2025年7月31日
無垢や木目調の家具を購入するときに、多くのブランドで製品ラインナップに入っているオーク材。北米では古くから建材や家具の材料として使用されて来た木材で、今現在も流通しているオーク材の多くは北米で計画的に生産されているアメリカ広葉樹の代表的な木材です。
今回のもくもく通信では、このオーク材とはどんな木材なのか、適した使い方やケース別のメリットデメリットをご紹介したいと思います。
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目次
– ヨーロピアンオーク – 古くから愛されて来たヨーロッパ産オーク
– オーク材の天板 – オーク材の収納
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「オーク材」という名前は、木材に少しでも関心のある方であればよく聞く名前なのではないかと思います。オーク材はブナ科コナラ属の落葉樹から製材される木材の総称で、一つだけの種類を表す言葉ではありません。
日本語ではナラ材と呼ばれており、北海道などの気温の低い地域を中心に国産材も生産されています。英語ではオークという名称で一括りにされでいますが、日本においては一般的にオーク材とナラ材は区別されることが多いです。その理由としては原料となる木の種類が、はっきりと異なることがあります(親戚のような近い種類ではあります)。主なオーク材の種類としては下記のようなものが代表的です。
ホワイトオークはブナ科コナラ属コナラ節の木をさす言葉で、主に北米で生産されています。伐採した際に芯材の部分が白っぽく見えるのが名前の由来だそうで、オーク材全体の中で比較しても少し明るい色合いをしています。
ホワイトオークはオーク材の中では特に人気のある樹種で、家の内装に使う木材や家具に世界中で広く愛されている人気の樹種。変わった使い道としては、ウイスキーの樽としても昔から使われています。
レッドオークは北米で生産される、ホワイトオークに近い種類のオーク材。木目や質感もとてもよく似ていますが、伐採したときの芯材は少し桃色がかった色をしているそうです。材木として製材した後もレッドオークの方が少し赤みのある色をしており、ナラやホワイトオークと比較すると若干ピンクやオレンジを感じる色をしています。
ホワイトオークが2022年以降大きく値上がりした結果、代替の木材としても現在注目されている木材です。
実はオーク材は日本でも生産されています。国産オークである「ナラ材」は主に北海道などで生育するミズナラを中心とした国産材からつくられる木材です。寒い地域で育つ国産のナラは北米産のオークよりもきめ細かく手触りが良いのが特徴で、国産ということもありこちらを好む方も日本国内では多いです。色はどちらかというと黄色っぽく、くすんだやさしい色をしています。
木材としては北米産のイメージが強いオーク材ですが、ヨーロッパ産のオークも昔から利用されてきた木材です。ロシア以西で生産されるオーク材はヨーロピアンオークと呼ばれて区別されています。ギリシャの遺跡からオーク材の家具が見つかるほどその歴史は古く、特にドイツにおいては国の象徴としての”国樹”がヨーロピアンオークであり、素材としてもモチーフとしても親しまれている木です。
木材としてはアメリカ産のホワイトオークとよく似ていますが、個体差があるもののヨーロピアンオークは木のなかに含んでいるタンニンという成分の量が多く、腐りにくい木材であると言われています。
虎斑(とらふ)の現れたホワイトオーク材
オーク材は内装用建材・家具材として高い人気を誇る樹種。すべてのオーク材において共通しているのは頑丈な材質と美しい木目です。流れるように連なるループ状の板目(木材を中心以外でカットした時に現れる木目)に加え、柾目(木材の中心部分に出る縞状の木目)の部分を横切るように虎斑(とらふ)と言われる”杢目”が現れることがあります。杢目とは木材を製材するなかで時々現れる珍しい木目のことで、通常の木目よりも高価で取引されることもある場合もあります。オークに現れる虎斑はシルバーグレインとも呼ばれ、あえてこの部分を強調して使うことも多いです。
木目の美しいホワイトオークの天板
オーク材は比重0.6〜0.75と一般的な内装用木材としてはトップクラスに硬い樹種。傷がつきにくくとても頑丈な樹種なので、耐久性が高く天板や床材など接触の多い部分への使用に向いています。住宅の内装にはもちろんのこと、公共施設などの一日中不特定多数の人が行き来するような場所での使用にも耐えることができる頑丈な樹種なのです。
耐水性にも優れることから、とくにホワイトオークに代表される数種類のオークはウイスキーの樽材としても使われて来た歴史があります。ちなみにオークにはたくさんの種類があるので、オークの中でも樽に向いている種類のオーク材以外で樽を作ると、水が染み出してしまうことがあるそうです。
家中オークで揃えても違和感のない色と木目
オーク材は内装に、家具にと世界的に見ても人気な樹種。木のインテリアや家具のバリエーションとしてはトップクラスの人気樹種です。
人気ということは即ち様々なメーカーで商品に使われているということなので、例えば床と家具で色や木目を揃える、同じ雰囲気のプリント合板の家具を置きたい、など全体のコーディネートをしたい場合にも選べる製品のバリエーションも多いです。珍しさ、人とかぶらないという観点で言えばおすすめする樹種は他にたくさんありますが、オーク材は人気がある=多くの人が好む、美しい、安心感のあるコーディネートを組める木材であることは間違いありません。
オークはとても硬い木材。木材の世界で硬いということは「身が詰まっている=重い」のがすべての樹種で当てはまる決まりごとです。軽くて扱いやすいのに硬い樹種は基本的にはありません。
この法則にはもちろんオークもしっかりと当てはまっていて、オークは硬く、そしてとてもとても重たい木材です。大きめなダイニングテーブルサイズの天板であれば大人二人居ないと安全には動かせないほどの重量に。硬くて重いということは扱いやすい素材ではないので、あまり見た目や耐久性を問わない、扱いやすさ重視な用途であればオーク材は”ベストな選択”では無いと思います。
昔から高級材という括りではありつつも比較的採用しやすい価格帯だったオークですが、2021年のウッドショックや長引く円安傾向、そして何よりも世の中すべての物価上昇の影響で価格は上昇したまま戻って居ません(2025年現在)。世の中の”モノ“すべてが値上がりしている昨今ではありますが、ことホワイトオークに関しては15年前と比較するとその価格は倍になり※、代わりに使えるよく似た木材としてレッドオークなども需要が高まって来ています。
木材というジャンル自体が値上がり傾向ではあるのですが、そのなかでもオーク材(特にホワイトオーク)は価格の上昇幅が大きい樹種と言えます。
※参照:もっとつかえる日本の広葉樹林 – 国立研究開発法人森林研究・整備機構 森林総合研究所
オーク材は様々な種類があり、どの樹種も素敵ですが産地や人気によって価格が違います。天板に使える25 ×800 ×1800mmのサイズで価格を比較したのがこちらの表です。
樹種 | マルトクショップ価格 |
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ホワイトオーク無垢材 | 65,670円 |
ホワイトオーク無垢材(節・白太あり) | 57,520円 |
レッドオーク無垢材 | 42,020円 |
ナラ 無垢材 | 57,520円 |
国産ナラ無垢材(節・白太あり) | 38,140円 |
ナラ集成材 | 33,920円 |
同じ”オーク材”でも、産地や人気によって大きく値段が違うことが分かります。違いはありつつも全体的な色と木目の雰囲気はよく似ているので、サンプルと価格を比較しながら選ぶと妥協せずに手頃な値段で手に入れることができるのでおすすめです。
木目が美しく強い、この二つにあてはまる樹種はもれなく天板におすすめです。オークは傷もつきにくく、流れるような力強い板目が美しい、天板にぴったりの樹種。マルトクショップ のお客様からも、たくさんの写真をいただいています。
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木目の美しいオーク材は、オープンラックというよりはその木目を楽しめるようなチェストの前板や側板に多く使われます。デザインによって現代的にも、レトロな雰囲気にもなじむ万能選手です。
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オーク材の素敵なところは、床とカウンター、壁に建具に…といろんな場所や広い面積に使っても癖がないこと。色も明るめのブラウンなので、ダークカラーの樹種ほどは主張せず、明るい室内を作ることができます。
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美しい木材はたくさんありますが、あわせて手の届く価格と、広い面積に使っても癖の無い木目と強度をすべて持っている樹種というのはそんなに多くはありません。アメリカで、ヨーロッパで、そして日本でも昔から愛されて来たオーク(ナラ)材は、そうした条件をすべて満たした人気の木材です。
一度手に取って、使ってみたらその魅力に納得するオーク材。リフォームやDIYの際にもしも木材選びに迷ったら、おすすめしたい木材のひとつです。
マルトクショップ では複数種類の木材サンプルもご用意しています。ぜひお手に取ってその魅力を感じてみてくださいね。