900〜 |
豊かな森と水源は、日本の財産です
マルトクショップは、国産の木材販売に力を入れています。国産の木材が適正な価格で使用されることは、日本の山を守ることに繋がります。健全な森林は山に水を蓄え、地盤を固め、温暖化ガスを取り込みますが、こうした健全な森を永続的に育み続けるには、林業の継続が欠かせないのです。
また、地元の木材を地元で消費する国産木材は、はるか海の向こうの木材を伐採して、エネルギーを消費して日本まで運んでくる輸入材に比べ,エコな素材でもあります。国産材にも、海外の木材に負けない魅力的な樹種がたくさん揃っていますので、ぜひ選択肢の一つとして商品ページを覗いてみていただければと思います。
出典 |
※1 木材需給の動向(3)(林野庁) ※2 木材輸出に関する情報(林野庁) |