木の基礎知識 マルトクショップ「もくもく通信」

命と心に寄り添う家づくり【㈲前川材木店様】

2018年8月15日

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〜前川材木店の発想に触れる〜

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伝統と地域、健康と建築、エコで快適を求めた

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香川県の茶どころ三豊市の「高瀬」に創業100年を超える建築会社があります。

香川県の持家率は、全国ランキングで14位。四国の中では1位、県民の約7割が持家という県民性があり、おのずと家にこだわりを持つ方も多く、ロードサイドには住宅会社が軒を連ね、書店では家づくりの書籍が目立つ場所に積み上っています。

そんな香川で、闘病中に出会った1冊の本に魅かれ、ドイツに渡り自分なりの解答を見つけられた建築家がいます。前川博樹社長は26歳の時、お子様誕生の僅か1ヶ月後に難病に身体を蝕まれます。死と直面し改めて人生と仕事に対峙し、後にそれまで勤めていた大手ビルダーを退職し、実家の前川材木店を引き継がれた経歴の持ち主です。

前川社長が病魔との戦いの中で次第に心が目指し始めた「自然素材の家づくり」への思いが募ったのは、闘病中に出会ったホルガーケーニッヒ著※「健康な住まいへの道ーバウビオロギーとバウエコロジー」です。その本に魅かれて、ドイツへ渡り、「自然素材の家づくり」が、確信となり現在の前川材木店の家づくりに継がれることになりました。

 

命に優しい家づくり

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土に還る家は
人にとって心地いい

一番のエコは「元に還る事」とするならば、おのずと家づくりに必要な建築資材は、自然系になる。「言うは易し」ですが、実際に自然に還る建築資材を起用する大変さは創造するまでもなく大変ですが、前川社長は飄々と意思を貫かれています。

 

ローカルとグローバルを見事に具現化された「住まいの思想」

世界の流れは、資源もエネルギーも「再生可能」が主流です。一方、ローカルでは「地方・地域文化資源の再発見」と叫ばれており、前川材木店では見事に踏襲されています。

 

「杜の家」構想

ドイツで学ばれた先進の思想をバックグランドに、エコハウスづくりは「継承された職人技術」や「建築資材」など、それらを地域の暮らしに落とし込んでゆくと、日本建築の伝統の技〜木と土の〜「杜の家」へと繋がったのだそうです。そのあたりに、先進性と地域を大切にされ、多勢に流されない前川社長の信念を感じました。

 

日本建築が育んだ技法や素材を惜しみなく活かす

大切にしたい、伝統の技。日本のエコな家づくりに欠かせない最強の技を適材適所に取り入れられています。

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地域に根ざした建築を考える上で、健康を守り心を優しく包む瓦屋根、土壁、焼き杉板、漆喰を積極的に取り入れて根本的な快適さを追求されています。

木と土で作る土に「還る家」は、「環境には負荷をかけない」をテーマに前川材木店の〜木と土の〜「杜の家」は、日本古来から伝承される先人達の知恵と、環境や人にまつわる状況が変わってきた現在において新しい「家」の概念そのものと感じました。

 

伝統技をベースに最新の建築素材も積極的に

瓦屋根、小舞・土壁、焼き杉板、漆喰、スイス氷河粘土塗料、自然健康塗料、珪藻土、和紙、雨水利用システム、炭素埋設、オガファーザー、薪ストーブ、天然オイル仕上・天然樹脂仕上コルクタイルなどほとんどが天然素材をベースにした建築資材を用いられていますが、前川社長の価値基準は、新旧関係なしに「命に優しいもづくり」に必要と確証を得たものであれば国内外産を問わず起用されています。

 

エコは結局、経済的

小さな投資で得られ満足度がとても高い「漆喰」

漆喰は、専門技術を持った職人の手仕事で塗られる為、費用もかかりますがクロスのように経年劣化せずに長期間使用でき、しかも調湿性、シックハウス症候群にも有効なので積極的に施工を薦められておられます。またスイスロームなどの塗り壁なども物件毎に使い分けて満足度を高められておられました。

 

価格以上の顧客満足度のある「無垢の幅ハギ材」

前川材木店さまでは、以前から弊社マルトクの無垢ハギ板や床材を数多くの現場でご使用頂いています。無垢の一枚板と違って豊富な樹種とコスト面でも利用しやすいとのご評価を頂いております。

 

前川社長の「エコ住宅」の概念

stove.jpg強力な空調設備を使って家の中の不純物質を徹底的に除去する事がよしとされていましたが、室内の空気だけを浄化しても外に排気すれば同じこと。それならはじめから環境を汚さないように努力すればいいと言うことに気付かれました。

人や自然界に負担をかけないために、再生可能で持続可能な素材を利用することに至られたのです。思っては見ても、実践するには様々な障壁をクリアする力が前川社長にはあります。

「アクティブ」と「パッシブ」の融合

従来からある電気、石油、ガスなどによる冷暖房を行う「アクティブエネルギー」に対し、エコハウスやスマートハウスと呼ばれている太陽、風、水、樹などの自然エネルギーを最大限利用して冷暖房を賄う「パッシブエネルギー」があります。
前川社長は、いずれかのエネルギーに依存するのではなく、両者のいいところを融合させたエコを目指しておられます。将来的には、何れのエネルギーもさらに進化してゆくでしょうが、現時点ではうまく融合させる事が大切だと考えられています。

 

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【㈲前川材木店様HP 施工事例】http://kinoiedukuri.net/works/

 

取材を終えて

前川材木店は、数年前に100周年を迎えられ老舗中の老舗。4代目の前川社長は、実によく勉強されており自然建築資材の知識を幅広く熟知されています。自然素材のもつ力を引き出すには、素材の持つ特性を知らなければただの装飾に終わってしまいますが、伝統的な技法や職人の技量を熟知している事が条件です。

海外での体験や学びをそのまま取り入れるのではなく、思想を見事に日本風味に着地させた柔軟性と先進性が素晴らしいと感じました。若き頃の闘病を克服した後の、どん欲さとブレない信念が行列の出来る建築工房となった事に納得が行きました。

家づくりは、ともするとデザインや機能、便利さに意識が行きがちです。それらもとても大切ですが、日本で心地よく健康に過ごすために何が大切かを考えると、とてもシンプルなのかもしれません。一時のお客様が喜ぶ家づくりではなく、長年住んでじわじわ良さが感じる家こそが、前川材木店、前川社長が求めている家づくりなのだと確信を得ました。

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命に寄り添う家づくり

前川社長の話を聞いていると、多くのお客様が「お任せ」で住宅を発注されている事に驚かされます。人柄もあるのでしょうが、スタッフも一丸となって「命に寄り添う」住宅づくりの姿勢に共感し、住宅建設という機会を楽しく共有しているようです。

「伝統と先進性」を奇をてらわずに、きちんと気持ちよく仕事をされている前川材木店をこれからも注目したいと思います。帰り際に、前川社長が「同じ思いで建築に取組まれている方との出会いを心待ち」にされていると言われました。関心の有る方はぜひ前川材木店の前川社長にコンタクトを取られてみてはいかがでしょうか。

お忙しい中、取材にご協力をいただきましてありがとうございました。

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【参考資料】ホルガーケーニッヒ
1951年Munich生まれ。Munich工科大学・大学院卒、都市開発計画事務所勤務後、コ建材・家具工房「ホルツ・ケーニッヒ」設立後、建築設計事務所設立。バウビオロジー・バウエコロジーの住宅、幼稚園、学校を手がける。エコ建材のコンサルティング、サスティナブル建材の評価システムの監査役などバウビオロジー・バウエコロジーの普及に寄与している。(株式会社イケダコーポレーション資料より)
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