2022年6月30日
木材を使ったDIYをする際に、特に初心者の内は「失敗したらどうしよう・・・」という想いが頭をよぎる方も多いのではないでしょうか。些細な失敗であれば案外木材を裏返したりして目立たないようになりますし、それも思い出になったりするものですが、基本的には木材は加工してしまうと元には戻らないもの。今回のもくもく通信では、DIYによくある失敗とリカバリー方法をご紹介します。
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目次
– 1.パテで埋める
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一度穴を開けると戻らない、でもそれが面白い
DIY(=Do It Yourself)は直訳すると「自分でやる」。つまり手作りするなら料理でも粘土細工でも金属加工でも何でもDIYな訳ですが、その中でも木工DIYはどちらかというと大掛かりで準備の必要なDIYに分類されるもしれません。その理由として、一度触ると元に戻すのは難しいという木材の特性も多少なりとも関わっているとマルトクでは考えています。木工におけるミスは、編み物や粘土と違ってやり直しが効かず基本的には「どうやってリカバリーするか」を考えることが大切です。
木工DIYでありがちな、初歩的ミスといえばインパクトドライバーに関するトラブルでは無いでしょうか。位置がずれた、裏表を間違えたなどの穴開けトラブルだけでなく、ビスを打ち込んだ際に下穴が不十分で割れが生じてしまう場合もあります。パワーのある工具だけに、DIY初心者の内は少し注意深く使用することが必要かもしれませんね。慣れてしまえばそんなに大層なことでは無いのですが、最初は誰だって躊躇があるもの。そんな時のために、万が一の対処法を知っておけば安心です。
対DIYビギナーさんで考えれば、これが一番簡単で確実です。粘土状のパテを埋めたい穴に盛り込み、乾燥させた後に表面を研磨して周りの木材に馴染ませます。特別な器具が要らず、手で補修できるので、穴の補修だけでなく木部の割れ等にも使用できます。
▼ウッドパテ
一番手軽に使えるのはチューブから出してそのまま使える木工用パテです。有名どころはコニシボンドとセメダインで、価格帯も色展開(タモ白・ラワン)もよく似ているので、入手しやすい方を使用するので問題ないでしょう。乾燥することで多少カサが減るので、大きな穴や深い割れの補修に使用する場合は後述のエポキシパテがおすすめです。
▼エポキシパテ
乾燥させることで硬化するウッドパテとは異なり、2剤を混ぜ合わせることで化学反応を起こし硬化するタイプのパテです。乾燥による目減りがほぼ無いので、補修する場所の体積が大きい場合にはこうしたタイプをお勧めします。
ダボとは木材同士を接合する際に使用する木片のこと。本来は棚板や家具の脚などをビス穴を見せずに接合するために使うものですが、失敗した穴を埋めるためにも使用できます。パテよりは仕上がりが綺麗になることが多いですが、修復跡はやはり見ればわかります。
比較的安価でホームセンター等でも入手できる木ダボ。面取りしてあるので削らなくても穴に入りやすく、ボンドを吸ってしっかりと穴を埋めてくれます。塗料の吸いが木材の表面よりも良いので、塗装後の修復跡は周りの木材よりも濃い色になりやすいのでステインでの着色にはご注意ください。
市販の丸棒を使用して穴を埋めることもできます。一本から購入できて安価ですし、木ダボのように細かいパーツを管理しなくて良いので工具箱はスッキリ管理できます。注意点としては、丸棒の径が正しく無いことが良くあるので、いらない端材等でビットの確認をしてから修復する穴のサイズを調整した方が良いでしょう。
補修用の素材として、SPF材に穴を開けたものを用意しました。穴の大きさは木ダボに合わせて6mm程度に開けました。こちらをそれぞれ木工用パテと木ダボで埋めて行きます。
今回は6mm径のものを使用しました。補修したい穴のサイズに合うダボが無ければ、一番近いサイズかつ穴より大きいものを購入して、ダボに合わせて穴を調整するか、ダボを研磨して小さくしましょう。ギリギリ差し込めて、ギリギリ抜けるくらいが一番ベストなサイズ感ですが、木ダボは面取りがされているので意外と押し込めますし、多少緩くてもボンドを吸って膨らむのでなんとかなります。深さは1cm〜ダボの半分くらいの深さがおすすめです。
木ダボはボンドの水分を吸って膨らみ、ガッチリと穴に固定されるので先にボンドを入れます。この時入れすぎると、ダボを差し込んだ際にボンドがはみ出てしまうので少しで良いです。表面にボンドがついて浸透してしまったりすると、その後塗料のムラ付きなどの原因になるので気を使いながら入れましょう。
ボンドのはみ出しに注意を払いながら、木ダボを穴に差し込みます。ハンマーや金槌をお持ちでしたら、軽く打ち込んでも良いでしょう。釘のように強い力で打ち込むとダボも板も痛める原因になりますので気をつけます。しっかりと入ったら、ボンドが完全に乾燥するまで24時間程度乾かしてください。
乾燥したら、表面からはみ出ている部分をなるべく表面ギリギリでカットして行きます。表面から飛び出ている部分が少ないほど、次の工程が楽になるので頑張ります。(ノコギリの形状によっては表面を傷つけてしまうので、気をつけながら少しずつカットしましょう。)
最後に表面を研磨して、周りと平らにならして完成です。研磨するので当然、ダボの周りの表面も多少削れてしまうので、必ず穴の補修は塗装前に行いましょう。(クリアーの自然塗料であれば、塗装材の補修後に再塗装することも可能です。)補修したのがマルトクショップ の木材であれば、240番程度のペーパーで仕上げれば、出荷時と遜色のない状態に戻せるはずです。
今回はコニシボンドのウッドパテを使用します。チューブ状容器が便利です。容量は少なめですが、その分価格もリーズナブルなのでDIY用に一つ持っておくならとても便利なサイズです。撮影に使用する木材がSPF材なので、「タモ白」を選びました。
早速穴に盛り込みます。パテを使う際の注意点は、あまり広範囲につかないようにすること。乾燥後に研磨するとしても、削りきれずに残った場合、その後のステイン等のノリが他の部分とは変わってきてしまいます。ペンキなどの塗りつぶし系の塗料であればそこまで気にしなくて良いでしょう。一般的な木工用パテは乾燥で多少縮むので、少しだけ表面から盛り上がるように穴に入れ込みます。こちらも入れ込んだら乾燥させておきます。
SPF材にはありがち、ヒビも発見したので一緒に補修してみます。ヒビの場合はなるべく付着する範囲を広げすぎないように、ヒビの中に入るようにパテを塗りこみます。
乾燥したらこちらも表面を研磨します。あまりもりもりにパテを乗せてしまうと、この研磨の際に苦戦しますので、多少盛り上げる程度にとどめておきましょう。穴が大きければ大きいほど乾燥した際の縮みが大きくなるので、あまり大きな穴の場合はエポキシパテの使用をお勧めします。今回はダボと比較するために大きな穴で補修してしまったのですが、商品の説明書には幅または深さが5mm以上の場合と記載がありました。
木ダボの場合と同様、周りの木材に合わせた番手のサンドペーパーで仕上げます。マルトクショップ の木材であれば240番程度までは番手をあげて仕上げると周りになじませることができます。
しっかりと乾燥、研磨して仕上げた二つの仕上がりがこちらです。どちらも補修跡自体は分かりますが、目を瞑ると触ってもわかりません。仮に天板の表面だったとしても、使用には問題ない程度に補修できました。
自然塗料(クリアー)で塗装してみました。木ダボは塗料の吸い込みが良いので、より濃い色に仕上がります。着色する際にはこの吸い込みの差で色がはっきりと変わるので要注意です。穴を見えなくするというよりは、使用に支障が無いようにするという方が目的としては近いかもしれません。でもこれはこれで綺麗に仕上がるので、ビス隠しやデザインのアクセントとして模様のように使われる方もいらっしゃいます。
パテはクリアーを塗る分にはほとんど色は変わりません。今回はSPF材だったのでこの程度の馴染み方ですが、ウォールナットなどの濃い色の木材を補修する場合にはもっと色の差が出るので調色できるパテがおすすめです。
追加で補修してみたヒビに関しては、あまり綺麗に仕上がりませんでした。これは樹種とパテの色によるところが大きく、今回のSPFのように割れたところにヤニが出ていたりするとパテの色とうまく馴染みません。表面は簡単に滑らかに仕上がったので、天板等の目立つところに使用する場合はパテの色を考慮するか、木粉とボンドによる補修の方が綺麗に仕上がりそうです。
また、本格的に目立たないように補修するのであれば、同じ素材の端材を穴のサイズに削って補修する「埋木」で処理される方もいらっしゃいます。こちらはちょっと初心者向けの技術では無いかもしれませんが、ちょっと見ただけでは分からないほど綺麗に仕上がります。
しっかり墨付けすることでミスも軽減できます
穴開けの補修方法をご紹介しましたが、どんな方法にしてもボンドやパテを乾燥させたり、研磨したりと結構時間がかかるもの。完成の遠のく作業をしなくて良いならしたくありません。穴開けのミスを防ぐにはやはり計画が一番大切です。事前にサイズや穴開け位置を計算し、しっかり墨付けをすることで多くのミスは防げます。
また、ドリルの扱いに自信がない方はやドリルガイドなど、正確な角度や位置で穴を開けるための便利アイテムに頼りましょう。安価なものでは数百円から入手できるので、一つ持っておくと安心ですよ。
ちょっとミスしたってそれが思い出になるのがDIY
一度加工すると元には戻らない木材ですが、案外リカバリーの方法は色々あるもの。今回はミスした穴の補修方法をご紹介しました。
が、とは言っても結局のところ裏返したり、部材の位置を目立たない場所に移動させてカバーできる場合はあえて何もしない、という方が一番多いように思います。完璧を求めなくても、ちょっとくらいミスをしても、それも思い出になるのがDIYの良いところ。あまり考えすぎずにはじめは小さなものから、どんどん木工に親しんでいただければと思います。
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